今年はインフルエンザが流行る兆し
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東京都医師会理事で「かずえキッズクリニック」院長の小児科医、川上一恵氏が11月3日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。インフルエンザのワクチンについて解説した。
インフルエンザ流行の可能性
新行市佳アナウンサー)インフルエンザについてですが、昨年(2020年)はインフルエンザの流行はなかったですよね。
川上)ここ2年ほど大きな流行は起きていません。
新行)新型コロナウイルスの影響もあって、多くの人が手洗いやうがいなど、基本的な対策をしているからですか?
川上)そういう考えもありますし、コロナで世界的に人の動きが止まっているということも関係しているのではないかと言われています。
新行)今年は少し増えそうですか?
川上)そうですね。備えておいた方がいいと思います。
インフルエンザワクチンも接種することによって重症化を防ぐ
新行)コロナのワクチンと違い、インフルエンザのワクチンは子どもにも推奨されていますけれども、子どものころから打てるのはなぜなのでしょうか?
川上)ワクチンに関しては、罹ったときにどの年齢層が重症になりやすいかということが、接種対象を決めるときのポイントになります。インフルエンザは小さなお子さんと高齢者が重症になりますので、その方たちから優先的に接種していただくということになります。生後6ヵ月から接種が可能です。
新行)そうなのですね。6ヵ月からですか。以前、インフルエンザのワクチンを打って、インフルエンザに罹ったときに、自分のなかでは熱が上がって辛いなと思うのですが、お医者さんに聞くと、その「辛いな」よりも辛い症状があって、それを防ぐためのワクチンだと教えていただいたことがあります。
川上)発症を完全に阻止するほど強いワクチンはありません。ですから、いまのワクチンも目指すところは感染予防なのですが、「打つことによって重症化を避けられればいい」という理解でいた方がいいと思います。
新行)重症化を防ぐという部分は、コロナウイルスのワクチンと同じですよね。
川上)そうですね。
発症前に他人に感染させることはないインフルエンザ
新行)新型コロナウイルスについては、発症する前でも人に感染させてしまうリスクがあるということを知って、他の風邪やインフルエンザはどうなのだろうと気になりました。インフルエンザは発症前に人にうつす可能性はあるのですか?
川上)ほとんどないと言われています。インフルエンザの場合には、発症後5日間くらいが人に感染する期間になっています。
新行)インフルエンザの症状は、熱が「グン」と上がるイメージがあるので、そこから他の人に会わないようにするなどの対策も取った方がいいということですね。
川上)インフルエンザは発症して受診していただくと検査もできますし、学校保健法上は「発症してから5日間お休みする」という規定になっています。それを守っていただければ、お友だちにうつすことも少ないですし、ご本人も安心して休養ができると思います。
早めにインフルエンザワクチンの接種を
新行)新型コロナウイルスの影響で基本的な感染対策が身についているということは、インフルエンザに対してもプラスに働いていますよね。
川上)そうですね。それは確かだと思います。
新行)今年(2021年)は気を引き締めた方がいいぞというところですね。
川上)ここ2年ほど流行がないので、ワクチンを打っていない小さなお子さんもたくさんいらっしゃると思いますから、できれば秋のうちにワクチン接種を受けて、十分な備えをしておかれるといいと思います。
新型コロナワクチンを接種してもインフルエンザには罹る
新行)新型コロナウイルスのワクチンを受けて、インフルエンザのワクチンも受けたいと考えている人は、あいだに時間を置くということですよね。
川上)日本では2週間の間隔が必要とされております。
新行)2週間の間隔を置けば、コロナウイルスのワクチンも打って大丈夫だし、インフルエンザのワクチンも打って大丈夫だということですね。
川上)そうです。ときどき「コロナのワクチンを打ったからインフルエンザのワクチンはいらないよね」と言われることがあるのですが、まったく別の病気ですので、それぞれ打ってください。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます