ジャーナリストの鈴木哲夫が1月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。与党内での増税に対する議論について解説した。
増税で議論が飛び交う与党
飯田)防衛増税など、いろいろ飛び出してきていますが、与党内で何が起こっているのでしょうか。公明党の山口さんが萩生田政調会長の「増税前解散発言」を批判するなど、いろいろなことが出てきますね。
鈴木)年末から増税の話になってきています。もともとは防衛費の話なのだけれども、財源をどうするのかというところから増税となった。増税がキーワードになってくると、消費税を上げるとか相続税の話などが出たり、税金ではない感覚だけれども、年金をさらに払うなどという問題も出てくる。
防衛費の財源としての増税の議論 ~まだ与党内の議論だから「十分な議論が行われている」とは限らない
鈴木)国民がお金を払う負担が増えてきています。ポイントは、国会が終わってから出てきているところです。
飯田)確かに、すべて国会が終わってからですね。
鈴木)日米首脳会談で具体的なお金の話をするのかどうかはわかりませんけれども、防衛費の総額は約43兆円などと言われています。しかし、ちょっと待ってくれと思います。これらのことは一切、国会で議論されていません。
飯田)されていないですね。
鈴木)そこが注意点です。絶対に国会で議論して、初めて進むことです。まだ与党内での議論ですから、「十分な議論が行われている」と皆さん勘違いせずにチェックしましょう。
安倍政権での消費増税の際、役割分担して党内議論しているように見せた自民党
鈴木)もう1つは「増税するべきだ」「いや増税はダメだ」と、与党のなかでいろいろな声が上がっています。萩生田さんや麻生さん、ここへきて菅さんまで。
飯田)そうですね。
鈴木)「いろいろな意見が活発に出ているな」と見えるのだけれど、私が思い出すのは、安倍政権のときに消費税を上げる際、当時は麻生さんや甘利さん、菅さんなど、党内の実力者が「賛成だ」「反対だ」といろいろなことを言ったのです。党内議論が活発に見え、「消費税を10%に上げることに反対する人が自民党のなかにもいるのだな」と、「国民のことを思っているのだな」とも取れた。しかし、実情は活発に議論していたけれど、以前から打ち合わせていたのです。
飯田)打ち合わせていた。
鈴木)当時、菅さんに聞きました。「閣内不一致ではないですか?」と聞いたら、「きちんとみんなで話はしているから」と言うのです。役割分担をしているわけです。
きちんと議論しているように見せて国民を納得させてしまう ~安倍政権での消費増税の際
飯田)「3A+S」などと言われていましたね。安倍、麻生、甘利、菅。
鈴木)その議論を見ていると、「与党内では賛成も反対もいて、しっかり議論しているな」と感じる。そして最後に安倍さんが出てきて、いろいろな意見があったのを「私が最後に決断します」という流れになると、国民も「そうか」と思ってしまう。そういうこともあるのです。
今回は自民党内で役割分担している感じはしない
鈴木)しかし、今回はそのときと同じように役割分担している感じはしないのですよ。
飯田)今回は違うのですか?
鈴木)本当に対立している気がします。増税に関して反対だった安倍派は、防衛費を増やしても国債でやるべきだと、安倍さん自身が亡くなる直前まで言っていましたよね。
飯田)そうですね。
鈴木)そういう意味では、財務省が安倍派に対して「増税するぞ」と。積年の恨みではありませんけれど、安倍政権のもとで財務省は押さえつけられてきたから、安倍派に対して「増税だぞ。増やすなら増税だからな」と。安倍派にとってみれば、萩生田さんは「ふざけるな」という話になるし、麻生さんの立場からすると、やはり財務省……。
飯田)財務大臣が長かったですからね。
鈴木)そういう意味では、麻生さんは本気で「増税」と言っている。菅さんはあまりにも岸田政権が官僚寄りだから、ついに口火を切ったという感じです。だから、「みんなですり合わせて議論しているように見せている」のではなく、本当にバチバチになっているというのが取材した感触です。
飯田)なるほど。
鈴木)そういう意味では、このまま政局につながっていく可能性もあると思います。
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