通信やデジタル分野での「中国勢排除」が米による「IPEF」の狙い

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ジャーナリストの須田慎一郎が6月13日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。アメリカ主導の経済圏構想「IPEF」の非公式閣僚級会合の開催について解説した。

「七一勲章」授与式、北京で盛大に開催(北京=新華社記者/劉衛兵)= 2021(令和3)年6月30日 新華社/共同通信イメージズ

アメリカ主導の経済圏構想「IPEF」、非公式の閣僚級会合を開催

米通商代表部(USTR)は6月11日、アメリカ主導の経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の非公式閣僚級会合を開催したと発表した。会合には日本を含め参加表明した全14ヵ国が出席。貿易分野の交渉目標について意見交換し、早期実現に向けて議論を加速させることで一致した。

飯田)経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会に合わせて、フランスのパリで非公式の閣僚級会合が行われたということです。

須田)インド太平洋経済枠組み(IPEF)の持つ意味合いは、「デジタル、ハイテク、通信」が肝であるということが徐々に明らかになってきました。

「通信やデジタル分野で中国勢を排除する」のがIPEFの狙い

須田)インド太平洋経済枠組み(IPEF)は対中包囲網であることは間違いない。それは中国の反応を見ていれば明確で、相当な牽制をしています。また、中国サイドの発信力があるエコノミストから、「こうなったら台湾積体電路製造(TSMC)を実力で奪い取るまでだ」という発言が出ています。

飯田)そうですね、台湾の。

須田)台湾積体電路製造(TSMC)は世界トップレベルの半導体メーカーですが、それを言ってしまったら、中国サイドが何に困っているのかわかります。中国を排除して、サプライチェーンを構築する中心になっているのは、半導体であり、最先端の半導体を使わなければならないのは通信やデジタルの分野です。この分野において、「中国勢を排除していこう」というのがインド太平洋経済枠組み(IPEF)の本来の狙いなのだということを理解すべきだと思います。

IPEFに台湾を入れなかった理由 ~必要以上に中国を刺激させないため

飯田)当然、この枠組みのなかに台湾積体電路製造(TSMC)があるということが視野に入ってくるけれど、発足のときには台湾を入れる方針を取らず、サリバン米大統領補佐官は明確に否定しました。そして別の枠組みをつくるのだということですが、この辺りは一体運用になってくるのでしょうか?

須田)中国を過剰に刺激するのは得策ではないということで、アメリカの得意な曖昧戦略を取っているのだろうと思います。アメリカサイドの国務省のある高官に言わせると、これから通信規格が6Gにシフトしていくなかで、「グローバルで最先端の技術を持つアメリカ陣営を選ぶのか、それともローカルでローテクな中国陣営を選ぶのか。私たちは強制しない、選ぶのは各国だ」という言い方をしていました。

半導体の製造はできるが、設計能力がない中国

須田)そう考えると、選択肢は決まっているのではないかなと。確かに半導体という点では中国も製造できます。半導体をつくる能力は、あと5年~6年もすれば、いまの台湾積体電路製造(TSMC)の水準に追いついてくるでしょう。

飯田)半導体をつくる能力は。

須田)問題なのは何かと言うと、半導体の製造だけではなく、設計が大事なのです。この設計技術が圧倒的に中国は欠けています。つくる能力はあるけれど、設計する能力はない。この穴埋めは短期間では身に付きません。身に付いたとしても、独自基本ソフト(OS)を含め、西側のパテントを使っていかなければならない。しかし、それは認められないだろうから、新しいものをつくらなくてはならないと考えると、見通しがまったく立たないのではないかと思います。

アメリカが要求する半導体は「安全である」という認証 ~中国メーカーに依頼するものは怖くて使えないTSMC

飯田)台湾積体電路製造(TSMC)は約5兆円もの設備投資を発表しています。もちろんアメリカ国内でもやっていますが、台湾としても、ここを虎の子にしてアメリカを引き込むということは戦略としてあるようですね。

須田)どちらかの陣営しか選べないのです。半導体に関しては、これからアメリカが要求してくるのは「安全なものである」という認証です。半導体のチップ1つひとつに求めてくる。そこで仮に情報漏洩やハッキングが起きた場合、製造した会社の責任になるのです。損害賠償責任になります。それは怖い話なので、中国本土でつくったり、中国メーカーに依頼するようなことはあり得ない話なのです。

飯田)ハイテク分野では、既に二極分化が進んでいますし、日本はどちらかと言えば、当然ながらアメリカ側につくしかありません。

須田)それを使わなければ、完成品の生産もできない。これから本格的なIoT(インターネット・オブ・シングス)の時代を迎えていくなかで、家電製品も自動車も、すべてインターネットに接続されるわけです。先程言った通り、すべてに認証を求めようとするならば、怖くて中国本土でつくったチップや中国メーカーがつくったものは使えなくなります。だから台湾積体電路製造(TSMC)もアメリカや日本でつくらないと、扱ってもらえないという状況になるのです。

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