非核三原則の「持ち込ませず」は修正を考えてもいいのではないか

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数量政策学者の高橋洋一が8月10日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。世界における核兵器の存在について解説した。

非核三原則の「持ち込ませず」は修正を考えてもいいのではないか

2022年8月1日、NPT運用検討会議で一般討論演説を行う岸田総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202208/01usa.html)

長崎原爆の日、長崎市長が核兵器廃絶を訴える

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田上・長崎市長)持っていても使われることはないだろうというのは、幻想であり期待に過ぎません。存在する限りは使われる。核兵器をなくすことが、地球と人類の未来を守るための唯一の現実的な道だということを、いまこそ私たちは認識しなければなりません。

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長崎に原爆が投下され、8月9日で77年となった。長崎市の田上市長は平和祈念式典で核廃絶を訴えた。長崎市の平和公園で行われた平和祈念式典には被爆者や遺族、岸田総理大臣の他、過去最多となる83の国と地域の代表などが出席した。

飯田)田上市長の平和宣言のなかでも、後ろでシュプレヒコールがうっすらと聞こえていました。

非核三原則の「持ち込ませず」は修正することを考えてもいい ~世界の誰も相手にしない

高橋)核兵器の話ですが、先を見ると「廃絶できればいちばんいい」ということです。しかし、現状で持っている国がある。その国に対して廃絶を誰がどのように頼むかという話です。いま持っている国と廃絶のバランスを取るために核拡散防止条約(NPT)があるのだけれど、ほとんど形骸化しています。

飯田)NPTがあるけれど。

高橋)持っている国ですら威嚇に使うし、持っていない国は持とうとする。そのようなときに日本がどうするかということです。

飯田)日本が。

高橋)「非核三原則を堅持」と言うでしょう。非核三原則があっても、NPTは実際の問題で役に立たないということが明らかになりつつあるのです。

飯田)「つくらず、持たず、持ち込ませず」という。

高橋)「持ち込ませず」のところは、NPTのなかで考えると、世界の標準とは少しずれていて、「もう誰も相手にしない」というレベルです。「持ち込ませず」のところを直すことを考えてもいいくらいではないでしょうか。

「核の共有」は核拡散防止条約(NPT)枠内で管理して、長期的に廃絶に向けていくためのプロセス ~核を威嚇に使う国が出てきた

高橋)核共有の話なども出てきますが、あれはNPT枠内の話なのです。

飯田)核の共有というのは。

高橋)核共有は核拡散防止条約(NPT)枠内の話で管理して、長期的には廃絶に向けていくというプロセスなのです。それをどこまでわかっているのか。「ただ単に言っているだけ」では済まなくなっているのではないかという気がします。

飯田)核共有の話については、暗殺された安倍元総理が問題を提起されたこともありました。抑止力であって、使わせないための1つのツールであると。長崎や広島の惨禍を見て2度と使わせない、そのためにどうするかという現実的な議論になっている。

高橋)「持っていれば必ず使う」ということになると、持たないように頼むしかないけれど、相手は頼みを聞いてくれません。いまのNPT体制の下で持っている国は「威嚇に使わなければ持ってもいい」という話なのだけれど、威嚇にも使うようになってしまったのです。

飯田)今回のロシアによるウクライナ侵略など。

高橋)中国もそうです。威嚇に使いますよね。非民主主義国は威嚇に使うということがわかったわけです。

日本が被爆国の体験を生かしつつ、具体的な話をするという方法もある ~従来の議論でいいのかどうか

高橋)「従来の言い方でいいのかどうか」ということを、そろそろ議論した方がいいと思います。ただ単に日本のなかだけで言っていても、英語にもならないし、メッセージにもなりません。それでいいのでしょうか。日本が被爆国としての体験を生かしつつ、具体的な話をするという方法もあるのではないかと思います。

飯田)使われたときの惨禍、悲惨さを身に沁みて知っているが故の説得力。

高橋)知っているからこそ説得力を持って言えるのではないかと。使わせないで管理する、そして最後は全部管理できるようになったら、廃絶という話が出るのです。全部管理できなければ廃絶までいきません。

飯田)新たに持とうという、北朝鮮などの国もある。

高橋)もう持っていると思いますが。

飯田)もう持っていると思いますよね。しかもその弾頭はこちらを向いていると。

高橋)威嚇に使うことは間違いないですね。

核兵器を管理する枠組みとしては核拡散防止条約(NPT)が有効

飯田)岸田総理は挨拶のなかで「核兵器禁止条約」には触れなかったということが見出しになっています。

高橋)そうですが、どういう国がそれに参加してくれるのか。数ではないのです。核兵器を持っている国が「核兵器禁止条約」に参加してくれるなら私も賛成ですが、参加しないですよね。核兵器を持っている国は核拡散防止条約(NPT)にしか参加しないのだから、NPTの枠組みで議論せざるを得ないと思います。

飯田)現実的に目指すためには。

高橋)いくら言っても相手にしてくれない国がいくつかあるのです。そうするとNPTしかないでしょう。管理するための具体的な枠組みとしては、NPTがいちばん有効です。

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