厳しいスタートとなるトラス新首相の「背景」

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東京大学先端科学技術研究センター特任講師の井形彬が9月7日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。イギリスのトラス新首相について解説した。

厳しいスタートとなるトラス新首相の「背景」

インタビューを受けるトラス外相 英党首選、最後のアピール=2022(令和4)年8月31日、英ロンドン(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

イギリスのジョンソン元首相、退任演説

イギリスのジョンソン元首相は9月6日の退任演説で「EU離脱を成し遂げ、ヨーロッパで最速のワクチン展開をし、英雄的なウクライナ軍に迅速に武器供与した」と述べ、約3年間の実績を強調した。また後任のトラス新首相について、「現在の危機を乗り越えられるよう、できる限りのことをすると信じている」と期待を表明した。

トラス新首相誕生 ~日本好きで日本との関係や外交に期待

新行)昨日(6日)午後、トラスさんはエリザベス女王に謁見し、新しい首相に任命されました。トラス新首相はどんな人なのですか?

井形)トラスさんは日本好きで有名でして、トラスさんが首相になれば、日英はさらにいろいろな協力ができるのではないかと言われています。

新行)日本が好きなのですね。

井形)またトラスさんは外相も務めましたし、国際貿易大臣の経験もあります。外交にも安保にも経済にも明るいということで、外交面では期待できます。

しばらくは国内政策に注力することに

井形)一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の影響もあってエネルギー価格が高騰し、インフレも進んでいる。国内の政治状況も、保守党と労働党がかなり混乱しているなかで首相になったところがあり、まずは国内政策に注力せざるを得ない状況にあります。

新行)国内政策に。

井形)トラスさんの政党は支持率も低いので、次の政権を獲れるかどうかも、いまは見通しが立たないと思います。しばらくの間は、踏み込んだ外交政策や安保政策は残念ながら取れず、インフレ対策や税金問題など、国内政策に終始することになるのではないでしょうか。

新しい首相になって、みんなの期待感がある間に何ができるか

新行)井形さんはこの夏にイギリスを訪れたそうですが、国内の雰囲気はどうでしたか?

井形)とにかく「ボリス氏がダメだ」と言う方が多かったのですけれども、世論調査を改めて見ると、「実は辞任するほどではなかったのではないか」という意見も出始めているのです。

新行)そうなのですか。

井形)トラスさんとしても「ボリス氏はダメだ」ということを言えず、でもそうすると「トラス氏も結局変わらないではないか」というように、両サイドから批判されてしまうのです。

新行)両サイドから。

井形)ただ、新しい首相としての期待はそれなりに高いと思います。「ハネムーンピリオド」という言葉があるように、新しい首相になってからしばらくの間は、みんな期待感があるのです。その間に何ができるかというところがポイントだと思います。

新行)最初はなかなかハードルが高いですね。

対中国、対ロシアへの政策

新行)気になるのが「対中国」「対ロシア」というところなのですが、ここはいかがでしょうか?

井形)イギリスは経済安全保障について急速に政策を取っているので、対中、対露という側面から、例えば日本やアメリカ、EUとの協力関係を進めていくのではないかと思います。

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