ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月24日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。3月23日にオンラインで行われたウクライナ・ゼレンスキー大統領の国会演説について解説した。
ウクライナのゼレンスキー大統領が国会でオンライン演説
ウクライナのゼレンスキー大統領は3月23日、日本の国会でオンライン形式の演説を行った。ウクライナの惨状を訴えた上で、日本が実施している人道支援について感謝し、ロシアに対する経済制裁の継続を呼びかけた。
飯田)衆参両院の国会議員およそ500人が出席したということです。
アメリカやドイツでの演説に比べて穏やかな内容
鈴木)演説の前に、自民党の政務三役経験者や防衛大臣経験者などと「どんな演説だろうか」と話していました。結論から言うと、永田町の多くの人がイメージしていた激しいものではありませんでした。
飯田)そうですね。
鈴木)これまでのドイツやアメリカでの演説は、かなりディープなキーワードを投げ込んでいました。聴いている国が反発するのではないかというくらい、喧嘩を売るようなものでした。
飯田)ドイツなどはそうでしたね。
被爆国、北方領土問題には触れず
鈴木)「何をやっているのだ、もっとやってくれ」というように。そんな経緯があったので、日本に対してはどんな刺激的なことを言って来るのだろうかと思っていました。日本は被爆国なので、被爆国としてというところを突いて来るのではないかと。
飯田)広島、長崎。
鈴木)日露の北方領土問題にも突っ込んで来るのではないかとも話していました。「日本も占領されているでしょう。我々と同じです。ロシアはいつ攻めて来るかわかりません。そのロシアに対して弱腰ではないですか?」というようなことを言って来るのではないかと。
飯田)北方領土問題を引き合いに出して。
鈴木)しかし、触れなかったですよね。昨日(23日)の演説が終わってから、改めて自民党の政務三役経験者や防衛大臣経験者などと連絡を取り合って話しました。三役経験者の彼らが言うには、「かなり気を遣ったのだろう」ということでした。あえて日露関係に触れなかったのは、触れれば日本国内、政府内でかなりハレーションが起きるのではないかと。いままで安倍さんがプーチン大統領と長年関係を重ねて来ましたが、「それはロシアを甘やかして来たのではないか」という批判になってしまう。
飯田)安倍さんへの。
鈴木)そうすると日本国内がザワザワします。これはウクライナにとって得策ではないだろうということです。だから触れずに、日本が支援してくれるようにソフトな内容で情に訴えるようなことを言い、日露外交には触れなかったのではないかと。
日本を「アジアのリーダー」と言ったのは中国を意識してのこと
鈴木)そして、「アジアのリーダー」という言い方をしました。
飯田)ロシアに対して、アジアでは制裁をいち早く掛けたという。
鈴木)アジアのリーダーという言葉は、日本に聞かせるだけではなく、中国にも聞かせています。中国に「もっと出て来てくれ」という。
飯田)ロシアに対して。
鈴木)裏では中国がウクライナに武器を供与しているという話もあります。いろいろやっているという話はあるのだけれども、「もっと中国が表に出て欲しい」というところです。中国も聞いているということを意識したメッセージとして、日本を「アジアのリーダー」と表現したのだと思います。
飯田)中国を意識して。
鈴木)そういう意味では、かなり計算されたスピーチだったのではないでしょうか。全体的に見れば、やはり我々に訴えましたよね。「私たちも何とかしなくては」というように感じました。しかし、裏にはそういう意図もあるのではないかという話でした。
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