外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が7月15日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ウクライナが表明した北朝鮮との国交断絶について解説した。
北朝鮮が「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認
ウクライナが北朝鮮と国交を断絶した。ウクライナ東部の親ロシア派武装勢力「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」は7月13日、北朝鮮が両勢力の独立を承認したと発表した。この承認に対してウクライナは当然ながら反発し、北朝鮮との国交断絶を宣言した。
飯田)そもそも国際的には、ほとんど承認されていないですよね。
宮家)国交断絶なんて言葉、久しぶりに聞きますよね。私は国際法学者ではないけれども、国家承認の要件としては、しっかりとした領域があること、そこを実効支配していることが重要だと学んだ覚えがあります。ではドネツクとルガンスクは、どれくらい領域がしっかりしているのかということですね。でもまだウクライナと戦っているのでしょう。
飯田)そうですね。
宮家)ですから、まず領域がしっかりしていない。実効支配できているのかどうかもわからない。普通はこれで国家承認はしないですよね。している国がどれくらいあるか知らないけれども、多くはないでしょう。
飯田)国家承認している国が。
宮家)そのなかで北朝鮮が中国でもやらないようなことをやるというのは、よほど経済的に厳しいのでしょうね。ロシアから内々に支援を受けていて、ロシアからの要求を受けざるを得なかったのか、とにかくそういうメカニズムだと思います。もう既にたっぷり制裁を受けていますから、北朝鮮は失うものがないのです。しかし、北朝鮮の決定が国際的にどれだけインパクトがあるのかはわかりません。
飯田)国際的に。
1982年にはイラクが北朝鮮と国交断絶
宮家)国交断絶で思い出しました。1982年に私はイラクの日本大使館に行きましたが、そのときにイラクは北朝鮮と国交断絶したばかりだったのです。
飯田)そうなのですか。
宮家)当時、北朝鮮と断交して、イラクは韓国と国交を結ぶのだけれど、そのときはまだ大使館レベルではなく、総領事館が開かれたばかりだったのです。
飯田)大使館レベルではなく。
宮家)当時のイラクはサダム・フセインの時代ですから、北朝鮮ともいろいろ協力していて、私たちの電話は全部北朝鮮人がが盗聴していたと言われていたくらいです。そう意味では、北朝鮮も国交断絶に慣れているので、痛くもかゆくもないのではないでしょうか。
ロシアとウクライナの戦闘は当分続く
飯田)ウクライナでは戦闘が続いています。一進一退だという話が出ています。
宮家)私がいちばん心配しているのは、この戦闘がいつまで続くのかということです。どうも終わりそうにありません。いまはバイデン中東訪問など別の事件が起きてしまって、ウクライナ関係報道は少しお休みしていますが、状況は膠着状態でまだ続くでしょうね。ロシアもウクライナも止められないでしょう。ウクライナには、これから新しい武器が入ってくるわけですし。
飯田)そうですね、西側から。
宮家)ロシアも負けられない。ある程度、結果を出すまでやるということは、当分、戦闘は続くのでしょう。よく考えてみたら、2014年から始まった既に8年の戦争ですからね。今後も悲観的に捉えないといけないかも知れません。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。