数量政策学者の高橋洋一が6月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。住宅の省エネルギー化を促すための建築基準法などの改正法について解説した。
新築住宅に省エネ義務
住宅の省エネルギー化を促すための建築基準法などの改正法が6月13日、参議院本会議で全会一致で可決、成立した。すべての新築住宅と小規模ビルを対象に、2025年度から断熱性能などの基準を満たすよう義務付ける。
既存の住宅に補助金を付けて改修を推進する ~新築を建てることはほとんどない
飯田)国会の会期末が近いということで、次々に上がり法案が成立していますが、高橋さんは「省エネは既存のものをやるべきだ」ということをおっしゃっていましたよね?
高橋)そう言っていたのですが、今回は新築のもので、延べ床面積300平方メートル以上のオフィスビルが対象になっています。新築もいいかも知れませんが、いまは電力不足と言われているではないですか。その一方では「節電」と。
飯田)そうですね。
高橋)それならば、既存住宅の改修に補助金を付ける形でもいいのではないかと思うのです。項目として、予算措置のようなものも少しはあるのですが、本格的に景気対策をするのなら、数千億円かけて行えば推進すると思います。「新築だけ」と言われても、そう簡単にはいかないでしょう。
既存の住宅に補助金を付けて改修すれば省エネ効果もあり、節電もできる
飯田)新築を建てることはなかなかありません。人生の決断ですからね。
高橋)だから既存のものにも補助金を付けてやれば、火力発電所数基分くらいの、それなりの省エネ効果があるし、節電ができるのです。こういう案があることは知っていましたが、だからこそ「既存の建物はやらないのかな」と思います。
飯田)なるほど。
高橋)「住宅の省エネルギー化を促すための建築基準法などの改正法を可決」と報道すれば、「やっている」ように思えるでしょう? でも、本当は既存の分を断熱改修すれば効果があるのですけれどね。
飯田)既存住宅に関しては、「低利融資」ということです。
高橋)低利融資で一応やっているという姿勢になるのでしょうが、補助金を付けた方がもっと効果が出ます。
原発を再稼働できないのならば、既存住宅の断熱改修への補助金を付けるべき
飯田)いまは住宅ローンなどに関しても、既にかなり低金利になっていますよね。
高橋)だからあまりメリットがないのです。10年国債金利がほぼ0%ですよ。0%プラス0.25%というレベルです。かなり低いですよ。これに低利融資となると、どうなるのでしょうか? 逆に言えば、マイナス金利にするぐらいの形で補助金を付けるというのが私の発想だったのです。
飯田)なるほど。マイナス金利ということは、補助金を出すことと同義だと。
高橋)でもいまは「電力が足りない」と言っていて、節電を要求するのであれば、一緒にこういうことをして欲しいと思います。もちろん、原発の再稼働ができれば、いろいろなことがすぐに解決するのです。しかし、それをしないのなら、断熱改修ぐらいしたらどうなのかと思います。
飯田)ある意味プランA、プランBのようなもので。
新築だけが対象では大きな効果は期待できない
高橋)そうですね。新築だけでは大変です。
飯田)そういうところも出したがらないのですか?
高橋)出したがらないです。方向性は悪くないのだけれど、「もう少し思い切ってやれば効果が出るのに」と思うことが多いです。出し渋り感があると、すぐには効果が出ません。「思い切ってやってしまえばいいのに」と思います。でも、参議院選挙までは何もしない方針のようです。
飯田)「Go To トラベル」も、大方の人には大きなメリットがあるのではないかと思うのですが、やれば批判が出るからやらないということなのでしょうか?
高橋)よくわからないですね。今回の対応も新築だけにすれば、批判など出ようがないということでしょう? 当面、(家を建てることは)ないのだから。
飯田)よほど手元にお金がある人か、もともと計画していた人以外は関係ないですね。
高橋)そういうやり方にしているのだと思います。要するに、慎重に小出しにゆっくりと。だからタイミングを失しているところがあります。断熱改修の話は、他の国ではやっていることです。
飯田)先行事例があるのに。
高橋)そうですね。
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