宇宙開発に必要な「共有できる物語」 ~第2宇宙作戦隊を新設

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月16日放送)に地政学・戦略学者の奥山真司が出演。岸防衛大臣が第2宇宙作戦隊を山口県の防府北基地に新設する方針を示したというニュースについて解説した。

宇宙開発に必要な「共有できる物語」 ~第2宇宙作戦隊を新設

報道陣に公開された航空自衛隊の宇宙作戦隊=2020年12月16日午後、東京都府中市の航空自衛隊・府中基地 写真提供:産経新聞社

第2宇宙作戦隊

岸防衛大臣は11月14日、第2宇宙作戦隊を2022年度中に山口県の防府北基地に新設する方針を示した。東京の府中基地に続く設置となる。

飯田)宇宙ゴミなどとの衝突を監視する目的だと。

奥山)宇宙監視用レーダーを建設中で、20人体制で監視にあたるということです。

日本人は「宇宙開発をするぞ」という意識が高い

奥山)航空自衛隊的には、日本の資源は限られている部分があるので、新たに組織をつくるとなると、他のどこかを削らなければならず、組織的に厳しい部分があるのではないでしょうか。我々国民側からすると、宇宙に対してバックアップする機運のようなものを持っておくのは大事なことだと思います。

飯田)そうですね。

奥山)日本は「宇宙開発をして行くぞ」、「宇宙大国で行くぞ」という意識はあるので、恵まれているなと思います。宇宙に進出して行くということは、日本にとって大事なのではないかと思います。

アメリカで宇宙関連のカンファレンスに参加する3つのタイプの人間

奥山)私がアメリカに留学しているときに、アメリカの宇宙関連の人がコースメイトにたくさんいました。その方々がよく言っていたのは、宇宙関連の開発は空軍主導でやるのですけれども、カンファレンスをすると3つのタイプの人間が来るらしいのです。

飯田)3つのタイプの人間が。

1つ目が軍事関係者、2つ目が企業の技術者 ~3つ目がSF関係者

奥山)1つ目のタイプは、当然ですが軍事関係者です。2つ目のタイプが技術関係者。宇宙開発をするので、ボーイングなどの宇宙に関わる企業の技術者が来る。そして3番目は、このタイプの人たちが来るのに驚きましたが、SF関係者が来るそうです。

飯田)宇宙の軍事戦略などのカンファレンスであっても。

奥山)SFマニアも来ますし、シナリオをつくっているような人も来る。

飯田)取材で来るような人たちもいると。

奥山)自分たちの意見を言うという部分もあって、交流しているのです。未知の領域である宇宙について、そこに米軍側や開発側など、ある程度新しいアイデアをオープンに取り入れているのだと聞いて、非常に関心を持ちました。アメリカは想像力を掻き立てる役割をオープンに取り入れているのだということです。

共有された物語を持つことが大切 ~スター・ウォーズにドラえもん

飯田)その意味では、日本にもSFの下地はありますよね。

奥山)私の世代ではガンダムです。上の世代になると宇宙戦艦ヤマトがあります。アメリカの宇宙関係者は基本的にどういう話をベースにしているかというと、スター・ウォーズなのです。

飯田)やはりそこなのですね。

奥山)それと、日本では少しマイナーなのですけれども、スター・トレック。ああいうものを共通言語として、「宇宙開発はこうだよね」という話をしている部分もあるそうです。SFや宇宙ストーリーは大事だなと、改めて宇宙開発を考えると感じるところが多いのです。

飯田)なるほど、物語が大事。

奥山)物語、共有できる話があるということは、1つのプロジェクトを進めるときに重要なのです。日本の場合であれば、新しい技術をつくるときに、「ドラえもんのこういう道具だよ」というようなことを言って、「では一緒にこういうものをつくろう」と考えられる。物語を共有することは大切だと思います。

飯田)物語を共有していることが。

奥山)『サピエンス全史』という本が世界的なベストセラーになりましたけれども、著者はイスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリさんという有名な方です。彼は「人類の進化の鍵になっているのは、共有された物語だ」と言っています。これは人類の進化だけでなく、技術開発でもそうですし、今回の場合は宇宙なのですけれども、宇宙開発においても、SFなどの媒体を共有できるのは大事だということです。

飯田)面白いですね。旧ソ連でもSFは進んでいたという話もありますし、中国ではいま『三体』というSF小説がベストセラーになっていて、日本でも翻訳されているようです。

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