裾野市園児虐待事件 背景には「保育士の待遇」問題もある

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ジャーナリストの佐々木俊尚が12月7日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。静岡県裾野市の園児虐待事件について解説した。

裾野市園児虐待事件 背景には「保育士の待遇」問題もある

静岡県裾野市の私立「さくら保育園」に特別監査に入る県と市の職員ら=2022年12月3日午前 写真提供:共同通信社

裾野市園児虐待事件 ~労働環境・賃金の問題も

飯田)静岡県裾野市の「さくら保育園」で園児虐待があり、暴行容疑で保育士3人が逮捕されました。大和市の35歳、会社員の“すみこ”さんからご意見をいただいています。「私の周りにも保育士の友人がいますが、さまざまな問題があると聞きます。まだまだ女性同士の世界なので、保育士同士の関係性の問題もあるし、先輩からのパワハラなどで心を患ってしまう人も多い。それから、保育士はサービス残業が多いと聞きます。朝5時過ぎに家を出て、6時過ぎに園に着いて準備し、7時から園児を預かる。夜は7時までにお迎えをお願いしているのですが、保護者の方が仕事の都合で遅れてしまうと、ずっと待たされる。労働環境の改善、それから賃金の問題もあるかも知れません」といただきました。加藤厚労大臣は現場に対して注意喚起を行い、実態調査するなどということを12月6日の会見では言っていました。

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加藤厚生労働大臣)厚労省としては昨年(2021年)、不適切な保育の未然防止や発生時の対応に関する手引きを作成し、周知してきたところではありますが、今回の事案にあたり早急に改めて注意喚起を行っていきたいと思っております。また、あわせて保育所における実態あるいは自治体における対応を把握するための調査を行うことについても検討していきたいと考えています。

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保育士に対する待遇の問題もある

飯田)「検討していきたい」とおっしゃっていますけれど。

佐々木)結局は構造的な問題なのです。もちろん、園長が「口外するな」という誓約書を書かせて隠蔽していたというような、許しがたい事件だと思います。一方で、こういう虐待が起きる背景には、保育士に限らず、親の虐待が近年増えているではないですか。

飯田)増えていますね。

佐々木)昔よりもニュースとして増えているということは、明らかに貧困が原因です。同じような構図で考えるべきで、やはり保育士さんに対する待遇、先ほどのお便りにもあったようなブラック労働的な働き方の問題も大きいと思います。

飯田)待遇の問題。

佐々木)平均賃金は安く、300万円台だと言われています。日本社会の平均賃金は450万円くらいですから、それと比べると100万円くらい安いのです。

飯田)平均賃金が。

佐々木)もちろん若い女性が多いとか、年齢的な問題もあると思います。あるいは保育の価格自体が公定価格で決まっていて上げられない問題や、国や自治体からの補助金をもらっているので、そう簡単に賃金が上げられないということもあります。

飯田)なるほど。

佐々木)逆に言うと、国や自治体が補助して賃金を上げられないのであれば、そこを上げることによって虐待を減らすという方向に、国は考えて欲しいと思います。

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