「日本の安全」を優先的に考えられる政党が必要 ~日本維新の会が国民民主党との連携白紙化

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月22日放送)にジャーナリストの有本香が出演。日本維新の会の松井代表が国民民主党との関係見直しを進める考えを示したというニュースについて解説した。

「日本の安全」を優先的に考えられる政党が必要 ~日本維新の会が国民民主党との連携白紙化

【衆院選2021】日本維新の会開票会見 会見に臨む日本維新の会・松井一郎代表=2021年10月31日午後、大阪市北区 写真提供:産経新聞社

日本維新の会が国民民主党との連携白紙化

日本維新の会の松井代表は3月17日の記者会見で、法案の共同提出など国会での連携を図って来た国民民主党が、衆議院で新年度予算案に賛成したことについて、「与党と一緒に政策協議をするなら早く自民党に連立を申し入れた方がわかりやすい」と述べた。

飯田)「この連携がどうなるのか」と言われていますが。

心もとない国民民主党 ~このままでは現実的な野党としての旗がいつまでも立たない

有本)もはやどうでもいい感じもしますが、ずっとこういうことを言っていると、現実的な野党としての旗がいつまでも立たないのですよ。

飯田)野党としての旗。

有本)国民民主党がもう少ししっかりすべきだと思います。ときには維新と連携しようとしたり、あるいは自民党に近い態度を示したり、参議院選では都民ファーストと組むと言ってみたり、少しフラフラしすぎだと思います。現実的なことを玉木代表もおっしゃるのですが、「本当にやるのですか?」と思ってしまいます。心もとない感じがします。

全国政党というイメージが弱い日本維新の会 ~鈴木宗男さんの発言が取り沙汰されたことも悪影響

有本)日本維新の会に関して言えば、関西では首長や前回の総選挙も含めて躍進著しいです。ただ、全国政党というイメージが弱いですし、ここに来て支持率が少し落ちています。各所で数字に開きはあるのですが、やはりロシア・ウクライナ問題に関して鈴木宗男さんの発言が取り沙汰されたことが影響していると思います。「あれは切り取られたものだ」と松井代表はおっしゃっていましたが、この発言がロシア側のメディアに好意的に報じられています。

飯田)日本国内でこのようなことを言っている人がいると。

国政政党としてもっと明確に旗を立てるべき ~国防に関してどう考えているのか

有本)そうです。それから、既に政界は引退されていますが、橋下徹さんの発言がどうしても維新と被って見えてしまいます。本来ならば、党としての本筋とあまり関係のないところでイメージが落ちてしまっている。私は維新の会も国政政党として、もっと明確に旗を立てるべきだと思います。

飯田)国政政党として。

有本)維新の会は地方におけるコストカットや合理化などについては、非常に強いと思います。今回もウクライナ情勢を受けて、松井代表は「あらゆるタブーを設けずに安全保障について議論すべきだ」と述べています。あるいは昨年(2021年)、「2022年の参議院選挙と同時に国民投票をやるくらいのスピードで、憲法改正について議論を早めるべきだ」と述べている。これは正論ですよね。

飯田)正論ですね。

有本)でも、それと連動する形で国政としての日本維新の会が動いているようには、残念ながら見えない。

飯田)国政としての日本維新の会が。

有本)予算についても、自民党や政権案に対していろいろな反対部分はあったのでしょう。ただ、このような情勢になって来ると、国防について、予算の点でどのような見通しを持っているのか。日本維新の会はコストカットと教育無償化などについての思いが強いです。「憲法に書き込め」と言っているくらいですから。

飯田)そうですね。

有本)しかし、安全保障の優先順位の高さを考えると、その辺りを予算と関連付けてどのように考えているのかということが、あまり深く濃く語られていませんよね。

「日本の安全」を優先的に考えられる政党が必要 ~日本維新の会が国民民主党との連携白紙化

ロシア政府系テレビのニュース番組で、「戦争反対」のメッセージを掲げる女性スタッフ(ロシア) AFP=時事 写真提供:時事通信

この国の安全を優先的に考えられる政党がいまの日本には必要

有本)この辺りが、国政政党としての物足りなさを有権者に与えてしまっているのだと思います。

飯田)物足りなさを。

有本)左派系の野党ではなく、自民党とも違い、それでいて、この国の安全を第一に考えられる政党が、いまの日本には絶対に必要だと思います。日本国民の命や財産、主権、ナショナルアイデンティティを守り抜く政党はどこなのだと、国民は思っているはずです。そのニーズに応えようとしていない人たちに見えてしまいますね。

多くの国民が「ウクライナにおける力による現状変更が東アジアで起こってもおかしくない」と思っている ~「安全保障や外交は票にならない」という時代ではない

飯田)これだけウクライナ情勢が取り沙汰され、世論調査などを見ると、多くの国民が「ウクライナにおける力による現状変更が東アジアで起こってもおかしくない」と思っています。台湾海峡や南西諸島をめぐって、7~8割の人が「必ず波及するだろう」と答えている。かつては「安全保障や外交は票にならない」と言われていましたが、そういう時代ではなくなって来たときに、既存の政党がそこについて行けていないのですね。

有本)そうなのですよ。共産党や立憲民主党は、ゼレンスキー大統領の演説に消極的だということも伝えられました。「そうではない」と言ったりしていますが。ただ、みんな「ウクライナが一方的に攻め込まれた。これは支援しなければならない」という部分では、さすがに全会派一致していると思います。ロシアに対する非難も含めて。

「台湾海峡で何かが起こった場合どうするか」という議論がない

有本)しかし、日本はどうするのですかと。台湾海峡で何かが起こったらどうするのかということについて、積極的な議論をして行こうという姿勢が、どの政党にも足りないと思います。

飯田)議論して予算をつけたとしても、そこから正面装備が変わるまでには、相当時間がかかりますよね。

有本)そうですね。

飯田)そんなに時間は残されていないはずです。

有本)もしかしたら、年内に何かがあるかも知れないという見方も濃いですからね。そのときに「間に合いませんでした」では済まないことです。安全保障だけは、「ちょっと後付けで」とはいかない話です。

飯田)「備えよ常に」ですね。

おっとりしている日本の政治家 ~こんなときこそチャンスでもある

有本)その辺りに真剣さが見られない。私からすると、日本の政治家はとてもおっとりしているなという印象ですね。

飯田)おっとり。

有本)本来はチャンスなのですけれどね。いやらしい言い方ですが。

飯田)これでようやくというか、国民も注目し始めたところで、百家争鳴のようにいろいろな議論が出ますが、それらをどう収斂させて行くかについて、現状はまさにチャンスですよね。

「日本の安全」を優先的に考えられる政党が必要 ~日本維新の会が国民民主党との連携白紙化

ロシアのプーチン大統領(ロシア・モスクワ) AFP=時事 写真提供:時事通信

これまでと豹変したドイツを見習うべき

有本)例えばドイツは日本と同じで、頑なに国防費を上げないで来た。アメリカから圧力を掛けられても「2%など、とんでもない」と言っていたのが、「サッ」と豹変しました。

飯田)そうですよね。

有本)ある意味、見習うべきところだと思います。

飯田)しかも、いわゆるリベラルや左派と呼ばれる社会民主党(SPD)の政権にも関わらず。

有本)一気に変わりましたね。

飯田)ブラント首相以降、ソ連、ロシアと相当近い東方外交をしていたにも関わらず、その辺りの軛(くびき)をすべて捨てるぐらいの勢いでした。

有本)ついこの間まではロシアからガスを買って、「昔の怨念は忘れて仲よくしよう」という感じだったのが、いきなり変わりました。豹変しなければならないのです。自分たちの存亡が危うくされるわけですから。そういう意味では本来、チャンスのはずなのですが、自民党はもちろん野党もみんなおとなしいと思います。

このままでは参院選でも国民には選択肢がない

飯田)相変わらず「敵基地攻撃能力をどうするか」といった話がありますね。

有本)このままでは、参議院選挙でも国民に「選択肢がない」という状態になってしまいます。これまで票にならないと言われていた安全保障や外交に対して、一般の方々の関心が高まっているのです。

飯田)高まっています。

有本)それなのに政治側が積極的に応えようとしていないので、選挙そのものへの関心が薄れて行く可能性があります。投票率が上がることも期待できそうにありません。しかし、こんなときに政治に期待感が生まれなかったら、一体いつ生まれるのだと思います。

飯田)国政というのは本来ならば、国民の生活や財産、生命を守るということに力を発揮するのですよね。

有本)そうです。5000円を配布するとか、そういうばら撒きの話をするではないですか。5000円は論外だと思いますが、この議論に時間を費やしていること自体が考えられない。

「国が危急存亡のときでも、無償化のコストを最優先しなければならない」のか

有本)非常に言いにくいのですが、教育無償化は子育てをする人たちへの支援策として重要ですけれど、日本維新の会が一時言っていたように、それを憲法にまで書き込むという話になると、「国が危急存亡のときでも、無償化のコストを最優先しなければならない」という状態になってしまうのです。これもまた問題だと思います。

飯田)国が危急存亡のときに。

有本)何よりも国としての優先順位があり、国があってこその政(まつりごと)なので、そこを踏み外さないでいただきたいと思います。

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