東京五輪をめぐる汚職事件 政治的な「ある力」が加わった可能性も

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ジャーナリストの須田慎一郎が9月5日、ニッポン放送「新行市佳のOK!Cozy up!」に出演。東京オリンピック・パラリンピックをめぐる汚職事件について解説した。

AOKIホールディングス本社の外観=2022年7月28日午後、横浜市都筑区 写真提供:産経新聞社

東京オリンピックをめぐる汚職事件、AOKI前会長らが贈賄容疑を認める

東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー選定をめぐる汚職事件で、贈賄容疑で逮捕された紳士服大手「AOKIホールディングス」前会長の青木拡憲容疑者ら幹部3人が東京地検特捜部の調べに対し、容疑を認めていることがわかった。関係者の話として報じられた。

新行)この事件について整理しますと、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の高橋治之容疑者がAOKIのスポンサー契約などに便宜を図った見返りとして、合計5100万円の賄賂を受け取ったという受託収賄容疑で逮捕されました。AOKI側も、青木拡憲容疑者を含む幹部3人が贈賄容疑で逮捕されました。今回の報道では、高橋容疑者への資金提供や依頼について、AOKI側が「組織委員会の実力者である高橋さんに期待した」などと、贈賄容疑を認める供述を始めたということです。

職務権限が明確でなく、法律上規定されていなかった高橋元理事 ~そこが大きなハードルに

須田)今回の贈収賄事件で難しかったことが何点かありました。高橋元理事は「みなし公務員」という建て付けになっていたのです。ですから贈賄容疑が成立するのですが、ただ、元理事の職務権限、職務の範囲が明確になっておらず、法律上は規定されていないのです。

新行)法律上、規定されていない。

須田)職務権限があるのかないのかということが、当初の大きなハードルでした。AOKI側から「こういう便宜を図ってください」と依頼したということ。それに対して対応したということですが、依頼内容が「職務権限」というわかりにくい建て付けだったのです。

AOKI側が請託したことを認めないと有罪にするのは難しかった ~完落ちし、全面自供したAOKIサイド

須田)理事という身分や、みなし公務員という身分もあるのですが、職務権限が曖昧だったため、請託という依頼をしたこと自体、その範囲が職務権限だということです。ポイントになるのは、そういう認定をしたのに、AOKIサイド、特に青木前会長サイドがそれを認めないと、なかなか有罪に持っていくのが難しいということでした。

新行)AOKIサイドが請託を依頼したことを認めないと。

須田)報道ベースで考えると、ここへきて全面自供、いわゆる完落ちに入ったわけです。「そういう依頼をしました」ということをAOKI側が認めたということで、いちばん難しかったポイントがクリアできたのです。

高橋元理事をめぐる問題は、次から次へとドミノ倒しのように広がる可能性も ~大広、KADOKAWAの名も

須田)今後、高橋元理事をめぐる問題は、次から次へとドミノ倒しのように広がっていくのではないでしょうか。そして、次の焦点になってくるのはどこなのか。こういったスポーツビジネス、あるいはスポンサー選定をめぐって、きょうも一部報道に出ていましたが、大阪の大手広告代理店「大広」から1400万円を受け取ったと言われています。

新行)朝日新聞が1面で出していますね。

須田)出版大手「KADOKAWA」からもお金を受け取っていたという情報も出てきました。しかし、それをすべて独り占めしたのかという問題があります。

新行)独り占めしたかどうかについては。

須田)すべて自分の懐に入れてしまったのか。そうではないですよねと。「あなた」というフィルター、つまり「高橋元理事」というフィルターを通して、政界にお金がばら撒かれていたのではないかということです。

霞が関の大物元官僚も抑えられなかった裏には、政治的な力が加わった可能性も

須田)大会組織委員会のなかでも、やりたい放題の高橋元理事のやり口に対して批判が高まっており、その牽制役になっていたのが、オリンピック事務総長の武藤敏郎氏なのです。元財務省の事務次官にして、日銀副総裁も務めた、霞が関では超大物です。

新行)武藤敏郎さん。

須田)この方がお目付け役として事務総長に入っていたわけですが、この方が高橋元理事と激しく対立したという話も、私の耳には入ってきています。

新行)対立していた。

須田)私物化しようとするのを押さえつけようとしたわけです。しかし、高橋元理事はそれをはねのけて、やりたい放題だった。霞が関の大物元官僚がお目付け役を務められなかった裏には、何か政治的な影響が働いたか、政治的圧力が加わったのではないかということは、当然、考えなければならないと思います。つまり「政治的圧力が加わったことで、お金が動いたのではないか」ということです。

問題が政界に波及していく可能性も

新行)今後、この問題が政界に波及していく可能性があるということですか?

須田)その辺りに関しては、まだ報道ベースでは出ていませんが、まだ高橋元理事は意識的に話していないのです。取り調べに応じていない、供述していないという状況です。それがいつまで持つのかどうかが注目ポイントです。

新行)9月1日の産経新聞では、青木前会長の供述によると、森喜朗元会長に200万円を手渡したという話が出てきています。

須田)青木前会長は全面供述に追い込まれました。知っていることはすべて話しているので、このような報道が出てくるのです。

新行)完落ちしたから。

須田)しかし、そのことと森元会長の職務権限の問題は切り離して考えないといけません。がん治療のための金銭授受が大会組織委員会の会長現職時代に行われたと言われていますが、そのことと請託をしたかどうか、あるいは職務権限の問題を考えると、まだまだ越えるべきハードルが高い。そこには、高橋元理事の自供が必要になってくるのではないかと思います。

新行)ちなみに、この報道によりますと、森さんは8月31日に産経新聞の取材に対して、「現金の受領は一切ない」と回答しているということです。

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