台湾に声をかけて「民主主義サミット」を行ったアメリカの狙い

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月13日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。アメリカ主催で行われた「民主主義サミット」について解説した。

あいさつする中国の習近平国家副主席(当時、右)と、バイデン米副大統領(当時)=2011年8月19日、北京市内(共同) 写真提供:共同通信社

米中デカップリングへの1つの布石

バイデン米大統領が主催し、オンライン形式で行われた「民主主義サミット」が12月10日、閉幕した。日本からは岸田総理が出席した。

飯田)12月9日~10日に行われました。もともとバイデンさんが看板として掲げていたものです。

須田)トランプ政権時代から続いているのですが、政権が、あるいはホワイトハウスがというよりも、アメリカ議会を含めて中国包囲網、対中包囲網という点で、1つひとつ布石を打って来た。その布石の1つとして、今回、アメリカはアメリカと関係のある国々に対して踏み絵を迫ったと言えるのではないでしょうか。

飯田)踏み絵を迫った。

須田)「どちらの陣営に行くのか」というところです。これをある意味、「デカップリングの1つの布石」と見ると、非常に意味があるものではないかと思います。

「アメリカを中心としたグローバルな通信ネットワーク」と「中国を中心とするローカルなネットワーク」に分離させる ~どちらに属するのかを各国に問う

飯田)今回、台湾が招待されて、デジタル担当大臣のオードリー・タンさんが演説を行いました。招待リストが出た際に、台湾が入っているということが話題になりました。

須田)オードリー・タンさんが出席して、スピーチしたということは大きな意味があると思います。

飯田)この人選も、ということですか?

須田)いち早くデカップリングの動きが進んだのが半導体の分野、デジタル分野なのです。通信という分野に限って言うと、5Gが実現化して6Gへ向かっている最中ですよね。

飯田)そうですね。

須田)5Gや6Gでは、アメリカは、アメリカを中心としたグローバルな通信ネットワークと、中国を中心とするローカルなネットワークに分離して行こうと。そして、「相互に互換性はない」という方向性をしっかりと示しているのです。

飯田)相互に互換性はない。

須田)そこだけで全体を語るのはどうかと思うのですが、アメリカはそういう状況をイメージしているのかなと。つまり、中国陣営とアメリカ陣営に、これから世界は緩やかに別れて行く。「それぞれの国はどちらに属するのか、そろそろ決めてくださいよ」と。相互に互換性のない分野は相当増えて来る。いきなり「ドンッ」とデカップリングになるのではなく、「ジワジワ」と。その部分で共有できないものだから、結果的に排除されて行くのだということです。そういう方向性がしっかりと示されたのではないかと思います。

2日、英グラスゴーで記者会見するバイデン米大統領(ロイター=共同) =2021年11月2日 写真提供:共同通信社

進出企業は中国共産党や政府が望めばデータを全部提供しなくてはならない

飯田)その辺りは個々の製品云々というより、使っている半導体などが変わって来るということですか?

須田)そうですね。中国の場合、国家安全法があり、共産党や政府が望めば、データを全部提供しなくてはなりません。提供しない場合は罰せられるという状況になっています。中国国内に外国企業が入って来たとき、中国国内の個人データの取り扱いについては、相当厳しい規制が課せられます。しかし、それはすべてあとから出て来るのです。

飯田)進出したあとに。

須田)どういうことかと言うと、法律としてはなかった時代に入っていたものが、後付けで法律が出て来て、それが全部適用されて行くのです。それに対して、中国に進出している企業には大きな戸惑いが出て来るのではないかと思います。

飯田)でも、「中国でビジネスをやる以上は従ってもらわなければ困る」と中国政府は言うわけですよね。勝手に法律をつくっておいて。

須田)そうですね。外国企業からすれば、これまで中国に投資して来た設備が人質のように取られて、「これが全部なくなってしまうことになりますよ」となったら、言うことを聞かざるを得ない。中国は大量のお金を持っているわけですから、それを盾にして言うことを聞かせるのです。

小国リトアニアの反乱 ~ヨーロッパがホットポイントに

須田)ただ、最近のリトアニアの動きを見てみると、明らかに反中という行動を起こしています。リトアニアに「台湾」という名称を使った出先機関を開設しました。これまで台湾という言葉を使ってしまうと、別の国という扱いになるので、リトアニア以外は都市の名前である「台北」を使っていたのです。アメリカですら都市の名前です。

飯田)そうですね。

須田)リトアニアという小国が反乱を起こしたということだけではなくて、こういう動きが広がって行くのではないかと思います。また、なぜリトアニアがそれだけ強硬に出られたかと言うと、リトアニアの対中貿易において、対中輸出はほんの数%なのです。

飯田)対中輸出は。

須田)そのために、「経済力を背景に言うことを聞かせる」という、中国の常套手段を取ることができないのです。

飯田)しかもリトアニアに対しては、「環球時報」という共産党系のメディアの編集長などが恫喝のようなツイートをしていた。「君たちのような小国が盾ついたところで何にもならない」とやっていたけれど、結局、それに屈しないどころか反抗して来たという感じです。

須田)例えばチェコなど、これに続く国も出て来る可能性があります。いま、欧州がホットポイントになって来たのではないでしょうか。そうすると、中国はロシア、そしてリトアニアと国境を接するベラルーシに働きかけをして、ベラルーシに対しては経済支援をちらつかせて圧力を掛けています。まさに権威主義というか、私に言わせれば全体主義なのですが、その陣営がクリアになって来たのではないかと思います。

飯田)リトアニアはEU加盟国でもあるということを考えると、EU全体がどうするのか。欧州議会はすでに人権問題などについては、中国に対して非難決議を出しています。

須田)その問題と、ロシアを刺激しているNATOの東方拡大がリンクして来ると思います。

中国との関係が悪化しても自国の経済が持つのかどうか

飯田)ホットポイントであるヨーロッパにおいて、ドイツで政権交代がありました。いままでの保守派から、いわゆる左派系のSPDに首班が変わった。これは影響が出ますか?

須田)ドイツ、そしてフランスという、ヨーロッパの大国。ここは政権が変わった、あるいは考え方ということではなく、やはり経済的な結びつきなのです。要するに、中国との関係が悪化すると、自国の経済が持つのか持たないのか。

飯田)ドイツの車が売れるのか売れないのか。

須田)そうですね。だから、その辺りとのバランスです。その意味で言うと、日本もこのまま中国との経済関係を維持していいのか。強めるという選択肢はないにしても、安全保障上の問題として考えて行かないと、何か意にそぐわないことについても、言うことを聞かざるを得ない状況になりかねません。人質外交的なところで喉元に刃を突きつけられていますから、その辺りはしっかり考えて行く必要があると思います。

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