アメリカ、ロシア、中国……「誤算」は続き始めたら止まらない
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宮家邦彦が12月30日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。2022年を振り返るキーワードとして、「誤算」を挙げた。
宮家)「誤算」。「判断ミス」ですよね。私は2022年というのは「誤算」がずっと続いた年だと思っているのです。もともとの「誤算」はどこかというと、2021年8月15日です。アフガニスタンでカブールが陥落したにもかかわらずアメリカ軍は撤退をしました。これは戦略的には合理的な判断だと私は思うのだけれども、戦術的には大失敗だったわけです。
私が思うに、この「判断ミス」がプーチン氏の「判断ミス」を誘った。すなわち「アメリカはインド太平洋に行くの? 中東から出ていくの? だったら、ロシアは東ヨーロッパに行くか」ということでウクライナに入っていく。これが「誤算」のその2ですよね。それに対して習近平氏は「北京の冬季オリンピックがあるから、そのときはやめてくれ」と言っていた。「どうせ数週間で終わるだろう」と思っていたかどうかは知りませんが、結構ロシアにリップサービスをしてしまう。これもまた中国の「誤算」です。
更に、何も今年(2022年)行かなくてもという気もしないでもないのですが、アメリカの下院議長が台湾に行ってしまう。これら一連の判断がミスと言うかは別として、みんなよかれと思ってやったのかもしれないけれども、結果的には「誤算」が続いていますよね。こういうものは一度始まったら止まらないのです。
いつも申し上げるのですが1930年代がそうでした。もちろん歴史が完全に繰り返すわけではないけれども、仮に韻を踏むのだとしたらおそらく2023年も同じような「誤算」が続くだろうなという気がします。どこかでその「誤算」を止めなくてはいけないのだけれども、止まらないのです。「誤算」が「誤算」を呼び、「誤算」が積み重なっていくと新常態ができて、その新常態のもとでまた「誤算」が続くわけですから。もう元に戻らなくなってしまう。それが2023年、私はいちばん恐ろしいなと思っています。それで「誤算」という言葉を選びました。
飯田)自分たちのやったことの周りの反応を見誤る。
宮家)先が読めて不確実性の低い、予測可能性の高い時代であれば間違いをやってもある程度元に戻るわけですよ。でも経済合理性だけではない戦略的な判断をしなくてはいけなくなってくると、だいたい指導者は間違えます。日本などは少ない方ですけれども。そして独裁者はもっと間違える。なぜかというとまともな人が周りにいないから。
飯田)ブレーンというか。
宮家)助言をする人が周りにいないから。「それはだめですよ」ということを言う人がいないとアウトでしょう。そうなるとこれから当分「誤算」が続く可能性があるなという。これが私の「誤算」であればいちばん嬉しいのですけれどもね。でもおそらくそうではないだろうな。ですから2022年も2023年も同じようなことがパターンとして続くのではないかなと非常に懸念をいたしております。
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辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)