みずほ銀行システム障害~根底に残る「昭和の体質」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月15日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。システム障害を繰り返し起こすみずほ銀行について解説した。
みずほ銀行システム障害
みずほ銀行は、3月11日に法人顧客の外貨建て送金で約300件以上の遅れが生じたと明らかにした。みずほ銀行のシステム障害は、2月末にATMの8割が一時停止する大規模障害に始まり、3月3日と7日にATMやネットバンキングの障害が起き、2週間弱で4度目となる。
飯田)12日夜に緊急会見を行った頭取は謝罪を繰り返したそうですが、金融庁から報告命令が出ていた矢先ですけれども、また出たかという。
銀行の基幹システムである勘定系システム
須田)銀行のシステムというと、大きく2つの種類があります。1つはこのような送金や預貯金の預け入れや払い出しという、実際のお金の流れに関して処理する勘定系と言われているもの。もう1つは、個人情報やデータのやり取りを処理する情報系と言われているものの2つに分かれています。ホストコンピューターも2つに分かれているケースが多いです。銀行の基幹システムというと、この勘定系の方を指します。ホストコンピューターにすべてのデータを集め、やり取りをするという仕組みが取られています。これはみずほだけではなく、三井住友も三菱UFJもみんなそうなのですけれども、この時代において、勘定系といっても、かつてのようなシンプルな取引項目だけでなく、さまざまなものがありますからデータの負荷はすごくかかるのです。
勘定系システムでトラブルが頻発するのは「銀行業務ができない」ということ
須田)ここは絶対にトラブルが発生してはいけないところなのです。この勘定系でトラブルが頻繁に発生するというのは、「銀行として銀行業務ができない」と言っているのに等しいのです。お金の流れについてスムーズにできないわけですから。そういう点で言うと、いまみずほ銀行はかなり致命的な状況になっていて、勘定系のシステム構築そのものに、どこか大きな問題点があったのではないかと考える必要がある。これをゼロベースで見直すということは、とてつもない作業です。
飯田)そうですね。
須田)「ホストコンピューターに全部データを集約させて処理する」というやり方そのものが、もう時代に合っていないのだろうと思います。これをもう1回つくり直すなどというのは、銀行としての負担の上限をはるかに上回ってしまいます。しかし、やらないのならば、どうするのということになります。金融機関、銀行としての信頼性がまったく失われた状態になっているのだと思います。
昭和の銀行のやり方が残ってしまっているみずほ銀行
飯田)かつては再編した複数の銀行でそれぞれ違っていたシステムを刷新して、4000億円を投じてMINORIという新たな基幹システムをつくり、それが全面稼働したのが2019年7月です。これで大丈夫だとなっていたのですか、今回また起こってしまった。法人にも影響が出るというのは、また別のフェーズになったような気がします。
須田)そうですよね。システムメンテナンスや、トラブルが発生したときの損害賠償などを考えると、銀行を退職したシルバー層、定年退職だけでなく人員整理をされた人たちの受け皿として、関連会社が山ほどあるのです。そこを受け皿にしていて、しかも「企業体系を変えることによって人件費を抑える」という仕組みを取るものですから、飯を食わせるためにこのシステムがオペレーションされている部分もある。仮にこのような問題が起こったときに何が起こるかというと、関連会社に保険料を払っている保険で賄うというような、一族郎党が食うような仕組みのなかで効率性や最適性が無視されているのです。ある意味で昭和の時代の銀行システムがそのまま残ってしまっている。しかも、みずほの場合は3行合併でしょう。それぞれが残ってしまっているのです。
リスクを避けるために取引する銀行を変える企業も
飯田)最初のATMの停止は、定期預金をデジタル通帳に変えるときに、メモリーの設定を間違えたということでした。「そこで間違うか」という話だったのですが、今回、そこからまたポロポロと出ていますものね。
須田)古臭い陳腐な言葉で言うと「緊張感の欠如」というようなところです。「なぜ緊張感が欠如しているのか」というところを考えて行かないといけない。「きょうはちゃんと送れた」というような状況になってしまうと、企業にとっては大きなリスクになるので、取引先を変えるという動きになります。4000億はかけたけれども、もう少しリーズナブルなやり方で、コスト削減を考えて新しい仕組みを再構築しなければならない。加えて、みずほ銀行に限らず、ハッキングリスクに対して極めて脆弱です。
飯田)真ん中の基幹を破られてしまうと、全部出てしまうみたいなことですか?
須田)「システム管理者になりすます」ということが、往々にして起こっています。
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