このタイミングで北朝鮮がミサイルを発射する「3つの仮説」 ~政府が安保理決議違反で抗議

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月13日放送)に多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授・事務局長の井形彬が出演。国連安全保障理事会決議に違反しているとして政府が抗議した、北朝鮮の1月11日のミサイル発射について解説した。

2021年10月10日、平壌の朝鮮労働党本部で演説する北朝鮮の金正恩党総書記 朝鮮通信=時事 写真提供:時事通信

政府、北朝鮮のミサイルについて安保理決議違反で抗議

岸防衛大臣は1月12日、北朝鮮が11日に発射したミサイルについて、最高高度が通常の弾道ミサイルより低い50キロ程度だったとする分析を明らかにした。なお、政府は国連安全保障理事会決議に違反して弾道ミサイル技術を使用したとして、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に抗議した。

このタイミングで北朝鮮がミサイルを発射する理由

飯田)北朝鮮によると極超音速ミサイルであるということで、この弾道ミサイルを発射しております。どうご覧になりますか?

井形)一般の方々が疑問に思われるのは、「なぜこのタイミングなのか」ということだと思います。というのも、ここ2年くらいコロナ禍で、北朝鮮の存在を忘れていたという方も多いと思うのです。そして、急にミサイルを撃って来て、「そういえばそうだった」という方もいるのではないでしょうか。

3つの仮説

井形)日本や韓国、アメリカなどの専門家からは、北朝鮮の意図として3つ仮説が出ています。1つ目は、北朝鮮の国内で食料問題が生じているということです。国内の不満が溜まって来ているので、1発ミサイルを撃つことによって、不満を紛らわせようとしているのではないかという説です。

飯田)食糧問題。

井形)2つ目は、バイデン大統領になってから、まだ2ヵ国間で、トップ同士で話せていない。ですので、バイデン大統領を交渉の場に引き摺り出したい。そのための、「見て見て」というシグナリングなのではないかということです。

飯田)バイデン大統領、アメリカに対して。

井形)ただ、1つ目の仮説と2つ目の仮説だと、別にミサイルをアップデートする必要はないわけです。お金も使って、グレードアップしたミサイルを今回つくっていることを考えると、1つ目と2つ目は外れているのではないかなと思います。

国防のためのミサイル開発

井形)残るのは3つ目の仮説で、当たり前なのですが、国防です。純粋に北朝鮮の国の存続を考えたときに、アメリカからも脅威として見られているとなると、ミサイル、軍事力をしっかりとつけなければいけない。そのためにミサイル開発をしているとみるのが、いちばん妥当なのではないかと思います。

飯田)極超音速ミサイルなども含め、いろいろな種類を取り揃えようとしているのは、「自分の国を自分で守るぞ」という意志の表れだとみた方がいいですか?

井形)まさにそうですね。

極超音速ミサイルの発射実験=2022年1月5日(朝鮮中央通信=共同) 写真提供:共同通信社

日本周辺の国際環境が悪くなっている

飯田)そういう国を近くに置いている日本は、引っ越すわけにもいかない。そのなかでどうするか。メディアでよく言われる、「振り向いて、振り向いて」という瀬戸際外交ではない、ということですね。

井形)まったく間違っているというわけではないと思うのですが、それだけではないはずです。日本周辺の国際環境が、特に安全保障の側面で悪くなっているということをしっかりと自覚して、いろいろと政策を考えて行く必要があると思います。

アメリカと有事の際には日本の米軍基地がターゲットに

飯田)韓国軍の合同参謀本部などが分析していましたが、相当技術が上がって来ているという話があります。どこに照準を合わせていると考えられますか?

井形)どのミサイルを、どのケースで使うかというのは、金正恩氏の頭のなかを見てみないとわからないのですが、やはり、アメリカへの抑止です。もちろん、日本も焦点に入っていると考えて間違いないと思います。

飯田)完全に日本も射程に入るわけですよね。

井形)もし、アメリカと有事があるということになると、日本の米軍基地がターゲットになるのは、自明のことかと思います。

飯田)その辺りを彼らは彼らなりに抑止しようとして、ああいうものをつくっている。実際に使用するかどうかは定かではないにせよ、という感じですか?

井形)そうですね。まさに国防のためにつくっていると考えて間違いないと思います。

日本に必要な抑止力 ~「国家安全保障戦略」改定のなかでその議論が行われるはず

飯田)そうすると、それに対して我々も「使わせないぞ」という抑止が本当は必要になりますね。

井形)そうなったときに、日本独自でそういう能力を取るのか、それとも日米同盟として頑張るのか。それから、政治的には難しいのですが、韓国と一緒にどういう連携ができるのかということも、本来であれば、いろいろと議論が進んで欲しい。ただ、さまざまな理由で難しいのが、いまの政治的な現状かなと思います。

飯田)普通に考えれば、ミサイルを突きつけられているのだから、こちらもミサイルを持って、あるいはアメリカ軍のミサイルを使って抑止をするというのがいちばんシンプルだと思うのですが、なかなかそこへ議論が行かない。

井形)ただし、いまの岸田政権はそこもしっかりと考えると言っています。今年(2022年)中に国家安全保障戦略と言われている、日本の安全保障の大枠をどうするかというのを決める文書があるのですが、それを改定するという話が出ていますので、そのなかで議論が行われるはずです。

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