3月9日のニッポン放送「北京2022パラリンピックインフォメーション」(朝6:32~)では、選手を裏で支える「スポーツ気象チーム」の存在についてニッポン放送・新行市佳アナウンサーが解説した。
バイアスロン10キロ女子立位で出来島10位、男子では佐藤が9位
北京冬季パラリンピック第5日は3月8日、バイアスロンの10キロが行われ、男子立位で2016年夏季リオデジャネイロ大会を含めてパラ5大会目の佐藤圭一(セールスフォース・ジャパン)が9位に入った。また、女子立位で2006年トリノ大会から冬季5大会連続出場の出来島桃子(新発田市役所)は10位だった。
新行)昨日(3月8日)は、バイアスロンの立って滑るクラス、女子立位10キロに出来島桃子選手が出場。男子立位10キロには佐藤圭一選手が出場しました。出来島選手は10位、佐藤選手は9位でした。私も観ていたのですが、バイアスロンは、1つの競技のなかに2つの正反対の動きが入っているので、改めて難しいなと思いました。
飯田浩司アナウンサー)正反対の動き。
新行)スキーでスピードを競って、心拍数が最大になったところで射撃場に向かって行くではないですか。選手の皆さんが「はあ、はあ」となっているのを……。
飯田)肩で息をしているのを。
新行)それを「グッ」と抑えて、呼吸を整えて正確に撃つという。
飯田)肩で息をしていたら、重心が上下してしまって的に当たらないですからね。
新行)それを落ち着ける訓練、トレーニングをしているのですよね。スピード勝負のところと、正確性も求められる奥深い競技だなと改めて感じました。
選手を裏で支える重要な存在 ~メカニックやワックスマン
新行)北京パラリンピックインフォメーションを連日お伝えするなかで、感想のメールやツイートをたくさんいただきます。昨日、ツイッターで“ラジオホリ”さんから、川除大輝選手の金メダルについて、「グリップワックスが効いていましたね。ワックスマンにも拍手です」といただきました。選手とともに、メカニックの方やワックスマンの方も戦っているのですよね。
飯田)ワックスマンというのは、ワックスを塗る。
新行)板に塗る人です。
飯田)その専門職がいるのですね。
ウェザーニューズが2015年から始めた「スポーツ気象チーム」
新行)ここでは、競技を支える人ということで、スポーツ気象についてご紹介したいと思います。
飯田)気象?
新行)スポーツ気象。ウェザーニューズが2015年に「スポーツ気象チーム」という取り組みをスタートさせました。NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』にも気象情報で選手をサポートする話がありましたが、それなのです。このスポーツ気象チームは、スポーツ選手やチームに対してパフォーマンスの最大化につながる気象情報を伝えて支援、応援するというチームです。前回の平昌パラリンピックからノルディックスキー日本代表のサポートを続けています。
飯田)それほど天気が重要になる。
スポーツ気象チームの見通しでワックスを変更し、新田佳浩選手を優勝に導いた ~平昌五輪
新行)前回の平昌大会ですと、10キロクラシカルで金メダルに輝いたレジェンド・新田佳浩選手の例があります。
飯田)新田佳浩選手。
新行)レースでは実際に気象情報を活用していまして、競技当日にチームに伝えた予報よりも会場の朝の気温が低かったというところで、現地入りしていたスポーツ気象チームのスタッフが会場で自ら観測し、日中の気温や雪質の変化の見通しをチームサイドに伝達。その情報から、ワックスマンが寒さに対応できるようにワックスを塗り替えて、ギリギリのタイミングで新田選手に渡したのです。
飯田)そうだったのですね。
新行)その結果、他の国の選手は気温とワックスが合わず、後半に失速したのですが、新田選手はトップに10秒以上つけられていた差を最後の周回で逆転したのです。
飯田)このワックスが効いたと。
新行)ワックスが効いたということなのです。
飯田)秒単位で競う競技だから、そういうところが効いて来る。
新行)まさに天気を味方につけたということです。
飯田)でも、オフィシャルの天気ではなく、自分たちで観測して予測までする。
新行)北京パラリンピックはコロナ対策もあって、スポーツ気象チームは現地入りできていないそうなのですが、代表専用のオンラインサイトをつくり、1時間ごとの予報を72時間先まで載せています。また、チームに観測機器を渡して現地の写真を送ってもらい、リアルタイムで状況を確かめて対応しているそうです。
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