北朝鮮が危機感を持つ日本の「ある体制」の存在
公開: 更新:
ジャーナリストの須田慎一郎が11月7日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。11月6日に相模湾で行われた「国際観艦式」について解説した。
海上自衛隊創設70周年、相模湾で「国際観艦式」を開催
-----
-----
海上自衛隊の創設70年を記念して世界12ヵ国の艦艇も参加した「国際観艦式」が11月6日、神奈川県沖の相模湾で行われた。日本での国際観艦式は20年ぶり。岸田総理も護衛艦「いずも」の甲板に立ち、自衛隊や各国の艦艇が隊列を組んで航行する様子などを視察した。
飯田)20年ぶりの開催ということです。3年に1度行われている通常の観艦式よりも、規模が大きかったようです。
国際情勢が反映された観艦式
須田)国際親善や記念イベントという色彩が強く、軍事訓練とは一線を画すイベントなのでしょうけれども、一方で、いまの世界情勢を反映する上では非常にリアルな観艦式になったのではないでしょうか。招待したけれども来なかった中国や、もちろん招待するような状況下にはありませんが、ロシアは招待しなかった。いま置かれている国際情勢が反映されたという点で、非常に興味深かったですよね。
飯田)参加国の顔ぶれを見ても、ギリギリまで参加の可否を保留していた韓国は、最終的には参加しました。
須田)いまの北朝鮮、あるいは朝鮮半島情勢が色濃く出てきているのだと思います。それも現在の国際情勢が大きく影響しています。
米韓合同演習への日本のバックアップ体制を無視できない北朝鮮
飯田)観艦式の直前にミサイル発射があり、日本でもJアラートが出ました。このところ本当に矢継ぎ早に行われています。
須田)北朝鮮が相次いでミサイルを発射しているのは、10月末から行われていた米韓合同軍事演習へ中止要請をしていたのだけれども、強行されたことに対するものです。中止する必要性はまったくないのですが、無視されたということで、北朝鮮も対抗措置を講じたのでしょう。
飯田)米韓合同軍事演習が行われたことへの。
須田)今回、岸田総理も「いずも」の甲板に降り立ったということですが、非常にメッセージ性が強いと思います。日本の米軍基地である岩国から飛び立ったF35Bが、米韓合同軍事演習に参加した。F35Bは垂直に離着陸できる戦闘機です。
飯田)そうですね。
須田)攻撃能力に優れており、監視・偵察もできるため、ピンポイントでミサイルを撃ち込むこともできます。ステルス性もあるということで、朝鮮半島情勢に最適な戦闘機なのです。これが米韓合同軍事演習に参加したことは、激しく北朝鮮を刺激してしまったのではないでしょうか。場合によっては、北朝鮮のミサイルを無力化できるくらいの能力を持っているわけです。
飯田)米韓合同軍事演習で岩国から向かった航空機もありましたが、それも含めて230機とも240機とも言われています。それに対して北朝鮮も180機くらいを飛行させており、緊迫した状況になってきています。
須田)ただ、180機という報道がありますが、離着陸を繰り返していて、本当に180機あったのかどうかはわかりません。その180機に戦闘能力があるかどうかというところでしょうけれども、北朝鮮のある種の焦りというか、強い危機感が伺えますよね。
飯田)北朝鮮の危機感。
須田)先ほど言ったように、なぜ「いずも」が大事なのかというと、実は10月、いずもに米海兵隊のF35Bが着艦しているのです。なおかつ今回、Jアラートは失敗してしまいましたけれども、なぜ日本海あるいは日本を意識してミサイルが飛んできているのかと言うと、「米韓」と言いながら、岩国の軍事基地を提供していることもあり、北朝鮮にとって日本のバックアップ体制は、まったく無視できない存在なのだろうと思います。
飯田)朝鮮半島に派遣された例の朝鮮国連軍は、後方司令部が日本にありますものね。
須田)そうなのですよね。
朝鮮半島有事も日本有事 ~意思の疎通を図れる環境づくりから
飯田)他人事ではなく、当事国の1つであるということですよね。
須田)台湾有事は日本有事なのだけれども、朝鮮半島有事も日本有事であることは間違いないと思います。
飯田)韓国にも、たくさんの日本人の方がいらっしゃって、何かあったときにどうするかを考えておかなければなりません。
須田)今回、観艦式に参加したからといって、「韓国軍と日本の自衛隊が緊密な行動を取れるかどうか」はまったく別問題です。ただ、前政権よりは状況が緩和されたのかなと思います。
飯田)折しも麻生副総裁が韓国のソウルに行ったばかりですものね。どんな話をしたのかはあまり表に出ていませんが。
須田)おそらく何らかの形で総理の意向を汲んで、ということなのだろうと思います。
飯田)安全保障面などを考えると、韓国との関係も角を突き合わせてばかりはいられない。向こうの政権も変わり、1つ糸口を掴みたいという気持ちは、日韓ともにあるという感じですか?
須田)いままでが異常でしたから。だからといって、正常に戻ることで「かつてよりも前進したか」と言うと、そうではなく、とりあえず意思疎通を図れる環境づくりをすべきではないかと思います。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。