岸田政権が「医療体制の充実」を唱えるもう1つの理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月15日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。岸田政権が公表した新型コロナウイルス対策の全体像について解説した。

岸田政権が「医療体制の充実」を唱えるもう1つの理由

2021年10月9日、意見交換会~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/100_kishida/actions/202110/09shisatsu.html)

岸田政権、新型コロナ対策の全体像を公表

政府は11月12日、新型コロナウイルスの感染再拡大に備えた対策の全体像を公表した。医療提供体制の強化、3回目のワクチン接種、また軽症者向けの飲み薬の確保などが柱となっている。

これまでの延長線上にある対策

飯田)第2次岸田内閣が発足し、いろいろな動きがあるなかで、12日には全体像が発表されました。須田さんはどうご覧になりますか?

須田)これまでの対策の延長線上で、はっきりと新たなものが出ていない感じがします。ワクチン接種が進み、新型コロナウイルスの特徴が掴めて来たにも関わらず、やっていることは相変わらず一緒なのかなという感じです。

飯田)そうですね。

須田)医療関係者の方に引きずられているのではないでしょうか。

医療体制を充実させて3回目の接種を進める

飯田)ワクチンによってフェーズが変わって来たので、いままでは人の流れを抑えつけるというところで対処して来たものが、違う方向に行くのかなと思ったら、言及がなかったですね。

須田)期待外れでしたよね。アメリカやヨーロッパと日本のワクチン接種のやり方は違うのです。日本の場合は、結果論かも知れませんが、重症患者数と死者数を抑制するということに軸足があった。

飯田)そうでした。

須田)欧米に比べて感染者数が激増しなかったためです。それに対して欧米の方は、どちらかと言えばワクチン接種も横並びで、世代間で格差をつけずに進めて行った。活動範囲が広く活発な若年層、これを抑えないと感染者数の抑制にはつながらないということで、そこを進めた。日本は高齢者優先でしたよね。

飯田)そうですね。

須田)これまで重症患者数を抑える、死者数を抑えるという点では、一定の成果があったのです。そこを守ることによって、医療提供体制を安定的なものにしようと思った。ところが感染者数の分母の数があまりにも増えてしまったために、医療提供体制が持たなかった。そこを強化するのは、方向性としては間違いなかったのだから、そこを強化して医療提供体制を充実させる。その一方でブースター接種を含め、高齢者あるいは基礎疾患を持っている人に3回目の接種を進める。この両建てをきちんとやればいいのではないかと思います。

一方では経済を進めなくてはならない

飯田)医療提供体制をつくり、もう一方では、経済を回して行くというのも必要な部分ですよね。

須田)なぜそれをやるのかと言うと、経済とコロナ対策の両輪で進めて行くような状況にしなければ、日本経済、また働いている人も困窮してしまう状況になりますからね。そのためには何をしたらいいのかと。コロナ対策だけを考えたら、1年でも2年でもロックダウンすればいいのですから。

飯田)誰もいない都市であれば、感染は増えませんからね。

須田)しかし、それでは日本経済が持ちませんので、矛盾するかも知れませんが、2つのバランスをどのようにして取るかということが大事だと思います。

参議院選挙を控えて日本医師会に配慮か

飯田)両立の部分を探って行かないといけないけれど、政府からはそういう対策が出て来ない。とにかく「感染を抑えるべきなのだ」という理想論ばかりが走っている気もするのですが。

須田)医療関係者の方に顔が向いているのかなという感じがします。日本医師会などに対する忖度があるのではないでしょうか。来年(2022年)7月に控えている参議院選挙が大きく影響しているという感じがします。

飯田)票の出方を意識するわけですね。

須田)各地方の医師会は、自民党にとって組織票の重要な基礎部分になるところです。そこに対して、一定程度の配慮をしておかないと、困るところがあるのではないでしょうか。

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