「株主資本主義からの転換」にある「財務省の遠大なる戦略」とは

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月26日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。岸田総理が「株主利益の最大化を重視する『株主資本主義』の弊害を是正したい」と語ったというニュースについて解説した。

2022年1月24日、記者の質問に答える岸田総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202201/24bura.html)

岸田総理「株主資本主義からの転換へ」と発言

岸田総理大臣は1月25日の衆議院予算委員会のなかで、看板に掲げた「新しい資本主義」の分配政策面に関し、株主利益の最大化を重視する「株主資本主義」の弊害を是正したいとの考えを示した。「株主資本主義からの転換は重要な考え方の1つだ。政府の立場からさまざまな環境整備をしなければいけないという問題意識を持っている」と述べた。

財務省の遠大なる戦略

飯田)国民民主党の前原さんの質問に対して答えたということですが、どう見たらいいでしょうか?

高橋)普通の経営者から言わせれば、「株主資本主義ではなくて株主社会主義でしょう」とみんな冷やかして言います。このなかには「財務省の遠大なる戦略」があるのですが、それを誰も解説したことがありません。

撒き餌としての「賃上げ税制」と「配当課税」のセット ~「労働者のために」と言っておいて経営者から金を取る

飯田)裏にそんな戦略があるのですか?

高橋)まず、「労働者の利益のため」と言うのだけれど、撒き餌というか見せ金があって、それが「賃上げ税制」なのです。岸田政権でも賃上げ税制による税収効果がわかるのですが、せいぜい1000億円程度なのです。

飯田)なるほど。

高橋)その次に、「資本家の方から金を取る」という話になって、配当課税の強化になるわけです。これが本命で、こちらは数千億円~1兆円規模のオーダーの増収になるのです。このセットでいつもやっていて、撒き餌としての賃上げ税制があり、その後に配当課税の強化をやる。そういう遠大なる計画があって、それに則っているだけなのです。体よく「労働者のために」という言い方をしますが、逆に言うと経営者、資本家の方から金を取るという政策です。

「賃上げ税制」の話をしておいて、頃合いを見て「配当課税」に行く

飯田)配当課税の強化というのは、例の分離課税を見直して行くという話ですか?

高橋)そうです。今回の「株主資本主義」という名称は、その布石です。労働者の賃上げを少し見せて撒き餌を行い、最後に配当課税の方に持って行くというストーリーです。

飯田)総裁選のときに少し出たけれども、批判が多くて一旦うやむやになった話ですよね。

高橋)言ってしまったのですよね。だから今回は「株主資本主義」などと遠回しに言っているのです。聞かれたときは当面、賃上げ税制の話をしておくわけです。賃上げ税制は効果がないから、いくら言っても大丈夫なのです。そのうち頃合いを見て、配当課税の話に行くはずです。

飯田)そうすると、働いている者からすれば、賃上げはほとんどなく。

高橋)ありません。そして配当課税の方に「ドカン」と行くわけです。そちらの方が税収も大きいから、そこを狙っています。要するに増税ですね。

財政再建は必要ない

飯田)分離課税をするというのは、日本でも広く一般に投資をやってもらおうという、NISAやiDeCoと同じ流れのように見えたのですが。

高橋)そうなのですが、そこに手を入れたいと。資本家の方に手を入れると成長の元手がなくなるのだけれど、今回の岸田政権には成長戦略がないでしょう。それと表裏一体ですよ。

飯田)成長戦略がなく、パイを大きくせずに、パイの切り分け方だけを考えると。

高橋)そこに財務省がいるから、取りやすいところに手を突っ込むという戦略があるのです。

飯田)財務省にとっても、パイを大きくしてからの方が財政再建になるのではと、素人的には思うのですが。

高橋)財政再建を考えていないのです。はっきり言えば、財政再建は必要ないですからね。

飯田)財政再建は言うだけで必要ない。

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