ジャーナリストの須田慎一郎が6月6日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。岸田総理のNATO首脳会議出席について解説した。
岸田総理大臣、NATO首脳会議への出席を検討
岸田総理大臣は6月下旬にスペインで開催されるNATO首脳会議に出席する方向で検討に入った。実現すれば日本の総理大臣としては初めての参加となる。会議ではロシアのウクライナ侵略をめぐる制裁や支援の連携を確認、インド太平洋地域への関与強化も呼び掛けるとみられている。
飯田)複数の政府関係者の話として、6月4日に伝えられたニュースです。G7に出るためにヨーロッパに行くということもあるそうです。
参議院選挙に向けたパフォーマンスの一環としての意味合いも
須田)参議院選挙前という、極めて微妙なタイミングということもあるのではないでしょうか。G7に出てNATO首脳会議に出れば、少なくとも日本時間26日~30日ごろまでは、「岸田シーズン」になるのではないかと思います。
飯田)海外出張ということになると、当然、その様子も報道されるし、折に触れて記者会見や記者懇談会などもありますものね。
須田)加えていまはロシア軍によるウクライナ侵略という状況を受けて、まさに世界が注視しています。その一挙手一投足、日本の動きが国際ニュースだけでなく、国内問題としても大きく取り上げられるのではないかと思います。
飯田)選挙期間中だということで、国内の政治の話がまったく報じられないわけではないのですが、時間が若干短くなるきらいがある。そのなかで、国際ニュースから岸田さんの顔が出てくるようになると、戦略としては間違えていないわけですよね。
ウクライナへ行き、ゼレンスキー大統領と会う可能性も ~日本国内への強烈なメッセージに
須田)あくまで噂ですし、NATO首脳会議に出席するかどうかも最終決定していませんけれども、サプライズとして、場合によっては、NATO首脳会議のあと、その足でウクライナへ行くという噂もないわけではありません。
飯田)ゼレンスキー大統領に会いに行く。
須田)単独でということではなく、NATO関係国の首脳と共に、という形を取るのでしょうけれども。
飯田)一緒に行くことになれば、連帯を示すという世界的なメッセージにもなる。
須田)そして、日本国内へのメッセージとしても、極めて強烈なものになると思います。
実現すれば日本の政治家として、初めてウクライナへ入ることに
飯田)ウクライナに入った日本の政治家というと、ゴールデンウィーク中に無断で行ったのではないかという人はいましたが、閣僚レベルであれば、林外務大臣が国境付近までは行きましたけれども、そこまでですものね。
須田)しかも、実現すれば外務大臣ではなく首相ですから、意味合いがまったく異なるものになると思います。
飯田)それが選挙にどう影響するかということも、当然ながら、計算しながらやるわけですものね。
須田)もちろんです。それとワンセットだと考えてもらっていいと思います。
岸田総理は選挙直前の日曜日に日本にいないことに
飯田)日程的なことを考えても、参院選の投開票は7月10日が濃厚だという話がもう出ています。選挙直前の日曜日に、総理はいないかも知れないのですね。
須田)それでも国際社会で活躍するということは格好の選挙対策、選挙に対するPRになるでしょう。
飯田)以前だと「外交は票にならない」と言われていましたけれども、そんなこともなさそうですね。
須田)状況は変わりましたね。
選挙映えするタイプではない岸田総理
飯田)しかし、党内の激戦区で争っている人は、「総理に来て欲しいのだけれど」ということにはならないのですか?
須田)あるでしょうけれども、メディアが「岸田総理一色」という状況になれば、その功績は自民党の公認候補とオーバーラップしてくるでしょうからね。
飯田)新行アナウンサーは前回の衆院選のときに、岸田総理の演説を見に行っていましたが。
新行市佳アナウンサー)最後に行われた大井町での演説だったと思います。
須田)ノートを出してね。
飯田)ノートを出してやっていましたね。
須田)ノートのなかに本当に書いているのかなと思いましたけれど。
飯田)総理の演説はいろいろなことを盛り込むあまり、冗長になるというような話も聞きました。
新行)「総理が来た」ということで、最初はたくさん人が集まるのですけれども、徐々に人が離れていくような感じでしたね。
飯田)それを考えると、海外で注目された方がいいのかも知れないですね。
須田)岸田総理はそれほど選挙映えする人ではありません。
6月末のウクライナでの戦況がどうなるか
飯田)その辺りも含めると、このニュースはいろいろな意味を持ちますが、6月末にウクライナでの戦況がどうなっているかというのも1つのポイントになりますか?
須田)いまの状況は東部集中です。しかも膠着していますから、キーウまで行ってもという状況だと思います。
飯田)散発的にミサイルの撃ち込みがあるという話もありますけれども、要人がいるときにミサイルを撃ち込むことがあるのか。当然ながら、ある程度の情報が入ったなかで、行けるとしたら、という話ですものね。
経済制裁の解除を強く求め始めてきたロシア ~プーチン大統領の発言にも変化
須田)ロシアサイドもウクライナの穀物の禁輸をめぐっては、我々が妨害しているわけではなく、西側の経済制裁が農産物価格の上昇の原因なのだと、プーチン大統領は反論しています。意外と世界のロシアに対する批判について、ナイーブに反応してきているところもあります。
飯田)何か糸口を探っているところがあるのですか?
須田)世界的な金融マーケットにはあまり大きな影響はないけれども、ロシア国債のデフォルトやロシア国内での物価上昇などを考えると、ロシアは、戦争面では優位に立っているのだけれども、経済的には相当追い詰められた状況になっているのではないでしょうか。
飯田)これで膠着ということになると、ロシアは少し不利になるかも知れないということですか?
須田)経済制裁の解除を強く求め始めていますよね。
最終的な着地をどこにするのか
飯田)ウクライナからすると、「これなら押していけるかも」と思いますよね。
須田)最終的に「着地をどうするのか」というところを考えると、ロシアからある種のメッセージが出てきたのかなと、私はみています。
飯田)「トルコが仲介しようとしている」という話が出ていますけれども、その辺りを見た動きというのはありますか?
須田)ロシアとトルコは、黒海沿岸国の2大大国です。トルコにとっても他人事ではないということだと思います。自分たちの経済問題も関係してきますから。
飯田)それぞれの思惑が含まれている。そうすると停戦、あるいは終戦まではずいぶん時間が掛かるかも知れませんが、少しずつ見えてきているという感じですか?
須田)そろそろ出口戦略の具体的なイメージというのも、模索するべきではないかなと思います。
飯田)そうすると、東部2州をどう扱うか、あるいは2月24日のラインまで戻るのか。さらにその前、2014年のラインまで戻るのか。
須田)ゼレンスキー大統領も2月24日のラインを設定していますからね。それについて、ロシア側は呑めないとすると、どうするのかということだと思います。
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