ワクチンの在庫があるのに、ブースター接種が遅れている「原因」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月12日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。原則停止している外国人の新規入国を2月末まで維持することが明らかになった政府の水際対策について解説した。
政府のオミクロン株に関する水際対策、2月末まで維持
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新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、政府は新たな対策をとりまとめ、水際対策として行っている外国人の新規入国を原則停止している措置などを2月末まで維持すると明らかにした。
飯田)ワクチン3回目接種については自衛隊による大規模接種会場の設置、また職域接種を前倒すという話も出て来ています。
ワクチンの在庫があるのにブースター接種が遅れている理由 ~8ヵ月にこだわったから
高橋)「前倒す」で騙されてしまうのだけれど、要するに何もしていなかったということでしょう。ワクチンの話は国内在庫が多かったから、8ヵ月経って打つのか、6ヵ月に前倒すのかとずっと言っていたけれど、そもそもそれがおかしいのです。「国内在庫があるのであれば、6ヵ月で打てばいいのではないか」という普通の判断ができなかったから、いまこうなっているわけです。
飯田)普通の判断ができなかったから。
高橋)ワクチンのブースター接種に関して、国内に在庫があるのに、世界各国のなかでも遅いのはおかしいですよね。それは8ヵ月にこだわっていたからということでしょう。
余裕を持って8ヵ月にしたい厚労省
飯田)8ヵ月にしないと、自治体の体制が整わないから。
高橋)……と言うけれど、それは厚労省が言っているのでしょう。
飯田)「その文句が自分たち厚労省に来るではないか」ということですか。
在庫があるのならば早く打つべき
高橋)ワクチン担当大臣が河野さんから堀内さんになったのだけれど、だいぶ違いますよね。
飯田)現場のお医者さんたちも、「河野大臣のときはいろいろ発信していたし、すぐに現場の意見で変えることがあったけれど、堀内さんは何をやっているかわからないのですよね」と言います。
高橋)それはそうでしょう、現場の人から見れば明らかだと思います。厚労省がいろいろな方針を出すのだけれど、「何かズレている」と現場の人はみんな思っているでしょうね。私もワクチンについては遅れているなと思います。河野さんも「国内在庫がある」と発信していたしね。
飯田)年末以前に発信していました。
高橋)ワクチン接種は在庫があるときにやるのが普通です。わざわざ持っている必要はありません。
飯田)持っていても有効期限が来ますしね。
高橋)すぐ打ってしまえばいいのです。なぜ8ヵ月にこだわるのかわかりません。
ワクチン接種していれば沖縄の医療従事者不足の懸念もなかった
飯田)いま沖縄では、医療従事者が濃厚接触者になる、あるいは感染者になって現場の人手不足が懸念されています。
高橋)「先にワクチンを打っておけばよかったでしょう」ということです。
飯田)そういうことになりますよね。
高橋)わけがわからないですよね。
米軍からの感染が問題であれば日米首脳会談を開いて話をするべき ~未だに日米首脳会談がない不思議
飯田)「水際対策を維持する」ということですけれども、水際対策は時間稼ぎという指摘も前からあります。
高橋)それはそうですよ。時間を稼いでいる間にワクチンを打っておけと、それだけのことなのです。
飯田)時間は稼いだけれども、ワクチンは打たなかった。
高橋)本当にどうなっているのでしょうかね。沖縄では米軍から感染が拡がっているということですが、そういうことであれば、日米首脳会談をすぐに開いて、話をすればいいのではないかと思います。しかし、日米首脳会談も全然開いていませんよね。
飯田)臨時国会の前にアメリカに行くという話があったのになくなり、臨時国会のあと、年末に行くという話がなくなり、そして今月(1月)、国会が開くまでに行くという話もなくなり。
高橋)信じられません。過去の歴代政権を見ていても、政権が変わってから1ヵ月後には首脳会談が開かれています。どんなに遅くても3ヵ月以内です。3ヵ月以内に開いていない政権などありません。最優先事項ですから。しかし、「バイデンさんの都合で」とずっと言われているのでしょう。それも理解できません。
飯田)そうですね。
高橋)今回のように米軍の話になったとき、首脳同士がまだ会っていないから、なかなか行動できないのではないですかね。
飯田)G7サミットが行われたときに、立ち話的には会ったということです。
高橋)外務省のホームページを見ると、きちんとアジェンダ設定されたものを会談と言うので、あれは懇談だったのです。
飯田)懇談。
高橋)1回にカウントしませんからね。日米首脳会談が行われないということ自体、理解不能です。菅さんのときも時間がかかったと言われましたが、バイデンさんが2021年1月に大統領になって、4月に会っているから3ヵ月です。それでも海外の首脳で最初に菅さんを選んでいるでしょう。
飯田)そうでしたね、あのときは。
高橋)優先順位が全然違うのだと感じますよ。
就任100日となる岸田総理
飯田)1月11日で就任100日ということです。
高橋)首脳会談のない100日というのは記憶にありません。
飯田)これに関して、「世界中でコロナが拡大しているから、オンラインを駆使して一生懸命やっている」というような記事も出ていますが。
高橋)オミクロン株になる前にできたでしょう。
飯田)菅さんの日米首脳会談もコロナがまったくない時期かと言われたら、そんなことはないわけです。
高橋)過去を調べても、こんなに首脳会談がない政権はありません。国の基本の話ができていないから、米軍の話もできないのかなと思ってしまいます。
飯田)それを「内政に注力」と書いているところもありますが、その部分、経済対策などは。
高橋)やっていないでしょう、ほとんど。
年末に起きた海外在住者の日本到着便の予約停止撤回 ~本当の理由
高橋)内政に注力と言ってもワクチンは遅いし、官僚がやっているのを後ろから鉄砲で撃つし、すごい政権ですよね。官僚からすると、この政権は怖いですよ。後ろから撃たれる感じがしますね。
飯田)海外にいる日本人の帰国に関しても、国交省航空局が。
高橋)独断ということになっているのでしょう。
飯田)「予約を停止させるのだ」と。年末年始に帰って来るのを止めるというような話をまず打ち出して、その後、それを撤回する形になりました。
高橋)あれは実は4省共同の水際対策だし、そのあと岸田さんが記者会見しているのですよ。その水際対策のなかに「総数制限」というものがあったから、具体的なことはその場で絶対に聞いているはずです。
飯田)帰国者の総数制限のなかに入っていると。
高橋)「具体的にはどうやってやるのだ」という話ですからね。聞かなかったらおかしいですよ。3000人などと数字が書いてあれば、「どうやってやるのか」という質問が絶対にあります。誰でも聞くような質問です。そうしたら国交省の方が「こうやります」と言いますから。
飯田)その直前に、総理はもうやりすぎくらいにやるのだと。
オミクロン濃厚接触者の大学入試も ~「受験認めない」から「容認」へ
高橋)「しっかりやれ」と言ったのでしょう。また、文科省の話をすると、文科省の方も「濃厚接触者は入試を受けられない」と言ったでしょう。
飯田)オミクロン株の濃厚接触者は入試を受けさせないと。
高橋)それで批判を受けたため、「別室で」という話でしょう。実はいまの制度は「別室で受ける」という制度なのですよ。
飯田)オミクロン株以外であれば。
高橋)デルタ株の場合などは別室なのです。そうしたら「しっかりやれ」と言われたと。私が聞いた話ではね。
飯田)そうですか。
高橋)その関係者は「しっかりやれ」と言われて、しっかりやったら、後ろから撃たれた。私は官僚については厳しいことを言うけれど、さすがに今回は同情しました。
飯田)しかし、こういうことを繰り返したら、誰も何もやろうとしなくなるのではないですか?
高橋)やりません。やったら後ろから撃たれるのでしょう。そうなると前例踏襲になり、オミクロン株もデルタ株も変化はなしで、同じように行動制限するというパターンになります。
飯田)経済は死にますよね。
高橋)大変でしょう。デルタ株のときに行動制限して落ちたではないですか。今回もそうなる確率は高いと思います。
飯田)この感染力の強さを考えると。
高橋)感染者は1日3万人以上に増える可能性が高いです。それでマスコミがいろいろと言ったら、人流抑制になりますよね。
飯田)他方で感染者は、ほとんどが軽症ないし無症状。これで本当にいいのですかね。
高橋)問題です。
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