独裁者に囲まれている日本 豹変する彼らに「成功しそうもない」と思いとどまらせるのが抑止力

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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が6月3日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「(骨太の方針に)防衛費をGDP比2%以上にするという目標を明記すべき」とした安倍元総理の発言について解説した。

<左>習近平党総書記(国家主席)=2021年7月1日 写真提供:時事通信/<中>Russian President Putin February 15, 2022, Moscow (C) Sergey Guneev/Kremlin Pool/Planet Pix via ZUMA Press Wire 写真提供:共同通信社/<右>北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記 2022年4月17日配信(朝鮮中央通信=共同) 写真提供:共同通信社

安倍元総理が「骨太の方針」に注文 ~「防衛費を倍増するという目標を明記すべき」

政府の経済財政運営の指針、いわゆる「骨太の方針」をめぐって、自民党の安倍元総理大臣は「日本はアメリカと2ヵ国でロシア、中国、北朝鮮に対応していかなければならない。状況は厳しい」と述べ、防衛費のGDP比2%目標を「骨太の方針」に明記すべきだとする考えを示した。

飯田)防衛費について、岸田総理は日米首脳会談のあとに「相当な増額」と発言しています。その後の予算委員会でも「相当な増額」という表現で、具体的な金額は出てきていません。

宮家)目標として「GDP比2%」ということについて、政府・与党の方針は一応「……2%を含め」などという言い方にしていたと思います。その意味ではこういう方向で動くということは、ある程度は既定路線だろうと思います。

これから総理を狙う人たちが積極的に議論をするべき

宮家)安倍元総理の発言については、いろいろな意見があるだろうと思います。しかし、自民党が小選挙区制になる前の中選挙区制のころは、党内の各派閥の親分たちがそれぞれ、みんなで政策論を積極的に議論していました。いい意味でも悪い意味でも。

飯田)そのころは。

宮家)ですから、そういう議論があること自体までおかしいというのは変な話で、本当はどんどん議論すればいいのです。いろいろなグループのリーダーや、これから総理を狙う人たちが、安全保障問題についてより積極的に議論するべきだと思います。

飯田)「自分はこうやりたいのだ」と。

宮家)そうしなければ、党として弱くなってしまいます。

この議論がもっと活発に行われてもいい

飯田)こういう話題が出てきたときに、いまの論調だと「党内不一致ではないか!」というような意見がいきなり出てしまうけれど、まだ決まったわけではありません。

宮家)議論をして、最終的には投票で決めるわけでしょう。政調会もあるだろうし、いろいろなプロセスがあるから、意見を言えばいいというわけではありませんが、この議論がもっと活発になってもいいと思うのです。

政治 自民党安倍派が政治資金パーティー。「清和政策研究会との懇親の集い」であいさつする会長の安倍晋三元首相=2022年5月17日午後、東京都港区の東京プリンスホテル 写真提供:産経新聞社

独裁者は豹変する ~その準備は必要

飯田)ウクライナ情勢もあり、国民の世論調査などを見ると、「日本をどう守っていくのか」というところへの関心が高まっています。そんななかで(参議院)選挙が行われます。

宮家)ウクライナの問題ではいろいろな教訓がありますが、やはり、「独裁者は突然気が変わる」わけです。1日にして豹変してしまう。そして豹変したら、今回のような戦争が起きてしまうわけです。日本の周りにも独裁者がいるではないですか。

飯田)かなりいますね。

宮家)その人に、「とてつもない」ようなことを決められたら、「どうするのだ!」ということになるのだから、やはり準備だけはしておかなければならないと思います。

習近平(しゅう・きんぺい)中国共産党中央委員会総書記・国家主席・中央軍事委員会主席は25日午前、青年節(5月4日)を前に北京市の中国人民大学を訪れ、思想政治科目のスマート教室、博物館、図書館を視察した。=配信日:2022(令和4)年4月26日、クレジット:新華社/共同通信イメージズ

「できないだろう」と思わせることが抑止力

飯田)台湾有事の話で、「海を渡って数百万人の兵隊を送るなどということは、軍事的合理性がない」とよく言われますが、それを乗り越えてくることもある。ウクライナ侵攻がそうですよね。

宮家)やるかも知れないのです。だから独裁者が「やれるかも知れない」と思ったときに、合理的な判断ができなくなっていたらもう終わりなのだけれど、そうではなくて、「待てよ、台湾海峡はいちばん遠いところで180キロもある。近くても130キロもある。陸上でロシアが戦車でやってもダメなのに、なぜ中国が130キロを越えて行けるのか。タンクで海の上を行くのか、行けないだろう」「上陸用の舟艇等がたくさん必要になるのに、そんなことができるのか」「はやり、止めておいた方が良さそうだ」と思わせなければいけないわけです。

飯田)「それはできないだろう」と思わせる。

防衛費の効果的な使い方 ~空母を持つことではない

宮家)それが抑止というものなのです。中国が3隻目の空母を進水させる可能性があると報道されているではないですか。戦闘機を加速発進させる「電磁式カタパルト」を搭載していると。

飯田)そうらしいですね。

宮家)今の中国の空母はあまり重い武器を積むと戦闘機は離陸できないらしいのだけれど、おそらくカタパルトで押し上げるわけでしょう。そうすると、もしかしたら重装備でも簡単に離陸が可能になるかも知れませんね。

飯田)カタパルトによって。

宮家)しかし、これからは空母など簡単に沈められるのです。そんなことで一喜一憂するよりも、130キロの海を渡って行くときに、「とても成功できるわけがない」と思わせることが大事だと思います。

飯田)こちら側には常に何かあったら守るという体制があること。

宮家)そして、彼らが「このままでは失敗する。この準備や装備、体制であれば、こちらがどう頑張っても成功しそうもない」と思わせることが抑止の基本だと思います。

飯田)抑止の基本。

宮家)それは必ずしも日本が本格的空母を持つことではありません。もっと素早く動く、小さくてレーダーに映らず、数が多く、神出鬼没な防衛システムを準備した方が効果的だと思います。

飯田)「海の忍者」などと言われるようなものが。

宮家)アメリカはもう無人の戦艦をつくっています。ものすごいスピードが出るものです。いま世界で「戦い方」が変わっていることを踏まえて、仮に日本が防衛費を増やすにせよ、もっと効果的な使い方を考えた方がいいと思います。

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