北朝鮮に詳しい龍谷大学社会学部教授の李相哲氏が11月15日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、辛坊と対談。ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の住民の生活事情について、「厳しい寒さの中で電気の供給もままならず、部屋内に作ったビニールハウスの中で家族が抱き合いながら夜をしのいでいる」と解説した。
辛坊)私は真冬に韓国・ソウルを訪れたことがあるのですが、あまりにも寒くて仰天したことがあります。ソウルは北朝鮮にかなり近いところにあります。北朝鮮はソウルよりもっと寒いのでしょうね。
李)北朝鮮の寒さは、もっと厳しいです。そんな寒さの中でも、石炭やエネルギーは供給されていませんし、電気の供給もままなりません。平壌でさえも今、電気を1日4時間供給できるエリアは少なく、大使館が集中している場所と中央機関の幹部たちのマンションがあるエリア以外は、1日2~4時間しか電気を供給できないという状況です。このため、マンションの中は屋外より冷えます。ですから、マンションの部屋内にビニールハウスを作って、その中で家族が抱き合いながら夜をしのいでいる」という話をよく聞きます。それほど困っています。
辛坊)日本で電力不足が叫ばれて久しいですが、普通に電気が使える日本は幸せな国ですね。
李)北朝鮮の人からすれば、天国ですね。脱北者たちが最も驚くのは、電気が24時間、どこでも使えて、明かりもつくことです。また、水道の蛇口をひねると、いつでも水が出ることです。北朝鮮では水道を供給する時間も決まっていて、30分単位で1日2回しか出ないところもあれば、それすらないところが多いです。北朝鮮での生活は本当に悲惨そのものですよ。
辛坊)住民がそうした厳しい生活を強いられている一方で、北朝鮮はミサイル発射を繰り返しています。1基当たりの価格はかなり高額ではないですか。
李)北朝鮮がこれまでに備蓄しているミサイルは約1000基とみられています。その中から発射しているわけです。国際社会の常識で計算すると、発射したミサイルの総額は今年だけでも16億~20億ドル(約2324億~2780億円)と推計されています。このお金があれば、北朝鮮の住民が十分に食べられる量のコメを輸入できます。
ただ、北朝鮮でのミサイル価格の計算方法は、我々の常識と少し違っています。北朝鮮ではまず、労働力に対する賃金が発生しませんからね。また、ミサイル関連の部品などを新しく購入するのにお金はかかりますが、北朝鮮はハッキングでまかなっていることが分かっています。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)