自民党・高市早苗政調会長が4月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本の安全保障について述べた。
安全保障、核保有議論について ~自民党・高市早苗政調会長に直撃
ロシアによるウクライナへの侵略で改めて検討される核兵器共有の議論。ロシア、中国、北朝鮮と核兵器保有国に囲まれている日本の安全保障について、自民党・高市早苗政調会長が語る。
飯田)ロシアによるウクライナ侵略の影響がいろいろなところに波及するなかで、世論調査を見ても、「台湾情勢について懸念があるか」という趣旨の問いに対して、「ある程度そう思う」と言う人まで入れると、8割以上の人が危機感を持っています。
ここへきて接近する中露
高市)今回は遠い欧州で戦闘が行われているけれど、ロシアは日本の隣国です。そして北方領土を不法占拠している。北海道の方はかなり不安をお持ちだと聞いています。それから、ロシアと中国がここへきて急接近しています。昨年(2021年)は中露の海軍が合同で日本を一周してしまったし、最近も中露の空軍が「合同パトロール」という名目で日本周辺を飛んでいます。
台湾有事への危機感
高市)そして今回、国連安保理や国連総会での中国の姿勢を見ていても、ロシア寄りで、多くの方が「もし台湾有事が起きたらどうなるのだ」ということを感じていらっしゃるのだと思います。
飯田)台湾有事が起こったらと。
高市)エネルギーが最もわかりやすいと思いますが、日本がロシアから輸入している液化天然ガス(LNG)の量は8.8%です。しかし、代わりにオーストラリアやマレーシア、カタール、アメリカからも入って来ます。原油についても、ロシアから入っている量は3.6%、金額ベースで3.7%です。ということは、ロシアから入って来なくても、何とかサウジやUAE、カタール、クウェートなどから入ってくるもので対応することはできる。
ロシアへの経済制裁は中国へのメッセージでもある ~共通点の多い中露
高市)それはみんなわかっているのですが、仮に台湾有事が起きた場合、台湾の南にはバシー海峡があります。ここは原油の9割、天然ガスの6割が通ってくる場所です。そうなると、いま以上に大変な事態になります。
飯田)そこがもし止まるとなると、オーストラリアの南からぐるりと回らなくてはいけなくなりますよね。時間もお金もかかることになる。
高市)攻撃を受ける可能性があります。コストも高くなります。いまの中露の接近は、大きな不安材料です。ロシアに対して日本も相当強い経済制裁に打って出ました。それから異例のことですが、ウクライナへの装備品の供与も早い時期にやりました。なぜかと言えば、とことんロシアを干しあげて、戦意を喪失させると。それによってロシアのやろうとしている思惑を失敗に終わらせる。それはつまり中国へのメッセージになるのです。
飯田)「力による現状変更を認めない」と。
高市)中国とロシアは似ていますからね。まずは専制体制であることです。大きな権力のある人が長いことリーダーを務めています。それから「力による現状変更」をする。国連の常任理事国で、拒否権を発動できる。資源を持っている。このような共通点があります。
中国・ロシア・北朝鮮と核保有国に囲まれている日本 ~どう守るのか
飯田)両国とも大量に核兵器を持っています。しかも我々の隣国です。どう備えるのか、考えなければいけないところですよね。
高市)その通りです。中国もロシアも核兵器を持っていて、北朝鮮も核兵器を持っています。この三国が隣国で、真正面の近距離に位置する場所に国を構えているということは、厳しい現実です。世界中で見ても、核の最前線に日本は位置するということだと思います。
日米同盟のなかで「核シェアリング」の可能性はあるのか
飯田)それに対応していろいろなアイデアが出てきています。安倍元総理大臣は「核共有」という概念を提起しています。これはNATOのなかでドイツなどがやっていることですが、可能性としてあるのではないかという話でした。会長はどうお考えですか?
高市)核シェアリングにつきましては、NATOのなかで核兵器を持っているのは、アメリカとフランスとイギリスだけですよね。
飯田)そうですね。
高市)そのなかで、アメリカの核をNATOの他の国が使うということです。自分の国の戦闘機に載せて使うというときでも、核兵器そのものはアメリカが管理しているのです。だから核兵器を持つことにはならない。
飯田)管理しているのはアメリカであると。
高市)使用するときも、アメリカの大統領とイギリスの首相が同意しないかぎり、使えないルールになっています。そのなかで審査する機関があり、「核の抑止を使う」ということについて合意が得られなければいけません。ですから、核兵器そのものを共同で持つ話ではなく、「意思決定と政治的責任」を共有している仕組みです。
飯田)意思決定と政治的責任を。
高市)いまの日米同盟のなかで、そのような仕組みがつくれるかどうかと言うと、かなりハードルが高いのではないでしょうか。ただ、議論すること自体は封じられるべきではないと思います。
有事の際には国民の命を守るために、「核の持ち込み」は例外として認めるべき ~非核三原則のうち
高市)「持たず、つくらず、持ち込ませず」という非核三原則があります。日本は核不拡散条約に核を持たない国として批准していますから、「持たず、つくらず」のところはこれからも守ることになると思います。これは国際条約ですから、法的根拠があります。
飯田)つくらず、持たずというところは。
高市)ただ「持ち込ませず」に関しては、日本の国内法にも条約にも、何も書いていない部分です。「日米同盟があるから、核の傘の下で守られている」と多くの日本人は思ってきたかも知れませんけれども、「持ち込ませず」の部分に厳しい見方をする政治家の方々は、例えば核を搭載したアメリカの艦船が日本の領海を通航するのもダメだとか、核を搭載した戦闘機が日本上空を通過することもダメだと言います。有事の際でも「持ち込ませず」なのだからダメだという、非常に強硬な意見があります。
飯田)そうですね。
高市)そうなると、核の傘はまったく機能しないので、日本の安全は守れない。「核の抑止力」は使えなくなってしまいます。私自身は「持たず、つくらず」は守るにしても、有事の際に「国民の命を守るのか、非核三原則を守るのか」という究極の選択になったときには、「持ち込ませず」の部分は例外を認めるというようなことを議論しておくべきだと思います。そこは自民党の安全保障調査会で議論するということで、小野寺さんが頑張ってくださっています。
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