北朝鮮問題の中核にあるのは「日本人を拉致した国なのだ」ということ
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中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也が9月8日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。北朝鮮による日本人拉致問題について解説した。
北朝鮮が最高人民会議を開催
北朝鮮は9月7日、最高人民会議を開催した。北朝鮮では最近、洪水の他、新型コロナウイルスの流行に伴う流通の停滞などもあり、金正恩総書記は住民の生活改善に取り組む姿勢を強調したとみられる。
新行)一方、メディアによると北朝鮮は最近、国外から相次いで米を調達する動きを見せているということです。北朝鮮が日本人の拉致を認めた2002年の日朝首脳会談から、9月17日で20年を迎えますけれども。
野村)もう20年ですね。
北朝鮮の拉致問題を忘れてはならない
新行)6日に、横田めぐみさんのお母様である早紀江さんが川崎市内で報道各社の取材に応じ、「言いようのない苛立ちが多い」と心境を明かされました。
野村)北朝鮮については、核ミサイルの問題があります。深刻な問題として徹底的に抗議しなければいけませんが、日本人にとって絶対に忘れてはいけないのが、拉致問題の解決だと思います。
新行)そうですね。
野村)安倍元総理が官房副長官だった時代、小泉純一郎さんと一緒に訪朝されました。そのときに何事もなかったことにしようと、これで終わりにしようとした北朝鮮に対して、「その手に乗ってはいけない」と進言され、安倍元総理は拉致問題をライフワークとして続けてこられたということもあります。拉致被害者の方々にとってみると、中核であった安倍元総理が亡くなられたということも、大きなショックになっているのではないでしょうか。
野村氏の大学の先輩にあたる蓮池氏
野村)蓮池さんは私の大学の先輩にあたるのです。うちの大学では、まだ拉致問題が一般の方々に認識される前から、仮に卒業年度の年限が過ぎたとしても除籍せず、蓮池さんが帰ってこられるのを待っていたのです。
新行)そうなのですね。
野村)蓮池さんが戻ってこられたあと、卒業するために我々も授業を提供して、最終的に卒業証書を渡すことができました。そんなこともあって、私にとっても身近な事件だったのです。
新行)私も横田めぐみさんと自分の母の年齢がほとんど変わらないのですけれども、母が秋田にいた子どものころに「どうやら新潟で人がさらわれているようだから、海には近付くな」と大人から言われた記憶があるということを聞きました。
第1陣でストップしてしまった帰国者
野村)日本人にとって、人がいなくなるということは普通ではありません。当時もみんな「これは何なのだろう」と思っていたはずなのです。そして、ようやく第1陣として戻ってこられたはずの方々が、そこでストップしてしまった。
新行)蓮池さんたちのあと。
野村)次々と戻ってきていただくことを願っているわけなので、しっかり対応する必要があると思うのです。最近は旧統一教会の問題もありますが、旧統一教会は「反共」と言って、北朝鮮に対して厳しい姿勢を見せていたはずなのに、ある時期から教祖が北朝鮮と手を握ってしまった。そういう事実もあるわけです。
新行)そうですね。
野村)日本という国として、協調してよかった組織だったのかどうかも含め、考えていかなければいけない。ある意味では、日本に対する北朝鮮の犯罪行為をもう1度クローズアップしていかないと、国のありようが問われてくると思うのです。
早いタイミングで道筋が見えるような交渉が必要
新行)安倍元総理が凶弾に倒れて、これから拉致問題をどうするのかという心配もあります。
野村)安倍政権のあとを継がれた菅政権も、1丁目1番地として拉致問題を掲げていました。もちろん岸田総理もそうだと思います。であれば、もう1度交渉テーブルをつくって、しっかりと帰ってこられるような道筋をつくることが何より大事だと思います。ご家族も高齢化が進んでいますので、早いタイミングで道筋が見えるような状態にすることが必要だと思います。
新行)そうですよね。
野村)北朝鮮の問題を見るときに、最近、拉致問題を忘れがちな人たちが多いような気もするのです。次々とミサイルを撃たれて、そちらに目がいってしまうのですけれども、北朝鮮問題の中核にあるのは「日本人を拉致した国なのだ」ということです。そこをみんなでもう1度確認し、声を上げていくことが必要なのではないでしょうか。
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