一般財団法人国際開発センター研究顧問の畑中美樹氏が11月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中東の原油と今後の石油価格について語った。

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日本と中東の関係　～石油を依存し、車など輸出面でも重要な市場

飯田）ガソリンの全国平均の小売価格は、11月14日の時点で、リッターあたり167.8円という数字が出ています。石油元売り各社には補助金を出しており、現状ではリッターあたり約30円となっています。まず、日本と中東のいまの関係はいかがでしょうか？

畑中）日本はエネルギー面、特に石油を中心として大きく中東に依存していますけれども、当面、依存の構造は変わらないと思います。それに加えて、輸出面でも中東は日本にとって重要な市場であり、日本製品やサービスを中東に輸出しているという関係です。

飯田）一方的に日本が買っているというイメージがありますが、それだけではなく、製品の輸出相手としても重要な国なのですね。

畑中）日本にとって、マーケットとしても重要な地域の1つです。

飯田）具体的には、どういうものを売り込んでいるのですか？

畑中）わかりやすいところでは、自動車です。

飯田）なるほど。

畑中）徐々にものをつくり始めていますが、中東では、まだ製造業がそれほど育成されていません。一般の食品も日本からかなり輸出されています。

ウクライナ情勢に伴い、ロシアが石油の輸出を抑制　～OPECも同調し、世界の主要な石油生産国が供給を抑制

飯田）「地政学で何かが動くと、石油が動く」というイメージがありますが、ウクライナ情勢も影響しますか？

畑中）ウクライナ情勢に伴って、ロシアが石油の輸出を抑制しています。OPECとともに動き始めているので、需給関係からみると、経済が回復して世界の需要が伸びるなかで供給が抑えられていますから、いま1バレルあたり85ドル前後と高めで推移しています。

ガソリン価格が下がる可能性は極めて低い

畑中）そのため、日本でも11月中旬くらいには、ガソリン価格1リットルあたり、日本全体平均で163円くらいでした。いまの水準を中心として、上に行く可能性はあると思うのですが、当面、下がる可能性は極めて低いと思います。

飯田）生産の調整等々もあって、価格を維持したいというところですか？

畑中）世界経済が回復して石油需要が高まっているのですが、OPECが高い水準を保って自分たちの収入も増やしたいということで、増産を見送っています。それにロシアも加わって、世界の主要な石油生産国が供給を抑制しているので、どうしても高めで動かざるを得ないという形だと思います。

今後、まだまだ上がる石油価格

飯田）そうなると、先進国の方が持たなくなってきますよね。

畑中）世界経済にとってマイナスになります。したがって、産油国もどこまで引き上げれば先進国の経済が傷んで世界経済がマイナスになり、「自分たちに重要な石油の需要も下がってくるか」を見極めつつ、上限を探りながら上げていく形になると思います。過去の十数年を振り返ってみても、2008年8月に1リットルあたり182円まで上がっているのです。そのあと下がってきて、いちばん下がったところでも110円くらいです。いま、全国平均で163円くらいですから、まだまだ上がる余地はあると思います。

相容れない面と共通する面が混在　～複雑なロシアと中東の関係

飯田）中東全体として、ロシアとの関係といまのウクライナ情勢がありますが、ロシアとの関係はどうですか？

畑中）中東とロシアは、お互いに産油国ということで共通の利益を持っている面があると同時に、中東から見るとロシアは旧共産主義国家であり、民主主義国家ではないので、政治面では非常に不安視しているのです。したがって、相容れない面と共通する面が混在しており、複雑な関係にあると言っていいと思います。

飯田）間合いの取り方も、完全に「指示する」「指示しない」というのではなく、ある意味トピックごとに是々非々になってくるのですか？

畑中）「半身で構えている」というのが中東産油国の対ロシアへの姿勢だと思います。前にも行けるし、後ろにも下がれるという。

ガソリン価格や石油価格の高騰は、あと2～3年は続く

飯田）今後の見通しですが、ガソリン価格や石油価格の高騰はいつごろまで続きますか？

畑中）いまの情勢から言うと、2～3年はいまのような状態が続くのではないでしょうか。

飯田）2～3年。

畑中）そうですね。

飯田）いま、岸田政権は元売り各社に補助金を出し続けていますけれど、それも長くなりそうですね。

畑中）「補助金を出して価格を抑制する」という政策を続けて、消費者への影響をできるだけ小さくし続けなければ、日本政府に対する不満が高まりますので、政策は続けざるを得ないと思います。