「景気動向指数2ヵ月連続上昇」と言われても喜べない理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月12日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。11月の景気動向指数が2ヵ月連続で上昇したというニュースについて解説した。
11月の景気動向指数、2ヵ月連続上昇 ~車の生産が回復
内閣府が1月11日に発表した2021年11月の景気動向指数の速報値は、足元の経済動向を示す一致指数が前月比3.8ポイント上昇の93.6で、2ヵ月連続の上昇。上げ幅は1985年1月以降で2番目の大きさとなった。自動車の生産の回復が続き、消費も持ち直したのが要因と見られている。
飯田)指数の動きから導き出される基調判断については、「足踏みを示している」というこれまでの表現を据え置いたということです。
コロナ前の2020年の95.5と比べると高い指数とは言えない
高橋)「1985年1月以降、2番目の大きさとなりました」と言われると喜んでしまうかも知れませんが、遡ると指数は2020年の最初が高くて、指数95.5でした。
飯田)そうですね。
高橋)それがコロナの影響で2020年5月には73.5まで下がり、そのあと「グッ」と上がったのです。2021年4月には95.0。ほとんど前までと一緒になったわけです。
飯田)2021年の4月には。
高橋)そのあと2021年9月に半導体不足で88.7まで下がった。いまはそれからの回復過程なのです。こういう状況を「デッドキャットバウンス」と英語で言うのですが、「叩きつけた猫は跳ね上がる」ということです。何かの理由で下がったものは上がるのです。それだけの話なので、まだ数字的には2020年の最初のときまで戻っていないのですよ。
最低水準から「少し上がった」というだけ
飯田)2020年1月というと、コロナ流行の直前。
高橋)そこまでは戻っていないのです。
飯田)2015年が100としての数字だから、2020年1月だって、やはり直前には消費増税もあったし。
高橋)水準的には上がったと言うけれども、それは「いちばん下の水準から少し上がった」というだけのことです。短い2ヵ月間だけを見て喜ぶわけにはいかないのです。本来であれば下がらなくてもいいところが下がっていて、いまはそれが上がったというだけです。
ウイルスが弱毒化しているときには相当の政策を取る ~分類を5類相当にするべき
飯田)半導体不足もそうですし、8月~9月にはコロナの第5波があって、経済的にも回せる状況ではなかった。
高橋)今度は第6波でしょう? そのときに同じ政策を取るのか、取らないのか。同じ政策を取って行動抑制をしたら、また下がります。さすがに同じ政策は取れないのではないでしょうか。海外でも同じ政策を取っているところはほとんどありません。新型コロナウイルスは弱毒化しているわけですので。
飯田)そうですね。
高橋)弱毒化しているときには、弱毒化しているなりの政策をしなければいけないと思います。本質的なのは分類ですね。新型コロナ感染症の分類は2類相当なのだけれど、これを5類に下げるというのが普通のやり方だと思います。
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