「何もしない」ことが支持されている岸田内閣だが、いま動かないと日本は落ちぶれてしまう

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地政学・戦略学者の奥山真司が5月31日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。岸田政権の姿勢について解説した。

「何もしない」ことが支持されている岸田内閣だが、いま動かないと日本は落ちぶれてしまう

2022年5月26日、講演する岸田総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202205/26asia.html)

岸田総理が外国人観光客に民間医療保険への加入を要請

岸田総理大臣は5月30日の参議院予算委員会で、外国人観光客の受け入れ再開に伴って作成するガイドラインについて、「ツアーの参加者から民間医療保険への加入の同意を得ることを記載する。順守されていないと認められるケースが生じた場合は、観光庁から受け入れ責任者である旅行代理店に対し適切に指導を行う」と述べた。

飯田)補正予算について審議されていますが、国政のニュースがあまり聞こえてこないところがあります。

岸田政権の支持率が高い理由

奥山)岸田首相の現在の支持率が上がっているという報道がありました。

飯田)記事になっていますね。

奥山)ほぼ6~7割の高い支持率だということです。私自身は岸田首相にもっと仕事をして欲しい、改革を進めて欲しいと思っています。しかし、それほど動いていないのに、なぜ岸田首相の支持率が高いのかを考えてみると、いくつか理由があるのです。

コロナ禍が収束に向かい経済的にも上がっているところが好感を持たれている ~深刻な医療危機も起きていない

奥山)まずコロナ禍が収束に向かっているではないですか。外国から2万人くらい毎日入れるという話にもなってきて、全般的に雰囲気が明るくなっているような部分はあるのだと思います。全面解除してから制限を掛けていないので、経済的にも上がっているところが、好感を持たれているのではないでしょうか。

飯田)経済的に。

奥山)もう1つ、オミクロン株は重症化率が低いのです。それほど深刻な医療危機もまだ起きていないということです。

ウクライナ情勢によって、国民の関心が内政に向かない

奥山)いちばん大きいのが、ウクライナ危機です。内政に関心が向いていないということが大きいのだと思います。ニュースもそれだけウクライナの話が多くなるので、内政の方に国民の関心が向かないのです。

10~30代では「不支持」が多く、40代から上の支持率が高い岸田政権

奥山)私自身は具体的な仕事をもっとして欲しいと思います。具体策に関して、実は岸田さんが行ったものはゼロです。個人的には岸田さんが嫌いというわけではないのですが、検討するという割に、あまり仕事はしません。

飯田)検討はするけれど。

奥山)しかし、支持率が上がっているのは不思議だなと思う部分があります。内閣支持率について、4月23日に「社会調査研究センター」が発表していますが、若者の間では支持率が高くありません。特に10~30代は「支持する」と答えている人が3~4割くらいで、「支持しない」という人は4~5割の間くらいです。

飯田)若者の間では。

奥山)年齢が上になり、60~70代になると、岸田さんに対する支持が上がって、不支持が少なくなります。

飯田)10~20代は支持37%、不支持45%。30代は支持43%、不支持46%と、不支持の方が高いのですけれども、ここから逆転します。

奥山)40代から上ですね。

「何もしない」ことが支持されている岸田内閣だが、いま動かないと日本は落ちぶれてしまう

2022年5月24日、記者の質問に答える岸田総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202205/24quad.html)

70代では支持62%、不支持25%

飯田)70代では支持62%、不支持25%。高齢者に優しい政権なのですか?

奥山)高齢者にとってはすごくいい政権です。なぜかと言うと、改革をしていないからではないかと思うのです。動かず、「現状維持でいたい」と思うシニアの方の意識に寄り添っているのです。

飯田)シニアの意識に。

奥山)しかし、私はこのままではいけないと思います。いま日本は改革をしなくてはいけない。菅さんのときのように、バリバリといろいろな仕組みを変えてもらわないと、日本は落ちぶれていってしまいます。

「何もしない」ことが支持されている岸田内閣 ~改革をし続けないと、政治の方が乗り遅れてしまう

奥山)しかし、あまり大きな仕事をせずに、抑えていこうという姿勢がウケているのかなと思います。「何もしないことがウケる」というのは、あまりいい傾向ではないと思います。

飯田)小泉さんの時代からそうかも知れませんが、「改革を打ってきた」という疲れが出てきてしまったということもありますか?

奥山)そうかも知れませんね。何か物事を変えると、必ずリアクションがあるのです。リアクションを起こさずに抑えていこうという状態だと、問題は起こらないので、仲よくできて幸せなのかも知れません。しかし、それではダメだと思います。

飯田)リアクションを起こさないということでは。

奥山)改革し続けないと、いまは世の中の動きが早いですから、政治の方が乗り遅れてしまう。これはいかがなものかなと常に思っています。

動いて嫌われるくらいでなければ、歴史的には評価されない

飯田)菅さんがつくったデジタル庁は、「ここを変革の一丁目一番地にしよう」ということで設立されましたが、マイナンバーの話なども進んでいません。

奥山)「進まないところが支持されている」のが嫌なのです。やはり現状維持ではなく、積極的に進めていかなければいけないと思います。

飯田)今回の補正予算も2兆円あまりで、ずいぶん小粒だけれども、小粒の動かなさがいいのかという。

奥山)そうなると、日本はますます停滞していってしまうのではないでしょうか。改革しなくてはいけないのに、停滞して支持率が高いというのはどうなのか。首相は動いて問題を起こして嫌われるくらいでないと、歴史的には評価されないのではないかと思います。

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