数量政策学者の高橋洋一が9月28日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。安倍晋三元総理の国葬儀に参列するため訪日したアルバニージー首相やモディ首相と岸田総理の会談について解説した。
岸田総理の弔問外交、オーストラリアやインドの首脳と会談
岸田文雄総理大臣は9月27日、安倍晋三元総理の国葬儀に参列するため訪日した、オーストラリアのアルバニージー首相やインドのモディ首相と会談し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け連携することを確認した。
飯田)岸田総理は欧州連合(EU)のミシェル大統領、シンガポールのリー・シェンロン首相とも会談しています。
「自由で開かれたインド太平洋」は日本の外交のなかでの金字塔
高橋)「自由で開かれたインド太平洋」は、安倍さんが第1次政権のときから言っていた話です。これは日本の外交における金字塔です。だからオーストラリアやインドから首相が弔問に来てくれるのです。アジアのなかで中心となるこれらの国と連携することは重要です。先進7ヵ国(G7)のことが言われますが。
飯田)首脳級が来ていないという。
高橋)しかし、クアッドの話がきちんとできれば、安全保障という意味ではいいでしょう。
飯田)クアッドの功績については、アメリカのハリス副大統領も公式に言及していました。
安倍元総理の功績は長い間政権を続けたこと ~長く続けば雇用をつくることができ、外交もうまくいく
高橋)国務省の人がはっきり、流用したと言っていました。なかなかないことですし、それは安倍さんが総理を長く務めたからです。長く続くということは、国民からの信頼があるということです。政権が長いと、いろいろないいことがあります。
飯田)政権が長く続けば。
高橋)逆に言うと、経済政策がうまくいかなければ長くは続きません。安倍元総理の功績は何かということを、私は政権の長さから説明できます。
飯田)長さから説明できる。
高橋)どうして長くできたのでしょうか?
飯田)やはり経済の安定が。
高橋)大きいと思います。雇用をつくっておけば、長く続けることができるのです。長く続けられないと、雇用をうまくつくれません。両者相まって、任期が長くなれば外交がうまくできるということです。
G7サミットにも何度も出席し、トランプ元大統領とも仲がよく、各国から信頼された安倍元総理
飯田)リーマンショックが尾を引いていてデフレもあり、2012年に政権ができたときは、失業率が5%もあった。
高橋)しかしその後、2.5%まで下がりました。失業率を下げた貢献は歴代最高です。そして就業者数は、高度経済成長期の佐藤栄作政権とほぼ一緒です。「アベノミクスはすごい」と、よく他の指標を言うのですが、雇用がいちばん重要なのです。それがあるから先進7ヵ国首脳会議(G7サミット)に何度も出席することができたし、存在感が出たのです。それまでの日本の首相は、1年で違う人になっていたでしょう。
飯田)そうでした。
高橋)安倍元総理は長かったし、トランプさんとの関係もあったので、みんなが信頼したのです。
失業率が下がると名目賃金が上がり、やがて実質賃金が上がる ~リーマンショックが尾を引き物価が上がらなかった
飯田)雇用、失業率と物価の関係がアベノミクスの最初に言われましたが、失業率が下がっても物価が上がらなかったのは、やはりデフレの影響ですね。
高橋)大変なのです。失業率が下がると、そのうち名目賃金が上がり出す。そこまではいったのです。
飯田)雇用が上がれば「人が足りない」という状態になるので、「賃金を上げなくては」となる。
高橋)名目賃金が上がってくると、その次にインフレ率よりも多少、賃金が上回るようになり、実質賃金が上がるのです。そうなると物価が上がり出します。
飯田)名目賃金が上がれば。
高橋)その順番は間違っていなかったのですが、リーマンショックでうまくいかなかったところがありました。
飯田)リーマンショックで。
高橋)安倍さんは「デフレ」と言っていましたが、「失業率が下がって物価が上がらなければ、それはそれでラッキーです」と私は言っていました。私は気にしていませんでした。失業率が下がればいいのです。実質賃金が上がるまで、もう少しというところでした。
実質賃金が上がりつつあるところでコロナ禍に
飯田)常に賃上げが最後の1ピースなのだと。だから労使の部分で「官製春闘だ」と言われることもありましたが。
高橋)春闘と言われるのだけれど、前年の失業率から計算して「最低賃金は何%くらいまで上げられます」という言い方を私は年中していました。介入しているのではなく、合理的なことを言っているだけなのです。
飯田)このくらいであれば企業も上げられるでしょうという。
高橋)労使が納得できるような水準しか言っていません。みんな介入したところだけを言うのですが、そんなに変な数字は言っていません。
飯田)あと最後の1ピースで回っていけばというところですね。
高橋)実質賃金は上がりかけていたのですが、コロナ禍になってしまって、大変でしたね。
政治的な理由で消費税増税せざるを得なかった安倍元総理
飯田)そして、やはり消費税の増税が……。
高橋)消費増税は、いろいろな意味で大変でした。安倍さんは「政治的に仕方がない」と、政治のところで「抑えるだけのパワーがない」と本人は言っていました。自民党のなかが大変なのだと。
飯田)自民党のなかが大変だと。退任されたあとにインタビューさせてもらったことがありましたが、そこでも、「そんなに簡単なものではない」と言われていました。
高橋)年中言っていました。「簡単ではないから大変なのだ」と。
飯田)よく、「安倍1強」や「独裁」などと言われていましたが。
高橋)そうではなく、「すぐ脅される」と。でも、いろいろなバランスを保ってやっていたような気がします。そういうことを岸田さんも活かしてもらったらいいのだけれど、国内運営は違いますね。
飯田)国内運営は違う。
高橋)外交は継承すると思いますが。長くやらなければ外交はうまく回りません。外交はとにかく長くやらないとダメなのです。国内で長くできる人が外交をうまくやれるのです。
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