村上佳菜子が怖さを感じた「オリンピックにいる“魔物”」の正体

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黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(12月14日放送)にプロフィギュアスケーターでタレントの村上佳菜子が出演。オリンピックで経験したプレッシャーについて語った。

村上佳菜子が怖さを感じた「オリンピックにいる“魔物”」の正体

ソチ五輪 フィギュアスケート 女子SP 村上佳菜子 =2014年2月19日、ロシア・ソチのアイスベルク・パレス 写真提供:産経新聞社

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。12月12日(月)~12月16日(金)のゲストはプロフィギュアスケーターでタレントの村上佳菜子。3日目は、世界選手権にはないオリンピックのプレッシャーについて---

黒木)ソチオリンピックに出場なさったのは2014年ですけれども、2017年には引退をされます。引退から5年も経ちましたね。

村上)もうあっという間でした。「もうそんなに経ってしまったのか」という感じです。

黒木)引退を決意なさったのは、ソチオリンピックに出場なさったころだということですが。

村上)私のコーチの山田満知子先生からは、「オリンピックが終わったシーズンに辞めた方がいい」と言われたのですが、私のなかでは「まだできる」という思いがあったので、「続けさせてください」とお願いしました。

黒木)まだできると。

村上)先生にも「頑張りなさい」と言っていただき、その後は毎年「これが最後」だと思ってシーズをこなしていましたが、なかなかうまくいきませんでした。そんななかで自分のなかで1つだけ決めていたのは「次のオリンピックまでには辞める」ということでした。

黒木)次のオリンピックまでには辞める。

村上)ソチオリンピックの代表に決まるまでが苦しくて大変だったので、「もう1回やるのは無理」と思っていました。それだけは決めていました。

黒木)次のオリンピックには出ないと。

村上)そのタイムリミットのギリギリまで現役を続けました。それが2017年でした。

黒木)観る側には全然わかりませんでしたけれども、「今年が最後かも知れない」と思うとまた別のエネルギーが出てきますよね。

村上)そうですね。1つひとつが特別で、きちんと見つめながら大会に臨めていたと思います。

黒木)「スケートリンクには魔物がいる」とおっしゃっていますけれども。

村上)「オリンピックには魔物がいる」とよく言うではないですか。オリンピックでは、普段、フィギュアスケートを観ない方も会場にきてくださるので、応援スタイルが通常の試合と全然違うのです。

黒木)観客の方の応援スタイルが。

村上)フィギュアスケートはコールされたところで、「ワーッ」と皆さんが応援してくださるのですが、ポーズを取る前には「シーン」として、それから音楽が鳴るという、何となくのルーティンがあるのです。

黒木)普段の試合では。

村上)でもオリンピックのときは、サッカーの応援のように、楽器が鳴るなかで、私の名前ではなく国名で応援されるのです。「ジャパン」とか「日本」とか。それまでも世界選手権は出ていたのですが、「初めて国を背負って出ている」という感覚になりました。

黒木)世界選手権とは違うのですね。

村上)そのプレッシャーに勝てるか勝てないかが、「魔物に勝てるかどうかなのかな」と、オリンピックに出て感じました。

黒木)プレッシャーに勝てるかどうかが。

村上)とても怖かったです。曲が鳴るまでのポーズも、手も足も震えてしまいます。音楽が鳴って動き出した方が落ち着くのです。待っているときは震えてしまうので、早く音楽をかけて欲しかったですね。

黒木)愚問なのですが、回転していて、どっちが前だかわからなくなったりしないのですか?

村上)試合のときは照明が明るいのでわかります。毎日練習しているので、何となくの感覚があります。でもアイスショーのときは暗いので難しいです。

黒木)スポットライトが当たりますからね。

村上)真っ直ぐのまま回っているので、回っているときに、目印を見つけるのです。でも暗いとわからないですね。スピンのあとに逆方向に進んでしまい、終わってみたら「逆だった」ということもあります。

黒木)そんなこともあるのですね。

村上)アイスショーのリンクは普通よりも小さいのです。

黒木)アイスショーのときのリンクは。

村上)普通のリンクの場合は、毎日練習しているリンクと同じ大きさなので、感覚で「この辺りが角だな」とわかってターンできるのですが、ショーのときは暗闇で狭いので、はみ出て飛んで行ってしまったことが何回かあります。

黒木)暗くて狭いのですか。

村上)最後に「さよなら」とお辞儀して捌けるときに、幕と逆の方向に行ってしまい、お客さんに「佳菜ちゃん、逆だよ」と言われて慌てて帰ったこともありました。

村上佳菜子が怖さを感じた「オリンピックにいる“魔物”」の正体

村上佳菜子/ プロフィギュアスケーター・タレント

村上佳菜子(むらかみ・かなこ)/ プロフィギュアスケーター・タレント

■1994年11月7日生まれ。27歳。愛知県名古屋市出身。
■スケートをしていた姉の影響で3歳からスケ-トを始める。
■2009年、ジュニアグランプリシリーズ(JGP)ファイナルで優勝。
■2010年、世界ジュニア選手権で優勝。
■2010年~2011年シーズンからシニアのグランプリシリーズに参戦。アメリカ杯で優勝し、グランプリファイナルでは銅メダルを獲得。
■2013年、全日本選手権で総合2位。
■2014年、ソチオリンピックに出場。四大陸選手権では初優勝、世界選手権では5年連続5回目の代表入りを獲得。
■2017年4月23日に競技生活からの引退を表明。
■現在はプロフィギュアスケーターとしてさまざまなアイスショーで活動。またテレビやラジオでタレント活動も行っている。

 

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