「人権抑圧」何も変わっていない中国 「天安門事件」から33年
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ジャーナリストの須田慎一郎が6月6日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。天安門事件から33年が経過した中国国内の状況について解説した。
天安門事件から33年
6月4日、中国の民主化を求める学生らが武力鎮圧された天安門事件から33年となった。中国共産党は現在も当時の対応を「正しかった」とする立場を変えておらず、事件の責任を問う声はいまも封じ込められている状況だ。香港では毎年、市民団体が集会を開き、犠牲者の追悼と真相究明を求めてきたが、2022年は集会が開催できなかった。
飯田)台湾で追悼集会を行ったということが報じられております。
須田)中国国内でも、北京市あるいは上海市を含めて都市封鎖が行われていて、学生が学園内に閉じ込められているという状況になっています。それに対して封鎖解除や帰省を求めて数百人が抗議したのです。これが6月4日の直前に行われたということで、相当警戒感が高まってきたわけです。今回の天安門事件の節目について、中国国内は不穏な空気に満ちていたのではないかなと思います。
「ゼロコロナ」政策での都市封鎖に学生の抗議続発 ~中国政府も譲歩
飯田)香港もこんな状況になってしまった。前からそうでしたけれども、強権的な政治が加速する一方という感じですかね。
須田)強権という意味では、天安門事件はその象徴であるのだけれども、まさに「いま同じような状況が中国では起こっているのではないか」という問題意識があります。普通であれば、今回も都市封鎖に抗議した学生に対して、封じ込めていくのだけれども、さすがに中国共産党サイドも譲歩して、実家へ戻ることも許したというところです。要するにガス抜きをしなければならないほど、緊張した状況にあるのでしょう。
飯田)上海も一応、6月1日でロックダウンを解除しました。上海が解除したあと、地域的にはロックダウンになるところも出ているようですが。ロックダウン中は、市民が抗議しているような動画も出ていて、不満が高まっていますね。
「人権抑圧」という点では33年前と同じ状況の中国国内 ~習近平1強による弊害
須田)人権抑圧という点では、33年前に起こったことと、いま起こっていることがオーバーラップする状況になっていると思います。
飯田)あのときは、胡耀邦氏など、学生に対して一定の理解を示していた政治家もいたわけですが、今回に関してはそういうプレーヤーが出てこずに、習近平1強という状況が続いています。
須田)1強の弊害とも言えるのだろうと思います。1強であり、なおかつ当時よりもずっと高圧的な対応に終始しています。このままいくと、風船がパンパンに膨らむように、どこかで破裂する状況が起こりかねません。
飯田)その不満の矛先、ガス抜きを内ではなく外に求めるということになると……。
須田)対外的には強硬路線というところにつながっていきます。確かに今年(2022年)は中国にとって共産党大会が控えているだけに重要な年なのですが、それを乗り越えられるかどうかは、極めて微妙なところだと思います。
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