スポーツライターの飯尾篤史氏が12月6日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。現地・カタールから日本時間12月6日未明に行われたサッカーワールドカップ日本対クロアチア戦の模様を語った。
前半で先制点を取り、プラン通りの試合運びだった
飯田)現地ではどういう雰囲気でしたか?
飯尾)スタジアム全体的には、日本を応援するムードがあふれていました。勝てないこともなかったゲームでしたので、選手たちも消化不良のような、モヤモヤとした雰囲気でした。
飯田)前半は前田大然選手のゴールがありましたが、今大会で初めて先制点を取りました。ここはプラン通りということでしたか?
飯尾)ドイツ戦、スペイン戦では前半は0-0、0-1で後半勝負というプランでしたが、クロアチア戦に関しては守りも堅いので、できれば先制したい。そんななかで前半の終了間際という、いい時間帯で先制できました。しかし、2点目を取って仕留めることができずに、追いつかれて延長戦に持ち込まれてしまいました。
先制点を取ったことで、ドイツ戦、スペイン戦と展開が違ったことも影響か
飯田)後半10分に追いつかれた。後半が始まってもメンバーの入れ替えはありませんでしたね。
飯尾)日本が先制点を取ったことで、相手の出方を見るという余裕もありました。そういう意味で言うと、今大会で日本が勝ち上がってきた展開とは違った。それも影響したのかも知れません。
攻撃的な選手を入れても試合の流れを変えることができなかった
飯田)追いつかれたあとの試合の運び方はいかがでしたか?
飯尾)森保監督としては、浅野選手、三笘選手、南野選手など、今大会でジョーカーと言われている攻撃のカードを切っていったので、そこは勝負に出ていたと思います。しかし、クロアチアは試合運びが上手いので、ドイツ戦、スペイン戦のように「ガラッ」と試合の流れを変えることはできませんでした。
後半、体力も落ち、セーフティになってしまった
飯田)森保監督ご自身も、90分ではなく120分だと、試合前におっしゃっていました。後半は試合の流れも含めて考え出したということですか?
飯尾)交代のカードを切っていったときには、90分で仕留めようと思っていたのではないでしょうか。あえて延長に持ち込もうとしたわけではないのですが、ピッチ上で疲労の色が濃かったので、仕留めるだけの体力、走力がなかった。逆にやられるのが怖いということで、少しセーフティになってしまった部分も見えましたね。疲労していたのはクロアチアの選手も同じでしたが。
PKは連鎖する ~最初の南野選手が外したことが連鎖してしまった
飯田)そこで延長戦になった。PKまでいくと、運の部分も大きいのですか?
飯尾)科学的に証明されているわけではないのですが、PKは連鎖すると言われています。最初の南野選手が外したところで、今回もまさにそういう流れになってしまいました。
飯田)やはり、最初のキッカーが大事なのですね。
飯尾)そうですね。しかし、そこを自ら蹴りにいった南野選手の勇気を称えるべきで、責めることはできません。全体を見るとクロアチアの方が力は上だったので、PKは運ですが、結果として仕方のない部分もあります。ただ、冒頭にも話しましたが、何とかできた可能性もあったというところでは残念ですね。
森保ジャパンのレガシー ~一体感のあるチームづくり、主体的なチームへの関わり方は財産にするべき
飯田)ワールドカップでの森保ジャパンの戦いぶりが、日本のサッカーや日本のスポーツシーンに対して、どのようなレガシーを残すと思われますか?
飯尾)4年前のロシア大会で西野監督が率いたチームもそうでしたが、若い選手も意見を出して、練習で埋めきれない部分を濃いディスカッション、濃いコミュニケーションで埋めていく。特に代表チームは練習時間が足りないし、普段一緒に練習しているわけではないので、一体感のあるチームのつくり方、主体的なチームへの関わり方、そういうことは財産にするべきだと思います。
試合中に新たな選手を出す総力戦は日本の1つのスタイルに
飯田)今回はスタメンの11人だけではなく、出た選手は20人を超えました。その一体感は1つの財産になりますか?
飯尾)試合中に新しい選手を積極的に出していく総力戦は、この先も日本代表にとってはキーワードになると思います。
飯田)日本の1つのスタイルかも知れないということですか?
飯尾)戦術やスタイルは監督やメンバーによって変わりますが、次の4年後も登録選手のほとんどすべてが出て、戦っていくというのは、日本のスタイルになるかも知れません。
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