日韓外相が会談へ いまさら何を日本に求めるのか

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数量政策学者の高橋洋一と防衛省防衛研究所・防衛政策研究室長の高橋杉雄が2月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。2月18日実施で調整されている日韓外相会談について解説した。

日韓外相が会談へ いまさら何を日本に求めるのか

日韓外相会談に臨む林芳正外相(右)と朴振(パク・チン)外相=2022年7月18日午後3時58分、東京都港区麻布台の外務省飯倉公館 写真提供:産経新聞社

日韓外相、2月18日に会談か

林外相が2月18日に韓国の朴振(パク・チン)外相と会談する方向で調整していることがわかった。旧朝鮮半島出身労働者の訴訟問題をめぐり、韓国政府は1月、韓国の財団が被告となった日本企業の賠償を肩代わりする案を公表した。朴振外相は韓国側の検討状況について説明を受け、日本側に求める「前向きな呼応」に関しても意見交換するとみられる。

飯田)「G7外相会合も同じ日だ」と思ったら、ドイツで行われるミュンヘン安全保障会議に出席するのに合わせたようです。この議題は、いわゆる徴用工問題ですが。

日本にとって解決済みの旧朝鮮半島出身労働者の訴訟問題 ~一刻も早く日韓で安全保障の体制を協力するべき

高橋洋)解決済みの話を韓国が勝手に言っているのだから、韓国国内で全部処理してくれればいいのです。日本政府は話を聞いて「そうですか」と、報告を受けて終わるのが基本です。

飯田)そうですよね。

高橋洋)終わった問題をぶり返したのは韓国ではないですか。ぶり返したことを基にして日本に何かを言ってくるのは理解できません。

飯田)日本政府としては、昭和40年の日韓請求権協定において解決済みのことです。

高橋洋)外交では「ギブ・アンド・テイク」とすぐ言いますが、こういうことでギブ・アンド・テイクにすると、話が複雑になります。韓国も話を先に進めたければ、あっさりと対応して欲しいです。安全保障を考えると、日韓はかなり協力しなければならない。中国・北朝鮮・ロシアがありますから、一刻も早く安全保障体制を整えることが韓国の国益にもつながると思います。

台湾有事の際、北朝鮮を抑えるためにも韓国の役割は大きい

飯田)安全保障面での協力は、東アジアの情勢が厳しくなることを考えると、韓国ともある程度きちんとやっておかなければならないですか?

高橋杉)北朝鮮の核の脅威も、ほぼ異次元のものになっていますから、それだけでも韓国の役割は大きい。韓国自身の問題としても重要になっています。日米韓の協力が大事です。

飯田)日米韓の。

高橋杉)また台湾との関係でも、台湾海峡有事が起こったときは北朝鮮をしっかりと抑えなければなりません。そういう意味でも韓国の役割、あるいは日米韓の重要性が増していると思います。

政権が代わると前政権の合意を継承しない韓国

高橋杉)韓国政権の1つの障害として、韓国は北朝鮮に対しても日本に対しても、政権ごとに1つの合意をつくろうとすることです。前政権の合意を継承しないことがあるので、そこが大きな課題ではないでしょうか。

飯田)安全保障に関するマターについても、政権によってコロコロ変わってしまう。情報のやり取りに関する軍事情報包括保護協定(GSOMIA)などにも、政権の意向がかなり強く出てしまいます。その辺りは外交上で約束する際のリスクになってしまいますか?

高橋杉)そうですね。政権が変わったときに、前政権をひっくり返そうとするのはアメリカでも起こることですが、全部はひっくり返しません。そういう意味で、政権交代しても最低限のことは継承してもらわないと、現実的には付き合いにくいですよね。

未だに因縁が残る韓国の「レーダー照射問題」

飯田)一方で、東アジア全体を見ているアメリカからすると、日韓の間は「ある程度きちんとやってくれないと困る」ということは昔から言われていますが、いまも続いていますか?

高橋杉)オバマ政権のときには朴槿恵元大統領と安倍元総理の間を、オバマ元大統領自身が取り持とうとしたこともあります。そのときの副大統領がバイデン大統領ですから、バイデン大統領もそういうことをやりたいと思っているのではないでしょうか。

飯田)そこでいくつか棘が刺さることもありました。韓国側は話の流れのなかで輸出規制の話もして、いわゆる「ホワイト国(優遇対象国)・グループAに戻せ」という話も出てきています。

高橋洋)いろいろなことを言い過ぎますね。肩代わりの話だけを処理すれば次に進めるのに、いろいろなことを話すから、なかなか進まなくなってしまうのです。

飯田)防衛省・自衛隊で言うと、レーダー照射の件も「そのあと何かあったか?」という話になります。

高橋杉)現場としても釈然としない思いは残りますし、蓄積していくのです。割り切れないものはこちらにも絶対に残ります。

飯田)かつては政治でいろいろあっても、軍同士は仲よくやっていたと関係者の方に聞いたのですが、ああいうことが起こってしまうと、そうはいきませんよね。

高橋杉)そうですね。あれは中国がやったことと同じようなことですから、当時の担当者の思いは察するに余りありますね。

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