中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也が12月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。今国会で成立した法律について解説した。
今国会で21本の法律が成立
飯田)今国会が始まるころは、安全保障や補正予算などが焦点だと言われていましたが、結局、旧統一教会の問題に終始する形になりました。臨時国会をご覧になっていていかがでしたか?
野村)そうは言っても、21本の法律が成立しています。閣法と言いますが、内閣が閣議決定して提出する法律については、95.5%が成立しました。法律自体がかなり成立しています。
感染症法の改正 ~感染症が発生した際、「感染症法に基づいてきちんと治療しなさい」と命ずることができる
野村)そのなかで、注目すべきものもいくつかあります。感染症法は、いままでいろいろな問題を抱えているなかで、実は「2類・5類問題」はまだ解決していませんが、「感染症法の改正」が行われています。
飯田)感染症法の改正。
野村)これまで病院に対し、きちんと「感染症の医療を行え」と命ずることができず、お願いベースだったのです。
飯田)感染症の医療を行うことは。
野村)その部分を改正しましょうということで、公的医療機関や大学病院などの特定機能病院、そして地域医療支援病院という中核的な病院などに対しては、「感染症が発生した場合、感染症法に基づいてきちんと治療しなさい」と命ずることができるという、ある意味では大きな改正が行われています。
嫡出推定の見直し、再婚後生まれた場合の父は「現夫」に ~内縁状態では認められない
野村)民法のなかに、「離婚してから300日以内に生まれた子どもについては、前夫の子どもであると推定される」という規定がありました。DVなどを受け、どうしようもなくて離婚し、支えてくれる人と再婚しているにも関わらず、300日という日にちで決まってしまう規定でした。
飯田)離婚してから300日以内に生まれた子どもは。
野村)DVを受けている少し前の段階から、再婚した人とのお付き合いが始まっている場合があるにも関わらず、法律の履行の時期で決めていくというずれがあるので、無戸籍の人たちが出てきてしまう問題があります。
飯田)そのまま出生届けを出してしまうと、前夫の子どもと認定されてしまって、またその人(前夫)と話し合いをしなければならない。それが恐怖になってしまうのに、民法では嫡出推定の規定があるから、どうしてもそうなってしまう。それはおかしいでしょうと前から言われていましたが、ようやくですね。
野村)ただ、これには限界もあって、再婚しているときでないと使えないのです。ずっと内縁状態で婚姻届を出さずに、でも子どもだけ授かったという場合については、今回は例外規定の形になっているので、その例外が適用されないのです。
飯田)嫡出推定そのものがなくなったわけではなく、例外規定をつくったのですね。
野村)例外適用要件に該当しない人もまだ残っているので、そこが限界であり、今回の改正はそれでいいのかという問題もあります。
飯田)今回の改正は。
野村)基本的に古い法律で、婚姻中に他の人と性的関係を持つこと自体が「道徳上許されない」という発想のなかからつくられているため、相当古いのです。時代に逆行している部分があるので、そこをどうするかを議論しなければいけないと思います。
飯田)究極の話をすれば、すべてDNAで行うのかという話になってくるのですね。
野村)ただ、これらの法律は成立したので、次の国会では「感染症法の2類・5類問題」をぜひやって欲しいなと思います。
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