「ワクチンを打ったあとに亡くなった」=「ワクチンが原因で亡くなった」ということではない

By -  公開:  更新:

東京都医師会理事で「鳥居内科クリニック」院長の鳥居明氏が10月14日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナワクチンによる副反応と有害事象について解説した。

「ワクチンを打ったあとに亡くなった」=「ワクチンが原因で亡くなった」ということではない

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

日本には副反応の届出制度がある ~新型コロナワクチンによる副反応

飯田浩司アナウンサー)新型コロナワクチンについてですが、ワクチンを打ったあとに亡くなった方に関して、「国や製薬会社が隠している」、あるいは「これだけの方が亡くなっているではないか」という意見をネットなどで見ることがあります。これについてはいかがでしょうか?

鳥居)日本では副反応の届出制度というものがあります。副反応だけではなく、そのあとに生じた有害事象をすべて報告しなければならないというものです。また、情報開示も徹底しておりますので、「隠している」ということは考えなくていいのではないかと思います。

接種後に何か起きたときには、ワクチンとの因果関係を調査委員会が判断する

飯田)「副反応」と「有害事象」という、2つのキーワードが出て来ました。副反応については、熱が出るなどいろいろありますが、有害事象の方は、必ずしも関連付かないものでも報告義務があるということですか?

鳥居)「関係ないであろうけれども、何か起こったことに関しては報告する」という方向に、現在はなっています。ワクチンを打たなくても、いろいろな病気は起こるわけです。高齢者であれば心臓の病気や脳卒中などが起こることもありますが、それが全部本当にワクチンによって起きたものなのか、そうでないかということは、わかりません。そういうものに関しても、全部報告を上げることになっています。ですから、因果関係があるかないかは、その後のいろいろな情報をもとに調査委員会の方で判断することになると思います。

「ワクチンを打ったあとに亡くなった」=「ワクチンが原因で亡くなった」ということではない

鳥居明氏、飯田浩司アナウンサー

ワクチン接種後の死亡例の99%は情報不足で「十分には判断ができない」と言う判断になる ~すべてワクチンと因果関係のあるものではない

飯田)「厚労省が1093人の死亡例を発表」とか、「ワクチンと死亡の因果関係が否定できない」等々が紙面などに出ると、「これだけの人が」となるけれども、いまおっしゃっていた有害事象の部分が含まれるということですか?

鳥居)そうです。ワクチンを打ったあとに交通事故で亡くなられる、あるいは溺死してしまう。これは明らかにワクチンとの因果関係はないわけです。そのようなものは8例ほどあって、それは完全に否定できる。それ以外の1085例ほど、99%はどうしても情報が不足しているので、「十分には判断ができない」という評価が下っています。高齢者の場合には、ワクチンを打たなくても一定の割合で亡くなられる方はいるのです。85歳以上の方であれば、当然、多くの病気を持っていますし、それによって亡くなられることもあります。ワクチンを打ったあとに亡くなった場合でも、全部ワクチンが原因だということではないと、ご理解いただきたいと思います。

飯田)「否定できない」と書くと、「やっぱりワクチンとのつながりがあるではないか」と短絡的に考えてしまうけれども、科学的な良心から見て、まったく否定できないものというのは、こう書かざるを得ないところがある。

鳥居)交通事故や溺死は完全に否定できるわけですけれども、それ以外は完全に否定することは科学的に難しいのです。より科学的にすればするほど、「否定できない」というような言葉になってしまうのですが、「完全に因果関係あり」とするものは、現在のところでは出ていないと考えていいのではないかと思います。

今年はインフルエンザが流行する可能性も

飯田)去年(2020年)は、インフルエンザがまったく流行しなかったという印象があるのですが、今年はどうですか?

鳥居)PCR検査をするところで、同時にインフルエンザの検査もするのですが、ほとんど実際には出ていませんでした。ただ、今年に関しては、インドなどではインフルエンザが出ているということも言われていますし、去年罹っていないと、免疫力が落ちる可能性がありますから、新たなインフルエンザに罹る可能性があります。両方のワクチンを打ったとしても、マスク、手洗い、換気、それから3密を避ける等の、基本的なことはぜひ続けていただければと思います。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

Page top