ロシアに付き合いたくないが、逆らえない “可哀想な国”ベラルーシ
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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が12月30日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ウクライナのミサイルのベラルーシへの着弾について解説した。
飯田)ベラルーシの政府が、ウクライナ領内から発射されたミサイルを防空システムで迎撃したと発表しました。
宮家)私は最初、聞き間違えたかと思いました。私の専門分野ではありませんが、ベラルーシはモスクワに逆らう気はないけれども、同時に巻き込まれたくもないですよね。ロシアと同じような経済制裁などを受けようものならベラルーシは危ないですから。一方、ウクライナも戦線を拡大したくないわけですよ。いまロシアだけで大変なのにベラルーシが攻めてきたら困るでしょう。
ロシアはおそらくベラルーシを何らかのかたちで巻き込みたいのですよ。常識的に考えたらロシアが巡航ミサイルを意図的に挑発的に撃ったというウクライナの発表の方がなんとなく「そうかな」と思います。でももちろん実際はわからないですけどね。
ベラルーシ西部の村で残骸が見つかって、それが地対空誘導ミサイルS300の破片で、ウクライナ領内から発射されたという発表。地対空誘導ミサイルということは、迎撃ミサイルといいますか、元々は戦闘機用のものです。これはよくわからないですね。
飯田)たしかに動機があるのはどこだというと、ウクライナにもない、ベラルーシにもない。ロシアにのみ動機が考えられるという。
宮家)しかしそこは戦場ですから何が起こっているかこれ以上はわかりません。フェイクニュースだとはいいませんが、あるとしたらロシアが何らかの動きをした可能性の方が少し高いかなと思っています。
飯田)ベラルーシの立場、ルカシェンコ大統領の「のらりくらり」ぶりといいますか、「じゃがいもを掘るために兵隊を使うから出せないのだ」というような。
宮家)当然ながらルカシェンコの関心は自分の政権の維持だと思いますよ。ロシアなどに加担して一緒に戦う気など本当はないと思います。戦えば途端に欧州やNATOとの関係がものすごく悪くなるわけでしょう。そこまでしてロシアに付き合うかということですが、私だったら嫌ですね。常識的に考えたら。もっともあそこは常識と関係ない人たちが多いので、よくわかりませんけれども。
飯田)国境だけ見てもロシア各国と接しているのはロシアではなくベラルーシということですよね。
宮家)そうですよ。ロシアはベラルーシを失いたくはないけれども、ウクライナを締め付けるという観点からいうと、ウクライナの北の国境は半分ロシアだけれども半分ベラルーシですから。本当はキーウをまた包囲するかは別として、ベラルーシの方で何らかのオペレーションができるようにならないとウクライナを包囲などできないから。
ロシアがいま東部の方で劣勢ですよね。最後の起死回生をやるとすれば当然また西部にいってキーウを何とか取り返して圧力をかけたいとなったときに、それはベラルーシの協力なしでは絶対にできません。絶対にベラルーシもそこは拒否しないと思います。実際にロシアの部隊はベラルーシ領内に入っていると思いますけれども、本当にそこから再び侵攻するのか。仮に侵攻してもロシアは仕方ないけれどもベラルーシも付き合うのかという。そうしたらロシアの戦争に加担することになって、ベラルーシ自身も経済制裁をうけることになりますが、それでもいいのですかね。どうするかと言われたら、私だったら参戦はしませんよ。
飯田)2022年2月の軍事侵攻のときというのは、ベラルーシのなかをおそらくロシア軍は通っていった。
宮家)通ったでしょうね。
飯田)そうでないとあんなに電撃的にキーウを襲うということはできないだろうという。
宮家)そこでベラルーシは懲りたのではないですかね。でもロシアには逆らえない。可哀想な国だと思います。
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