ASEAN拡大国防相会議で日米がロシアを非難した「もう1つの理由」

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上智大学教授で政治学者の前嶋和弘が11月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。11月23日に開かれたASEAN拡大国防相会議について解説した。

ロシアのプーチン大統領(ロシア・ノブゴロド)=2022年9月21日 AFP=時事 写真提供:時事通信

ASEAN拡大国防相会議、ウクライナめぐり日本とアメリカがロシアを非難 ~東南アジアでロシアを非難する場を持ったことがポイント

東南アジア諸国連合(ASEAN)に日本、アメリカ、中国、ロシアなどが参加するASEAN拡大国防相会議が11月23日、カンボジア北西部シエムレアプで開かれ、ロシアによるウクライナ侵略について主に討議した。外交筋によると、アメリカや日本などがロシアを非難する一方、ロシアはアメリカやヨーロッパが妨害していると主張した。

飯田)日本からは小野田紀美防衛政務官、アメリカからはオースティン国防長官が出席しています。ウクライナをめぐっての話ですね。

前嶋)アメリカがいま何をやっているかと言うと、ウクライナに対しては軍事支援、経済支援などを行っています。そして外交により、ロシアに制裁を加えていく。

飯田)そうですね。

前嶋)今回のASEANの場で、結果はわかっていたのですが、強くロシアを非難しました。そしてロシア側は「そんなことはない。アメリカが悪いのだ。手を出しているのだ」という話になるわけです。こうなることはわかっていて、予定調和的ではあるのですが、これをやることも重要です。ロシアは反発するのだけれど、「これだけのことをしているあなたたちが悪いでしょう」と言う機会を「東南アジアで持った」ことがポイントなのです。

飯田)言わなければ、逆に変なメッセージになってしまう。

前嶋)発信することで世界的な世論を高めていくということです。

アメリカ・ヨーロッパ・日本側とロシア・中国側 ~そのどちらにもつかない国をいかに西側にプラスするか

前嶋)アメリカ・ヨーロッパ・日本側と、ロシア・中国……中国は微妙な立場ですが。そのどちらにもつかない国が多いのです。冷戦時代と違うのはそこなので、1つ1つを切り崩していって、いかにアメリカ・ヨーロッパ・日本側にプラスするかが重要になります。

飯田)いかにこちら側に来させるか。

前嶋)国連もそうですが、アジア、アフリカでの会議はとても重要です。特にアフリカ辺りは「どっちつかず」でいた方が、中国も助けてくれるという感じなのです。

「ウクライナには白紙の小切手は出さない」と言ったマッカーシー氏の発言が一人歩き

飯田)アメリカ中間選挙の結果、下院の多数派が共和党になったことで、議会の体勢が変わってきます。ウクライナへの支援に対しても影響しますか?

前嶋)共和党のリーダーとして、マッカーシーさんが下院議長になる予定ですが、マッカーシーさんは選挙の最後の方で、新興メディアに対して「ウクライナには白紙の小切手は出さない」と言ったのです。

飯田)白紙の小切手は出さない。

前嶋)それが一人歩きしているところがあります。「バイデン政権はさまざまなところで大盤振る舞いをしているからインフレになってしまった。とんでもないことだ」という意味で言っているのですが、相手が新興メディアだったので、内容について深く問えばいいのに、問わないのです。「白紙の小切手を出さない」……「本当か?」と思うではないですか。

飯田)「ウクライナに何も支援しないのか?」と。

前嶋)そういうことになってしまうのです。しかも(下院の)リーダーの発言です。この話は欧州の方でも日本でも議論されていて、アメリカ国内でも「大丈夫だろうか」となっています。

飯田)そうですよね。

共和党「アメリカファースト」2割と民主党の左派がウクライナ支援に反対

前嶋)一方で、いまはまだアメリカは「ウクライナ疲れ」にはなっていません。国民の多数派、議会の多数派は圧倒的に「ウクライナを支援しなければいけない」と考えています。

飯田)圧倒的に。

前嶋)しかし、共和党側のアメリカファースト的な2割は、明らかに「ノー」と既に言っています。加えて、民主党の左派も「外交を強くしろ」と言っているところがあるので、この辺りの動きがどう影響するか。

飯田)「外交を強くしろ」というのは?

前嶋)武器を提供するのではなく、話をまとめて「ロシアと停戦に持っていけ」という意見です。

飯田)ウクライナとも話をして、少し諦めさせてもいいから、とにかく停戦させるのだと。

左派との間で割れているようにも見える民主党

前嶋)そういう書簡を10月の頭に送ってしまい、「何をやっているのだ」と民主党左派の方がかなり叩かれたのです。その書簡はすぐに「なかったことにしてください」となりました。

飯田)なかったことに。

前嶋)民主党側は割れていないけれども、「そういう書簡を本当に送ってしまった」ということで、割れているように見えるわけです。

飯田)そういう気配を感じるというか。

前嶋)そして共和党側にもアメリカファーストがいる。ウクライナとロシアの戦いが長くなってきて、政争の具になるなかで、今後どうなっていくのか。

「アメリカファースト」的な共和党2割と民主党左派が手を結ぶ可能性はあるのか

飯田)共和党のアメリカファースト側の方と、民主党のある意味かなり左派的な人たち。同床異夢ではあるけれど結果は同じというところで、そこが手を結ぶ可能性はあるのですか?

前嶋)なかなか難しいのですが、何となくイラク戦争と言いますか、クルドの戦いも最後の方はそうでしたよね。はっきりとは言っていないけれど、(バーニー・)サンダース氏とトランプ前大統領は、「イラク戦争は間違いだった。9.11の対応は間違っていた」というようなことを言っていました。よく考えると、その辺りが人々の心を掴んで、トランプさんが当選したことにつながったのではないでしょうか。

飯田)響き合うところがあったりする。

前嶋)今回はどうなるのか。ウクライナへの支援に関しては、まだアメリカの方は「支援を続ける」という認識で固まっています。それがどう崩れていくかということでしょうか。

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