自民党の平将明広報本部副本部長が7月7日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。参院選における自民党の公約について語った。
ロシアのウクライナ侵攻により、安全保障への有権者の関心が高まっている
6月22日に公示された参議院選挙は、7月10日に投開票を迎える。同番組では、選挙期間中各党の代表や党首、幹部に党の公約や参院選の戦い方などを訊く。今回は自民党の平将明広報本部副本部長。
飯田)選挙戦も大詰めというところまできました。ここまでの戦い、手応えはいかがでしょうか?
平)ロシアのウクライナへの侵略がありましたので、「この国をどのように守っていくのか」ということが注目されているようです。これまでの選挙では、安全保障が争点になることはなかったのですが、そういうところにも有権者の皆さんの関心があるのだという印象です。
飯田)演説で安全保障の話をすると、反応がいいですか?
平)「関心がある」という感じです。歩いている方も立ち止まって聞いていらっしゃいます。日々、ニュースなどで戦争犯罪の映像が流れてきます。露骨な侵略戦争を目の当たりにしているわけなので、その辺りの意識は変わってきているのではないかという印象を受けました。
「自民党優勢」という報道に安心せず、気を引き締めて選挙戦を戦う
飯田)世論調査について、各紙も議席の予測などを出していますが、自民党の優勢も伝えられるなかで、内閣支持率は少し減速している感じがあります。ここは影響していますか?
平)世論調査の結果で、「多少、自民党がいいのではないか」という報道がありますが、不在者投票は始まっていますけれど、まだ投票はされていません。「なんだ、自民党はいいのか。それでは他の政党に入れよう」というようなことになりかねないので、これを見て、安心するということはまったくありません。逆にマイナスに働くと思っていますので、我々の陣営は気を引き締めてやっていきたいと思います。総理の支持率については、一喜一憂することなく、いまは選挙戦中なので、できることをすべてやるということです。
安全確認された原発を再稼働する ~電力需給に関しては需要サイドに働きかけをするインセンティブ設計を行う
平)エネルギーについては、目の前の、電力需給のひっ迫があります。安全確認された原発を再稼働していくということは、方針が決まっておりますので、そのように進めていきます。ただ、再稼働していいかどうかというのは、原子力規制委員会が決めることです。かなり独立性の高い委員会ですから、政府が「すぐにやれ」と言っても、そうはいきません。ここの体制を、予算も人員も含めて充実させていく。
飯田)予算も人員も含めて。
平)あとは、需要サイドに働きかけて、ピークの時期をどのようにコントロールするかというのが、停電に対してはいちばん効きます。いままでは要請だけしてきたものを、ポイント制というのが流れてきていますが、多少はインセンティブも含めた制度設計をする。需要サイドに働きかけをするインセンティブ設計のようなものも行う必要があると思います。
資源価格の高騰に対して、それなりの規模の補正を行う
平)資源高については主に外部要因が大きく、まさにロシアによるウクライナへの侵略戦争で、液化天然ガスの供給が細っている。ロシアもウクライナも穀物の輸出大国ですから、戦争でウクライナからも出てこない。経済制裁をしていますので、ロシアからも出てこない。そこに円安が掛け算で効いてきているわけです。立憲民主党さんなどは、日銀がアメリカのFRBのように利上げしたらいいと言いますが、これはまったく間違った情報だと思います。エネルギーや食料を抜いた「コアコア(物価)指数」の物価上昇を見れば、まだ1%にいくかいかないかくらいです。
飯田)1%にいくかどうか。
平)そうなると日銀の打てる手は限られていますので、そこは財政をしっかりやるということです。まだこれはコミットしていませんが、我々、政策をつくっている議員からは、それなりの規模感の補正をやって、電力やガソリンというところにはしっかりと手当てをしていく議論をしたいと思います。
飯田)補正を。
平)円安に対して中長期的に効くのは、成長戦略をきちんと出すことだと思いますので、マクロ経済の司令塔で、パッケージで対応していくしかないと思います。
電力と通信システム、またコンステレーション衛星や現場の基地局、システムの強靭化を進める必要がある
飯田)社会全体のデジタル化をどう進めていくかということですが、先日、KDDIの通信障害がありました。「日本のインフラは大丈夫か」と心配する声もありますが、どう手当てしていきますか?
平)IoTやデジタル化が本格的に進むなかで、こういう問題が顕在化することはよくないのですが、みんなの問題意識として、「こういうリスクもある」ということが共有できたのではないでしょうか。デジタル化していく上で、電力と通信の強靭化はとても重要ですし、今回のウクライナ戦争をみてもコンステレーション衛星という、小さい衛星2000個~1万個を宇宙に上げて、直接インターネットでやるという技術も注目されています。宇宙のコンステレーション衛星や現場の基地局、システムの強靭化は重要な課題ですので、総務省、デジタル庁含めて強化していかなければいけないと思います。
サプライチェーンについては民間事業者と情報を共有、公開しながら制度設計していく
飯田)インフラを守るという意味で経済安全保障の基本法案が出たわけですが、これをもっとブラッシュアップしなければいけないということが言われています。今後の課題はどういうところにありますか?
平)経済安全保障という概念の法律を初めて出したものですから、それを含めてディテールは政令などで決めるということになっています。一方でサプライチェーンのグローバル化をここ数十年と進めてきましたが、民間事業者の方などと情報を共有し、情報公開しながら制度設計していかなければいけないと思います。いずれにしても、サプライチェーンの強靭化をしていかなければいけないので、これから進めていきたいと思います。
これからの成長戦略の大きな柱になる「デジタル田園都市国家構想」
平)「デジタル田園都市国家構想」は、いままでやってきた地方創生に掛け算で、デジタルの最大限の活用ということですから、地方創生2.0のような話です。地方はさまざまな課題を持っていますが、デジタルを使って解決し、「分散型の国家をつくっていこう」ということだと思います。地域のリソースを最大化して、それをグローバルな需要に結びつけていく。ただ、地理的に不利なところがありますので、それはデジタルで解決していく。これからの成長戦略の大きな柱だと思います。
憲法改正しなければパンデミックや自然災害の対応も難しい
飯田)「国をどう守るか」というお話がありましたが、そうすると、憲法9条という話にもなっていきます。憲法改正についてはどうなっていきますか?
平)憲法改正については、今回、しっかり公約にも入れさせていただいております。いわゆる自主憲法制定が、我々の党是です。安全保障の問題もありますし、あとはパンデミックの対応、自然災害や首都直下型地震の対応もあります。これができないと、平時と有事の切り替えがうまくいかないので、しっかり憲法改正の議論をしていき、実現したいと思います。
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