日本が好きな外国人が日本を嫌いになってしまう ~措置が「論理的ではない」日本のコロナ水際対策

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月13日放送)に多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授で事務局長の井形彬が出演。日本政府の新型コロナウイルス対策について解説した。

検疫の係員らから必要書類や滞在地などの確認を受ける海外からの到着客。政府は、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染者が日本で初めて確認されたと発表した=2021年11月30日午後、成田空港 写真提供:共同通信社

政府、ワクチン・検査パッケージ運用の見直しを検討へ

山際新型コロナウイルス対策担当大臣は1月12日、オミクロン株への対応について、「これまで感染した人は基本的に入院だったが、それほど重症化しない可能性があるという科学的な知見に基づき、自宅療養を第1の選択肢に入れた」と述べた。また、「ワクチン・検査パッケージ」について、3回目のワクチン接種を条件とすることも含め、運用の見直しを検討する考えを示している。

飯田)オミクロン株対策というところですが、どうご覧になりますか?

井形)コロナに関する対策については、私はできるだけコメントしないようにしようと思っています。これは疫学の専門家の方々が決めることだと個人的には思います。ただし、その一方で、すべての対策には、あらゆるコストがつきまとって来ますし、コストのなかには短期的に数字で見えるものと、そうではないものがあるのです。

日本に入れない留学生やビジネスマンの問題 ~日本のプレゼンスの縮小につながる

井形)数値化がしづらいのですが、長期的に考えると、大きな影響があるかも知れないと感じているコロナ対策の1つについて紹介します。最近、外国人の留学生やビジネスマンの方々が日本に入れないということで、問題になっています。

飯田)新型コロナの影響で。

井形)これらの方々は外国人で、日本が好きだから日本へ来てビジネスをする。日本が好きだから、日本の大学に入って研究、勉強をしたいと思っている人たちです。

飯田)日本が好きな人たち。

井形)この2年間、日本政府が外国人に対する水際対策を厳格に取って来たことによって、「裏切られた」と。また、「裏切られた」という言葉では表現しきれないくらいの強い憤りを感じるという外国人の方々が多いのです。

飯田)強い憤りを。

井形)本来、日本が好きな人が日本を嫌いになってしまう。そうすると、日本の研究をする人が少なくなればなるほど、日本のプレゼンスは外国で縮小してしまう。

飯田)そうですね。

井形)そのために「日本に投資しない」「日本でビジネスはしなくていいや」となってしまうと、日本の経済力も長期的に落ちてしまうのです。やはり、留学生の問題、日本でビジネスをする方やその家族の問題に対しても、運用の見直しを考える必要があるのではないでしょうか。

措置が論理的ではない

飯田)水際の部分でハードルを上げ下げするのは、主権国家の1つのツールとしてあるのだろうと思いますが、おそらく、そういった方々が不満に思っている部分は、「この措置は論理的ではない」というところだと思います。

井形)そうですね。

飯田)オミクロン株が入って来て、まだ実態がよくわからないときにハードルを上げるのは、それはわかると。しかし、これだけわかって来た上に、国内でもこれだけ感染が拡がっているなかで、いまハードルを上げるのはどうなのだろうということですね。もちろん、議論をした上でそう決めるならいいけれど、果たして議論があるのかというところも疑問に思うでしょうね。

井形)1年半以上前に、「彬、どうなっているのだ」と。「いったいなぜこういう政策になっているのだ。教えてくれ」と言われて、答えられないことがありました。対応が完璧に論理的かどうかと言われると、そうではないところがあったので、困りました。

変異株「オミクロン株」=2021(令和3)年12月11日、ボスニア・ヘルツェゴビナ(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

日本は「約20億円払っても、新型コロナ死者1人を救いたい」という試算に ~すべて可視化して判断するべき

飯田)東大の仲田泰祐准教授の研究で、「コロナ死者数を1人減少させるためにどの程度の経済的犠牲を払いたいか」という論文があります。日本はおよそ20億円払っても、1人の命を救いたいということが、研究で明らかになりました。アメリカの1億円、イギリスの5000万円と比べると、日本は破格に高い。このコストを、実はあまり自覚せずに払っているのではないかという話があります。

井形)経済的なコストに加えて、算盤勘定だけでは表せないような「日本の支持者」が減ってしまうということも含めると、1人20億円では済まない額になっていると思います。

飯田)そういうことも含めると。

井形)そのようなすべてのコストをわかった上で、それでもやるというのであれば、それはいいと思うのですが、もし可視化されていないようなコストがあるのであれば、しっかりと計算のなかに入れて行く必要があると思います。

飯田)そういうものを俎上に載せて「どうしますか」と考えることは、メディアなどの責任ももちろんあるし、政治側も「それを勘案した上でこういう決断を下した」ということを本当は言わなければいけないのですよね。

外国人の問題となると敏感に反応できない

井形)これが日本の一般国民に関して直接影響があることであれば、敏感に反応できると思うのです。ただし、外国人の話になってしまうと、直接関係のない人が多いので、そのままになってしまい、以前に取った政策が続いてしまうという側面がもしかしたらあるのかも知れません。

飯田)外国から帰って来る日本人の移動に関しても、一度は「予約もできません」としたのは、さすがに同じ日本人でそれはないだろうと、みんな自分ごととして考えたからこそ反対が出た。でも、「外国人であれば私たちとは関係ないし」と、ここから先、ゼノフォビア(外国人嫌い)のようになってしまうのは、日本としてもよくないですよね。

国際会議でも日本人は全員オンライン参加 ~日本のプレゼンスが縮小するコストがあることを認識するべき

井形)10月に1週間だけコロナ後、初の海外出張に行きました。イタリアに行ったのですが、周りに日本人は当たり前ですけれど、いないですよね。アジア人からは日本語が全然聞こえて来なかったですし、基本的にはヨーロッパ系の方が多かった。

飯田)なるほど。

井形)いろいろな国際会議でも、やはり、日本人は全員オンライン参加なのです。参加している方を見ると、必ずしもその国の人だけではなく、他の国の人も現地に行っている。そこには、「日本のプレゼンスが縮小してしまう」というコストがあることを、しっかりと認識しなければいけないと思います。

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