キャスターの辛坊治郎が11月24日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。政府が22日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対して宗教法人法の「質問権」を行使したことについて、「世論が盛り上がっているからやっただけ。要するに『ワイドショー政治』だ」と苦言を呈した。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済のための新法をめぐって、与党側は24日、寄付の禁止行為を拡大するなどの修正案を野党側に提示した。政府が11月18日に示した概要では、借金や家を売ってまで寄付させることを禁じるなどとしていたが、野党側は果樹園などを売った人は救われないなどとして見直しを求めていた。今回、与党側は生活維持に必要な事業用資産なども禁止の対象に含める考えを示した。ただ、野党側はマインドコントロール下にあり自ら進んで寄付した人を救う法案になっていないとして、さらなる修正を求めている。
辛坊)政府としてはとりあえず、「質問権」を行使しました。これにより、旧統一教会の詳しい運営規定に関する書面や帳簿の提出を求めます。旧統一教会としては、質問権を無視しても10万円以下の過料くらいしか罰則がないのですが、さすがに世論を敵に回すことになるので、おそらく期日までに回答書を提出するでしょう。政府としては回答書を見て、「不服だ」「不十分だ」「違法性が高い」といった理由で再度、質問する可能性もあります。
そうした過程を経たうえで、次に焦点となるのが、政府が裁判所に対して旧統一教会の解散命令を請求するかどうかです。今の流れでみると、岸田政権はものすごくポピュリズムの色彩が強いですから、質問権を行使した段階で、どんな質問が返ってきても裁判所に対して解散命令を請求することは織り込み済みだと思います。
裁判所が客観的な事実に基づき、旧統一教会に解散命令を出すかどうかは裁判官の腹一つでしょう。ただ、上級審まで争った場合には、必ずしも世論に沿った形で解散させることは簡単ではないと思います。しかし、仮に裁判所が解散命令を出さないということになると、旧統一教会という存在に公的権力がお墨付きを与えることにもなりかねません。そうすると、世論とは全く逆の方向に走っていってしまう可能性があります。
では、逆に解散させたとしたら、どうなるでしょう。宗教法人としての旧統一教会は解散させられますが、宗教活動に関して税金がかからないという宗教法人としての唯一最大の特典がなくなるだけです。したがって、旧統一教会はこれまで通り活動はできるわけです。これほど大騒ぎをして、最終的に行き着くところがそれでいいのでしょうか。また、信教の自由や個人の財産権などとの整合性は、どうするのでしょうか。解散命令が出されるにせよ、出されないにせよ、この流れは誰も得しないのではないかという気がします。
要するに、岸田政権は「ワイドショー政治」なんですよ。世論が盛り上がってワイドショーで取り上げられているから、何かをしようとしているだけです。憲法上の問題を冷静に見つめることができなくなっているのではないでしょうか。こうした流れは、日本の将来にとって決してプラスにはならないと思います。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)