ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月22日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。システム障害が多発しているみずほ銀行とみずほフィナンシャルグループに対し、金融庁が業務改善命令を出す方針を決めたというニュースについて解説した。
みずほ銀行のシステム~金融庁が異例の直接管理へ
金融庁はシステム障害が多発しているみずほ銀行と持ち株会社のみずほフィナンシャルグループに対し、9月内にも業務改善命令を出す方針を固めた。システム運営を事実上、直接管理する行政処分となる。
金融庁が直接管理はできない
飯田)当局がシステムの運営・管理をやるということですが、そんなことができるのですか?
高橋)できません。「そういう気持ちで」ということです。一般的に「システム」と言うけれど、それ以上のことを言えないでしょう。システムをきちんと見るというのは、「プログラムを全部見る」ということです。それは膨大な量ですし、プログラムを読める人はいませんから、わからないです。
飯田)わからない。
高橋)要するに、「現状がどうであるか」について金融機関に話を聞くことしかできないのです。実際に検査に行っても、システムなんてわからないし、見ようがないです。それを直接管理はできません。
3つのシステムを合わせてしまったことの弊害~翻訳システムが必要になる
高橋)「誰が管理できるのか」ということがいちばん問題です。おそらく金融機関でも役職の人は無理ですね。外注している現場の人だけしかわからない。もともと3つの銀行を合わせたものでしょう。3つの銀行を合わせると、3つのシステムを合わせてしまうのです。それが普通の発想なのですが、絶対にやってはいけないのです。なぜ3つを合わせるかと言うと、それぞれの行員がいるので、自分のところを使いたいからなのだけれど、3つ合わせるとそれぞれの翻訳システムが必ず入るのです。
少しでも間違えれば止まってしまう翻訳システム~ジャンケンで1つのシステムを使うのが最良の策
高橋)これは絶対に間違うのです。完璧に翻訳はできないから、少しでも間違えたら止まってしまう。3つのシステムがある場合は、1個を「ジャンケン」で決めるというのが正しいやり方です。
飯田)ジャンケンで?
高橋)だって決めようがないでしょう。だからジャンケンで決めるのがいちばんいいのです。そういうことを言うと不謹慎と言われますが、それが間違いなのです。ジャンケンで決めるのが、いちばん公平です。
飯田)ジャンケンなのかくじ引きなのか。
高橋)どれでも似たり寄ったりだから、それでいいのです。1つのシステムを使って、他のジャンケンで負けた人は諦めるというのが正しい解だったのです。しかし、そのときの幹部の人がわからないから、わからない人というのは、こういうときに「まあうまくやってくれ」という話になる。そうすると3つを合わせてしまうのですよ。
飯田)当時の第一勧業銀行と富士銀行、そして日本興業銀行の3行合併でした。
高橋)それで安易に3つを合わせてしまうわけです。翻訳を入れれば何とかなると思うかも知れませんが、それは素人です。翻訳システムは完璧にできないから、必ず間違えるのです。私はこのような場合、1回も統合システムをつくったことはありません。
飯田)統合システムをつくるぐらいだったら、1からシステムをつくり直した方がいい。
高橋)それは大変だから、1つのシステムを他の人が使う。これが普通です。
MINORIという中枢システム
飯田)2019年に、大規模障害につながらないことを重視したMINORIという中枢システムを導入しています。
高橋)無理です。3つあるのだから。
飯田)MINORIというのは、ある意味の翻訳システムと思えばいいですか?
高橋)翻訳です。それぞれベンダーが入っていますし。だからジャンケンで1個にするべきだった。1個だったらミスが少ないのです。1個のシステムを他の行員が使えばいいのだけれど、それができなかった。
吸収合併の場合は1つのシステムに近い形になるのでミスが少ない~三菱UFJ銀行など
飯田)あの当時、都市銀行同士の合併がいろいろあったではないですか。三菱UFJだって、もともとは三菱銀行と東京銀行が合併して東京三菱になり、それに三和銀行と東海銀行が合併してできたUFJ銀行が一緒になった。あちらはどうしたのですか? やはり1つのシステムなのでしょうか。
高橋)吸収合併だから。
飯田)吸収の形にして。
高橋)そうすると、完全に1個ではないのだけれど、近い形になればミスはかなり減るのです。対等合併でシステムを合わせて翻訳を入れたら、ほぼ間違いなくトラブルです。
飯田)結局それがいまも尾を引いている。“石田利光”さんからツイッターでいただきましたが、「金融庁も銀行任せにしていた責任があるのではないですか」というご意見です。
高橋)わからないので、仕方がないです。銀行のなかで「どんなシステムを使うか」ということは、銀行が決める話ですから。
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