数量政策学者の高橋洋一が6月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。観光庁が公表した外国人観光客受け入れのための旅行会社向けのガイドラインについて解説した。

訪日外国人観光客の受け入れ再開に向けた実証事業のため来日した米国の旅行会社関係者ら=2022年5月24日、成田空港 写真提供:産経新聞社
外国人観光客の受け入れ再開を前に、観光庁がガイドライン公表
外国人観光客の受け入れが6月10日から再開されるのを前に、観光庁は7日、旅行会社向けのガイドラインを公表した。旅行会社がツアーの参加者に対して、マスクの着用をはじめ感染防止対策を徹底するよう、あらかじめ同意を得ることなどが盛り込まれている。
団体ツアー客のみ入国を許可する本当の理由
高橋)団体客なのでしょう、基本的に。
飯田)当面は団体のみ許可するということです。
高橋)なぜ団体客だけかと言うと、出どころがはっきりしないのだけれども、「マスクを義務化するためだ」という話があったのです。
飯田)なるほど。
高橋)団体のツアー客でないと、誰もマスクを強制できないでしょう。参加条件としてマスクの義務化を条件にするということです。団体ツアーの会社は基本的に国交省の監督ですからね。そこで規制できるからだという話を聞いたので、業者の人に知っているかどうか聞いてみたら、みんな知っていました。
飯田)みんな知っていると。
高橋)いま日本に来る人は、どちらかというとリピーターなのだそうです。日本に慣れていて、「団体ツアーでも行きたい」という人ばかりで、本来であれば、団体客として来るような人ではないのです。
飯田)「日本ならこうなるよね」という形で従ってくれるのではないかと。
高橋)「いまどき団体客に絞るということ自体が国際標準とズレている」と、旅行業者の人は言っていました。
マスク着用義務について、外国人団体客から「どこで決まっているのか」と聞かれても、誰も答えられない
飯田)マスクをするにしても、法律の定めがあるわけではありません。
高橋)まったくない。団体客ツアーで同意書を取ると言っているのだけれども、説明するのが大変ですね。「どこで決まっているのですか」と誰かに質問されたときに答えられない。「これは日本のルールです」と言っても、「ルールがないのだから、する必要はないのでは」と言われてしまう。
飯田)ルールというのは法律かというと、そうではない。
高橋)以前、「自粛」が話題になりましたが、自粛は英語で“voluntary restraint”と言うのです。“voluntary”と聞いた段階で、「ああ、オッケーオッケー」という感じになるわけです。“voluntary”だと、外国人は「自分の意志だな」と確認するのです。自分の意志だから「わかりました」で終わりですよ。「自分で判断できます」ということになるわけです。
飯田)法律、ルールに縛られているわけではない。
高橋)旅行会社は一応説明したというだけです。
ビジネス関係者や留学生への対応
飯田)G7でここまでの水際対策をやっているのは、もはや日本だけだと。
高橋)通常のビジネス関係者や留学生はどうなのかというと、形式的には受け入れの人をつくるのです。「受け入れの人が説明した」ということになっているのだけれども、していないでしょう。今回の外国人観光客については、日本政府の「やった感」だけが出ているような印象です。実際問題として、個人客を入れないと大きなインパクトにはならないですね。
飯田)結局、国内向けと国外向けを使い分けるようなことになってしまうのでしょうか?
高橋)国内では「日本のルールだ」と言うのだけれども、“voluntary restraint”と言ってしまったら、ルールではないですよ。それ以外に説明できないのです。それであれば個人客も入れて、国内で対策した方がいいのではないでしょうか。高齢者や基礎疾患のある人はワクチンを打つというように。
飯田)必要な人たちはワクチンを打つなりして備えつつ、重症化した人に関してはきちんと手当てをする。全員隔離のような状態からは離れよう、というような議論になっていかなければいけないですよね。諸外国は既にそうなっています。
高橋)ワクチンを子どもに打つべきかどうかという議論になっているようですが、高齢者と基礎疾患がある人にだけ打てば十分でしょう。
飯田)経済はしっかり回していく。
高橋)回せるのではないですか。