ジャーナリストの佐々木俊尚が10月5日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。10月17日から行われることとなった衆議院予算委員会について解説した。
衆議院予算委員会、10月17日から
自民、立憲民主両党は10月4日の国対委員長会談で、衆議院予算委員会を10月17日から行うことで合意した。鈴木財務大臣が来週アメリカ出張を予定しており、帰国まで審議は見送られる。
飯田)臨時国会が召集され、冒頭の10月3日には岸田総理の所信表明演説が行われました。各党の代表質問が始まりますが、その後の本格的な審議に関しては10月17日から行われるということです。ずいぶん悠長なことを言っていますね。
旧統一教会と国葬問題よりも「経済をどう回していくか」の議論をするべきだが
佐々木)しかも、立憲民主をはじめ野党側は、「旧統一教会問題の政権追及の本格的な場になる」と宣言しています。「またそれしかやらないのか」と若干残念ですね。もちろん、この問題は重要なのだけれど、それ以上に、いまのインフレ基調の経済をどう回していくかについて議論して欲しいです。予算委員会なのだから。
飯田)そうですね。
佐々木)それが旧統一教会の議論になってしまうのかという感じがします。なぜいま岸田政権の支持率がここまで落ちているのかと言うと、マスコミの報道によれば、全般的に国葬に反対した人が多かった。もう1つが旧統一教会問題だと言われているのですが、自民党は両方とも「一過性のものである」と見ているのではないでしょうか。
飯田)一過性のものである。
佐々木)野党が追及するネタというのは、言い方が悪いけれど、常に一過性なのです。過去には安全保障法制など、いろいろなテーマがありました。非難して騒ぐのですが、終わってしまうとみんな何事もなかったように問題視しなくなるのです。問題はそのあとです。底流にあるのは、「この状態で経済をどう回していくのか」ということです。
安全保障をどうするのか、台湾有事が起こった場合、どう対処するのか
佐々木)もう1つは安全保障です。北朝鮮がミサイルを飛ばしてきている。隣に中露北という、核を持っている怖い国が3つも存在する地政学的情勢の国は、日本以外にあまりないです。
飯田)世界中を見渡しても、こんなシビアな環境はありません。
佐々木)隣の韓国はあてにならないなかで、安全保障をどうするのか。例えば、台湾危機に対して本格的にどう対処するのかというところも、議論しなければいけないのだけれど、その辺りの動きが岸田政権にはまったく見えません。
飯田)年末までに、安全保障に関する3つの文書を改定するということは出てきていますが。
佐々木)どのように改定するのか、どういう内容なのか。仮に台湾が侵攻された際、防衛出動はあり得るのかどうかまで、本当は踏み込まなければいけないですし、そこに踏み込むことを国民は期待しているのではないかと思います。それがいいか悪いかは別にして。
台湾有事が起きて自衛隊員の殉職者が出た場合、どう送るのか
飯田)そうなったときに、現場に行くのは自衛隊の方々であって、仮に殉職する方が出た場合、その人たちをどうやって尊敬を持って送るのか。国葬の議論の際、「法的根拠が云々」と言っていましたが、国が葬儀を行うことの位置付けのようなところは……。
佐々木)国のために戦って死んだ人は、戦後ほとんどいないわけです。朝鮮戦争のときに機雷掃海で亡くなった方はいるのだけれど、それ以外で、本格的な戦争は1度もしていないわけですから。
飯田)そうですね。訓練中の殉職はありますが。
佐々木)それが初めて起きる可能性があります。また、台湾に在留している日本人がたくさんいらっしゃいますから、その人たちをどうやって避難させるのか。もしくは台湾に住んでいる中華民国の方々をどうやって避難させるのかなど、さまざまな問題を抱えているわけです。
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