海外から評価される安倍元総理の「3つの功績」

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地政学・戦略学者の奥山真司が7月26日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。安倍晋三元総理の海外における評価について解説した。

【政治 日米首脳が電話会談】トランプ米大統領との電話会談を終え、取材に応じる安倍晋三首相=2018年6月12日午後、首相公邸 写真提供:産経新聞社

安倍元総理大臣襲撃事件、精神鑑定のため容疑者を拘置所に移送

安倍元総理大臣が暗殺された事件で、奈良地方検察庁は山上徹也容疑者の刑事責任能力を調べる精神鑑定を行うため、7月25日に大阪拘置所へ移送した。期間は11月29日までで、奈良地方検察庁は鑑定結果を踏まえて起訴するかどうか判断する。

新行)この事件をどのような視点でご覧になっていますか?

奥山)やはり「世界の安倍晋三」だったなと思います。海外のリアクションで安倍さんを評価するものが圧倒的に多く、正直びっくりしました。日本のなかでの扱われ方とは違ったのだなと思います。

安倍元総理の3つの功績

奥山)安倍元首相の功績は3つあると思います。

新行)3つ。

奥山)1つ目は意外かも知れませんが、「長期政権ができた」ということです。外国からすると、日本の顔が初めて見えた首相なのです。日本は長期政権ができたことがあまりありません。小泉さんのときは5年間務めていましたけれど、平成になってからは首相が毎年変わっていたので、海外ではよく悪口として「リボルビングドア(回転ドア)」と言われていました。毎年首相が変わるという悲惨な状況があったのですが、安倍さんは長期でやってくれたということです。

新行)長期で。

奥山)2つ目は「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」です。こういう構想を自らビジョンとして出して、外国に売り込み、それにアメリカが乗った。しかもアメリカはトランプ政権だけでなく、そのあとのバイデンさんもこれに乗りました。2つの政権が日本の首相が出したビジョンに乗り、「これでやろう」と言ってくれるというのは、なかなかないことです。

新行)「自由で開かれたインド太平洋」構想を。

奥山)3つ目は安保法制関連です。日本は「安全保障においても世界に貢献しよう」ということで、とりわけ国家安全保障会議(NSC)を創設し、日本が主体的にトップダウンの形で軍事・安全保障関係をすべて主導できるような形にした。インフラを整えたところが大きな功績だと思います。

後進国からも安倍元総理への追悼の声明

新行)各国からはどのような声が上がっていますか?

奥山)追悼記事が大量に書かれたことが、まず1つの驚きでした。大きな傾向が3つあると思うのですが、1つ目は「安倍さんは日本のなかの右翼だった」という言い方で、ナショナリストのようなことを批判しつつも、全体としては功績を評価する肯定的なものです。

新行)肯定的なものであった。

奥山)2つ目は、「自由主義の国々と第三世界、後進国の真ん中に日本がいて橋渡しをしてくれた」というコメントをよく見ます。そのような内容でインドのモディ首相がツイッターに長い追悼文を書いていて、感動的でした。先進国だけではないということです。

新行)後進国も。

奥山)3つ目の傾向は「反グローバリズム」、「安倍さんはグローバリズムに対抗したのだ」というような捉え方をしている人がいました。ブラジルのボルソナロ大統領は、「安倍元首相は世界が我々を侵略しようとしてくるのを止めてくれた」というようなことを言っています。「買いかぶりすぎかな」という感じはするのですが、そういう見方をしていました。総じて悪く言っている人は当然ですが、ほとんどいませんでした。中国も控えめながらしっかりと追悼の声明を発表していましたし、いろいろな国で評価されていたのだということを改めて感じました。

日本のやりたいことを明確に押し出したことが評価される ~長期政権によって世界の顔になり得た

新行)「いままでの日本の首相とは違う」というイメージがあったのでしょうか?

奥山)ビジョンを出しました。日本国内では「安倍さんは押し出しが強すぎる」ということで評価されづらかったのですが、海外からすると日本がやりたいことを明確に出し、「これがやりたい」と言ってくれた。主張の強さが逆に評価されたということはあると思います。

新行)伝わるということですね。

奥山)国際社会では、やりたいことを主張しなければ伝わりません。

新行)そうですね。

奥山)日本人にはないタイプの首相だったので、国内では一部から嫌われましたが、「これがやりたいのだ」ということを明確に出した。しかもみんなを引き込み、その上、長期政権を実現しました。他の国の首相が変わっても、安倍さんだけは変わらずにいるので「安倍さんに話をした方がいいのではないか」となり、中心的な人物になれたということが評価されたのではないでしょうか。

トランプ大統領とメルケル首相の間に立ち議論の中心にいた安倍元総理

新行)各国から信頼も置かれていて、安心感があったということですか?

奥山)頼られる存在だったと言えると思います。トランプ大統領が座っていて、それに対してメルケルさんが机に乗り出して話している有名な写真がありますが、間では安倍さんが腕組みをしています。

新行)ありました。

奥山)この写真はまさに安倍さんが中心となって、メルケルさんのヨーロッパ側とトランプ大統領のアメリカ側との間に安倍さんが立ち、仲裁しているような感じです。議論の中心にいたということが明確に出ているいい写真だなと、私は思うのですが。

「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」という新たなものの見方を提供

新行)かといって、八方美人というわけでもなかった。

奥山)嫌われてもいいから日本がやりたいことをしっかり出す。それは単なる太平洋だけでもないし、インド洋も含めた上で、アメリカも乗ってきている。中国の進出を抑えるためという意図はあるのですが、それ以上に「インド洋」と「太平洋」の2つの海を含んだ意味で「そこにみんな関与してくれよ」と、新しいものの見方を提供したということは素晴らしいと思います。

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