これほど大きな通信障害に至ったのは情報をすぐに出さなかったKDDIの「判断ミス」

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ITジャーナリストの三上洋氏が7月4日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。7月2日の未明から続くKDDIの通信障害について解説した。

これほど大きな通信障害に至ったのは情報をすぐに出さなかったKDDIの「判断ミス」

【経済】会見冒頭で2日に発生した通信障害について謝罪するKDDIの高橋誠社長(右)=2022年7月3日午前、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

KDDIの大規模な通信障害、全国最大3915万回線に影響

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KDDI・高橋誠社長)社会インフラを支える、また安定したサービスを提供する、そのような立場にある通信事業者として深く反省いたしております。お客様には多大なご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。

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通信大手KDDIは7月2日未明から続いている大規模な通信障害について、3日午後5時半ごろに復旧作業を終えたと発表している。しかしネットワークの検証を行っている状況で、通話の量が制限されるなど、いまだに完全復旧には至っていない。

ルーター交換の際の人為的ミスから

飯田)KDDIの通信障害についてですが、どういう状況だったのでしょうか?

三上)auが機器のメンテナンスをしておりました。ルーターと言われるネットワークの接続装置を、古いものから新しいものに取り換えたのです。その交換時に、設定などの人為的ミスがあったようです。

飯田)ルーターを交換する際に。

三上)そこで15分間、電話のサービスが止まってしまったのです。15分間止まってしまったものが再接続したときに、電話交換機と言われるところに一気にいってしまった。そこで溢れるような形、いわばパンクしたようになってしまい、処理不能になる。それがさらに波及していって被害が大きくなったということです。

バックアップの仕組みがあったにも関わらず被害が拡大 ~その理由は解明されていない

飯田)最初のたった15分の停止だけで、データなどが集まってしまうものなのですか?

三上)そうなのです。もちろん、これだけ大きな状況になるとはau側も想定していなかったようです。このようなトラブルが起きたとき、パンクの状態、「輻輳(ふくそう)」と言いますが、輻輳が起きてもいいように準備はしていたそうです。

飯田)準備はしていた。

三上)しかし、想定よりも大きな被害になってしまった。au側はバックアップとして、輻輳が起きてもいいような仕組みをつくっていたのに、なぜ不具合が広がったのか正直わからないと3日の会見では言っています。

バックアップシステムは十分だったが、実際に起きたときのシミュレーションが足りなかった

ジャーナリスト・須田慎一郎)バックアップシステムが止まってしまったということですけれども、その辺りの投資というか、そこをもう少し拡充しておくべきだったのでしょうか?

三上)今回、問題になっているのは電話交換機、電話を掛けたときに相手につながるところの交換機がパンクしたことから、さまざまな波及効果が広がったのですが、この電話交換機は18台あるのです。

飯田)18台も。

三上)1つが故障しても他で対応できるようにと、切り替えのためのシステムがあるのです。NTTドコモで2021年に大きな障害がありましたけれども、あの反省をもとに、問題が起きても大丈夫なようにと準備していたということです。ですので、投資は比較的していたと思われますが、実際に起きたときのシミュレーションが足りなかったのではないでしょうか。

電話を掛けるだけではなく、通常生活にも影響する通信障害

飯田)今回、音声の通話が主に不能になったということですが、一方でIoT機器など、法人契約している機器にも影響が出たということです。影響は広範囲にのぼりましたね。

三上)そうですね。気象庁のアメダスがかなり止まっています。アメダスというのは日本各地でどのくらい雨が降ったかを計測する装置です。その装置がau、KDDIの携帯電話の仕組みで気象庁とつながっているのですが、これが止まってしまっているのです。同じようにIoTと呼ばれる機器は、今後の自動運転車にもつながりますし、身近なところでは自動販売機も携帯電話でつながっています。携帯電話の通信障害が起きると、私たちの生活は困ってしまうのだということが、今回の事件でわかりました。

もっと早く状況を説明するべきだった ~情報をすぐに出さなかったのは判断ミス

須田)いまの時点で言うことは難しいかも知れませんが、何をどうすべきだったと思われますか?

三上)1つ対応すべきは広報の不足だと思います。「わからない」という状態が17時間以上続いたのです。もっと早く伝えて、「この状況ですので、申し訳ありませんが、いまは電話を使わないでください」と伝えることでパンクを防げるのです。早く情報公開して、「こんな状況なので電話やデータ通信を少し控えてください。その間に直しますから」というアナウンスをもっと早く行うべきだったと思います。

飯田)つながらないから、みんながもう1回掛けようとして集中してしまったわけですものね。

三上)それがパンクの原因の1つにもなっていると思います。

飯田)3日の会見のなかではその辺りについて、「中途半端に情報を出すとさらに混乱するから」というようなことを言っていましたけれど、いまは時代が違うというところですかね。

三上)そうですね。情報を出さないと、「復旧はいつなのか」という不安感からなお使いますので、判断ミスだったと思います。

今後に備えてフリーWi-Fiの場所を確かめておく、固定電話がある家庭は持ち続ける

飯田)今後について、ユーザー側で何か備えておくべきことはありますか?

三上)難しいところなのですが、フリーWi-Fiの場所を確かめておいたり、自宅にいまでも固定電話があるというご家庭は、固定電話を今後も使い続けて欲しいのです。

飯田)バックアップとして。

三上)そうです。固定電話は災害にも強いので、持っていた方がいいと思います。

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