岸田政権のスタイルが「ベター」である理由 ~沖縄、山口、広島にまん延防止適用へ

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月7日放送)に株式会社「千正組」代表取締役の千正康裕が出演。岸田総理が3県にまん延防止等重点措置の適用を表明したというニュースについて解説した。

2022年1月5日、挨拶する岸田総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202201/05keizai.html)

岸田総理が沖縄、山口、広島にまん延防止等重点措置の適用を表明

新型コロナウイルス対策で岸田総理大臣は1月6日、沖縄、山口、広島の3県にまん延防止等重点措置を適用する方針を表明した。7日にも政府の分科会に諮り、国会に報告した上で正式に決定する方針だ。2021年9月に解除されて以来、岸田内閣では初めての適用となる。

飯田)3県からまん延防止等重点措置の適用要請があったことを受けて、昨日(1月7日)の夜、関係閣僚と会談し、記者団に発表したということです。オミクロン株ですが、相当深刻な事態になりつつありますか?

千正)そうですね。また感染者が増えて、まん延防止等重点措置の適用と。当然みんな嫌でしょうけれども、致し方ないかなと思います。

感染者の母数が増えれば重症化の割合が低くても医療は崩壊する

千正)1つは、外国の状況を見ると、フランス、イタリア、イギリスの新規感染者数は過去最高になり、アメリカもそれに近づいていて、かなり感染が増えています。まだ確定してはいませんが、デルタ株などに比べると重症化リスクが低いのではないかという報告も出ているので、そんなに恐れなくてもいいのではないかと思う人もいるかも知れません。しかし、全体の感染者数の母数が増えて行けば、重症化の割合が低いとしても医療は崩壊してしまう。

飯田)絶対数が多くなるということですね。

この段階でのまん延防止等重点措置の適用は妥当

千正)一方で医療提供体制の問題ともう1つ、3回目のワクチン接種を医療従事者の人が打っているところですが、高齢者や一般の方へ早く移行するべきでしょう。

飯田)いまはPCR検査で陽性が出た人の数が取りざたされていますが、対策を打つにあたって去年(2021年)の11月くらいにステージ制からレベル制に変わって、「病床のひっ迫具合を見る」というアナウンスがあったと思います。いまのところ、それほどでもないように見えますが、その先を見ているということですか?

千正)増え方が急激だということから判断されたのではないかと思います。

飯田)飲食店や商売をしている方からすると、「またか……」という思いがどうしても出てしまいますが、感染予防の観点からすると致し方ない。

千正)早めに手を打って長引かないようにするというのが望ましいですね。

それぞれの対策をすべてしなければならない ~そこで起こる負荷や不都合にどう折り合いをつけるか

飯田)第5波までと比べると、かなりの人がワクチンを2回接種している。経口の治療薬も出て、手立てとして戦う術はだいぶ整備されて来たと思いますが、どうですか?

千正)時間は少しかかりましたけれど。1本足では難しいのです。ワクチンも3回目の接種を最大限早くしなければいけないし、医療提供体制も増えては来ましたが、それも考えなければいけない。経口薬も軽症のうちに飲める普通の治療ができるようにしなければいけない。いろいろなことをやる必要があるけれど、すべてやったとしても、感染者数が増えすぎると医療に関わる人はキャパシティオーバーになります。それぞれの対策の兼ね合いが必要で、全部やらなければいけません。

飯田)全部やっても間に合うかどうか、その勝負と。

千正)それで、それぞれのところに負荷なり不都合が出てしまう。

New COVID-19 variant Omicron=©Luz Garcia/VW Pics via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ

平時であれば先送りできる政策もコロナ禍では先送りできない ~何をやってもどこかに不都合が出る

飯田)何をやっても怒られる類の政策を、出さざるを得ないということですね。

千正)そうなのですよ。少子高齢化のなかで誰が負担して、医療や介護のようなサービスを受けるかということをすると、財政バランスが取れなくなるわけです。こういうことを変えなければいけない、決めなくてはならないというのは、右肩上がりの時代であれば、プラスを分配する方法を決めるという話だから、嫌な思いをする人はほとんどいないのです。「たくさんいい思いをする人」か、「少ししかいい思いをしない人」かを決めるということになりますから。

飯田)景気のいい時代は。

千正)しかし、これからは、全員に不都合がないような決定を下せない問題がたくさんあるのですね。社会保障やエネルギー問題、環境問題もそうですし、老朽化したインフラを更新しなくてはならないけれど、そのお金を誰がどう負担するかという話もある。

飯田)誰かにとっては不都合なことになる。

千正)平時の問題であれば先送りができるのです。選挙前なら、負担を求めるようなものは先送りにしようとか。でもコロナ禍は「いまそこにある危機」だから、先送りできないという難しさがあります。

国民の意見を聞いて「変えるべきならば変える」ことも必要

飯田)先送りできない、何をやってもどこかで必ず不都合が出る。何となく国民はある程度、理解しているけれど、「やはり納得できないよね」という気持ちの部分をどう捉えて行くか。情報発信の仕方、アナウンスメント、コミュニケーションが大事になりますか?

千正)そうですね。なぜその判断をしたのかということを、きちんと説明することが重要です。また、方針を出したあと、誰かには不都合な事態になるわけです。それに対してきちんと意見を聞いて、「変えるべきならば変える」ということをするべきだと思います。

飯田)きちんと聞いて。

千正)例えば、子育て世帯への給付金について、「5万円分のクーポン券が全部現金でいい」というように、方針が右往左往しましたよね。あれはよくないようにも見えますが。

飯田)「リーダーシップがない」とも見えてしまいます。

千正)でもいま、誰が首相をやっても「全員に不都合がない決定はできない」とすれば、そこはアジャイルというか、方針を出すとみんなが意見表明するので、それを聞いて、どこに決めれば最もみんなが納得するかを考える。これは国民側も付き合うしかないと思うのです。私も政策をつくる立場にいましたが、年々、正解がわからなくなりました。

SNSの影響力が大きい時代に岸田政権のスタイルは「ベター」

飯田)いままでであれば、我々も1度決めたことは「間違っていない」と押し通されるものだと思っていましたが、そうではなく、これから先の政策の打ち出し方は、ハンドルの遊びがあるようなものなのでしょうか?

千正)「官僚の無謬性」などと言い、昔は1回決めたら、少し不都合があっても「それはおかしくないのです」と押し通していましたが、いまはそうは行かない。国民が多様化しているから、事前に想定しきれないということが1つ。あとはSNSによって「声なき声」が見えるようになっていることが大きい。

飯田)確かに1つ政策を打ち出すと、いろいろなところから専門家が声を上げます。

千正)例えば去年、「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグが500万~700万リツイートされたなどと言われて、結局は廃案になりました。ああいう状況は5年以上前だったら絶対に起こらなかったことです。でも、いまはSNS上でそれだけ反対が多くなると、政権側も「押し通せば支持率が下がるな」と思うわけです。

飯田)そうすると岸田さんのやっていることは、ある意味、いまの時代の新しい政権像ということなのかも知れませんね。

千正)いま、官邸も各省庁も正解がわからないなかで、あのスタイルはベターだと思います。

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