7月に銃撃を受け、亡くなった安倍元総理大臣の追悼演説がきょう10月25日午後の衆議院本会議で行われ、演説を担当した立憲民主党の野田元総理大臣はまず、「仇(かたき)のような政敵だった」と述べた。
「あなたはいつの時も手強い論敵でした。いや、私にとっては仇のような政敵でした。攻守を変えて、第96代内閣総理大臣に返り咲いたあなたとの主戦場は、本会議場や予算委員会の第1委員室でした。少しでも隙を見せれば容赦なく傷つけられる。張り詰めた緊張感激しくぶつかり合う言葉と言葉。それは一対一の果たし合いの場でした。激論を交わした場面の数々が、ただ懐かしく思い起こされます」
また、「戦う政治家だったが、国会を離れ、ひとたび兜を脱ぐと、心優しい気遣いの人でもあった」と続けた。さらに、安倍元総理が好んで使った「再チャレンジ」という言葉に触れ、総理に再登板したことについて、「その言葉を自ら実践してみせた。ここにあなたの政治家としての真骨頂があったのではないか」と惜しんだ。
そして後半には、「また、国会で真剣勝負をしたかった」と次のように語りかけた。
「安倍さん、あなたの政治人生の本舞台は、まだまだこれから先の将来にあったはずではなかったのですか。再びこの議場であなたと言葉と言葉、魂と魂をぶつけ合い、火花散るような真剣勝負を戦いたかった。勝ちっ放しはないでしょう、安倍さん。耐え難き寂寞の念だけが胸を締め付けます」
最後に銃撃事件を非難し、「私たちは言論の力を頼りに、不完全かもしれない民主主義を少しでもより良きものへと鍛え続けていくしかない」と訴えた。
追悼演説が終わった後、安倍元総理の奥様、昭恵さんと次のようなやりとりがあったと野田元総理は語った。
「読ませていただいた追悼演説の原稿と、議場に飾ってあったお花をお渡しいたしまして、私の方から『大変荷が重かったのですが、一生懸命務めさせていただきました』と申し上げさせていただきました。昭恵夫人からは『野田先生にお願いしてよかったと主人も喜んでいるでしょう。原稿をお仏壇に備えたい』というお話でしたので、そのお話を聞いてやって良かったかと思いました」
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