ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月22日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。国土交通省で行われたデータ書き換え問題について解説した。
国交省のデータ書き換え問題について
国土交通省が建設工事の受注動態統計調査データの書き換えを都道府県に指示していた問題で、北海道は12月15日に会見し、「国の手引きに沿って作業していた」などと述べ、書き換えがあったとの認識を示した。
飯田)国交省のデータ書き換え問題。「建設工事受注動態統計」の数値が書き換わっていたということです。どうご覧になりましたか?
高橋)数量政策学者ですから、データの基本がインチキであれば、私の仕事は困ってしまいます。
飯田)前提が崩れるということですものね。
高橋)私は建設工事の受注はあまり扱っていませんが、GDPの基礎資料ですから。統計というのは基幹統計と言って、統計法で「キチッ」とやりなさいということが決まっているので、改ざんした人は処分を受けるはずなのです。厳しい処分だと思います。
回収率が100%などということはあり得ない ~報告がない月はない月として処理するのが普通
飯田)業者によっては、まとめてある月に「ドン」と出して来るようなところがある。例えば1月、2月、3月とあるけれど、3月にまとめて出して来る。1月と2月は想定の値をとりあえず置いておいて、集計しておく。ところが3月に「ドン」と出て来ると、1月と2月をいじらなければならないのだけれど、それをやらずにいた結果、積み増しがあったというような話ですね。
高橋)報告が来ないものは、報告が来ないものとして処理するのが当たり前なのですけれどね。
飯田)本来的には。
高橋)それが回収率という問題なのです。回収率が100%などということはありません。
飯田)全員が全員出して来るなんてことは。
高橋)絶対にないですね。その回収率を加味して、あとで統計操作をするのですけれど、それが普通です。調査票を書き直してはいけません。
「データサイエンティスト」と呼ばれる専門職が必要
飯田)今後の再発防止、あるいは改善策として、何か考えられるものはありますか?
高橋)はっきり言って、素人のような対応をしていたということです。どこの役所もそうなのですけれど、統計はとても重要な学問なのに、大学で勉強しないのですよ。飯田さんは統計について勉強しましたか? 覚えていないでしょう。
飯田)覚えていません。
高橋)数学を使うので、みんな嫌がってやらないのです。東大も一緒です。あまりわかっていない人が役人になっているのです。普通は「データサイエンティスト」と呼ばれるような専門職なのです。博士号くらい持っている人がいなければダメだと思います。
日本の役所には専門家が少なすぎる
飯田)諸外国であれば、専門の部署があるのですか?
高橋)日本では、総理府の統計局には専門家がいますが、各役所にはいません。数が少なすぎる。「学歴のない人が多すぎる」というのがこの分野なのです。大学を出ていれば学歴があると思っている人がいますが、そういうことではありません。大学院博士課程くらいの専門家が必要です。
飯田)そういう専門家を入れないと。
高橋)入れないと意味がわからないから、適当にやるのですよ。
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