大手企業はできても中小企業には難しい「賃上げ」 全労連賃上げ要求も

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経済アナリストのジョセフ・クラフトが1月31日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。10%以上とした全労連の賃上げ要求について解説した。

大手企業はできても中小企業には難しい「賃上げ」 全労連賃上げ要求も

2023年1月24日、会議のまとめを行う岸田総理~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202301/24keizai.html)

全労連が春闘で10%以上の賃上げ要求へ

約70万人の組合員がいる全国労働組合総連合(全労連)は1月30日に都内で会見を開き、2023年の春闘で物価の高騰から働く人の生活を守るためとして、ベースアップ相当分と定期昇給分とを合わせて賃金の10%以上、月額3万円以上の賃上げを求める方針を決めた。

飯田)賃上げについては、総理も経済団体の賀詞交歓会で要求するなど、官民あげての形になっています。

大手優良企業は賃上げできても中小企業は難しい

クラフト)4%近い記録的なインフレですから、賃金が追いつかなければ経済的にも追いつかないということです。ただ、気を付けないといけないのは、ニュースでは5%~10%の賃上げが取り上げられがちですが、中小企業と大手優良企業とでは状況が違うということを認識しなければいけません。

飯田)大手企業と中小企業では。

クラフト)大手の優良企業は余力があるので賃上げに応じられますが、多くの中小企業は、なかなかそうはいかない。日本の雇用の7割は中小企業ですから、そう簡単にはいかないと思います。それでも例年に比べれば、全体平均でギリギリいく可能性はありますけれども、やはり二分化していることを理解しなければいけないと思います。

中小企業の賃上げ実施予定は34%

飯田)朝日新聞が報じていますが、大同生命の調査によると、中小企業の賃上げ実施予定は34%。大企業とは対照的な傾向であるということです。下請けに対して価格転嫁できていないなどの問題もあるようです。

クラフト)そこも矛盾していて、大企業は従業員のために賃上げすると言いつつも、国のためには下請けに対しても正当な対価を払わなければいけない。その辺りは政府もわかっていて、いろいろ対策しようとしています。「下請けGメン」などという言葉も最近聞きますが、どこまで成功するか。

賃上げしないと優秀な人材を得ることができない状況も

クラフト)もう1つ申し上げると、インフレだから賃金を上げるという企業が多いのですが、実態は、上げないと転職されてしまう。あるいは優秀な人材が採用できないという労働の競争が少し高まってきているので、上げざるを得ない状況も多いと思います。

飯田)賃上げしないと人材が得られない。

クラフト)特に海外で勝負している大手国際企業は、海外従業員と国内従業員の格差が広がっているので、そこも是正しなければいけません。そういう背景があることを認識すべきだと思います。

今回だけではなく、継続して賃上げできるかどうか ~継続して賃上げできなければ経済は強くならない

飯田)そういう流れのなかで労働者の立場が強くなり、否が応でも賃上げしなくてはならず、流動性が高まる方向になればいいですよね。

クラフト)企業も常にイノベーションあるいは生産の向上を通じて利益を上げていき、それを賃金に回せるようにしなくてはならない。私が注目しているのは、今回は上げられても来年(2024年)、再来年と継続的に賃金を上げていけるかどうかです。

飯田)継続して賃上げできるかどうか。

クラフト)今回1回限りの賃上げでは、経済は強まらないと思います。

飯田)中小企業の話で言えば、この先、日本もアメリカやヨーロッパに追随して利上げしてしまうと、賃上げどころか、日々の運転資金も辛くなってしまう。ここもどうするかというところですね。

クラフト)アメリカほどの利上げはないとしても、下がることはありません。情勢が緩和的に維持されるか不安なので、企業に対してもどうなるかわかりません。企業の経営者は、これから地政学不安、安全保障、引き締め、金利、経済原則、中国・アメリカなどの不安から、いろいろな経済チャレンジを強いられます。経営者の手腕が問われる年ではないでしょうか。

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